まだまだ続く秋のパン祭り。今回は、前回の「新穂高ロープウェイ」のスピンオフです。その時にちらりと名前が出ました「アルプスのパン屋さん」が今回の主人公です。
岐阜県奥飛騨「新穂高ロープウェイ」。その第2ロープウェイ乗り場の商業施設内にある、美味しいパン屋さんです。こういう特殊な場所にあるので、なかなかパンだけを買いにここまでは来れません。だから今回は堂々と言い切ります。
「ロープウェイに乗るついでにパン屋さんに行きました。」
しかしこのパン屋さん、ついでに行くというにはあまりにもレベルが高いです。もしこのお店が街中にあれば、行列ができるパン相談所になっていたことでしょう。
で、アルプスのパン屋さんは分かったけど、店名は?
いや、だから「アルプスのパン屋さん」それが店名です。
名前だけでどういう場所にあるのかが何となく想像できます。変にお洒落な名前にするよりもわかりやすいですね。
しかし以前に来た時と比べて大きな変貌を遂げており、驚きました。以前はもっと小さなお店で、パン職人のご主人が製造からレジまで全てを一人で切り盛りしていました。それ故にめちゃめちゃバタバタしていて大変そうで、「何故店員さんを雇わないんだろう」と疑問に思いながら列に並んでいました。その時はこういう特殊な場所にあるパン屋さんに対して全然期待もせず、「まあどうせ普通だろう」という感じで買ってみたのですが、食べてビックリ。う、美味いじゃないか!こんな実力者が何故こんなへんぴな場所で(失礼)営業しているのだ?と思ったものです。
そして今回、レジを覗いてみると、
レジ担当の店員さんがなんと二人も!そして小さかったお店も大きくなっていました。
この時、誰もお客さんがいなかったので、 僕と妻、「二人だけのパン屋さん💛」と思ったその瞬間、
どどどどどどどどどれみふぁそらしどーっっっ!!!
とたくさんの人が店内に突然流れ込んできました。こ、これは一体!?ゆっくりと選べるどころか、一気に「取るか、取られるか」のパン取りゲームが始まりました。元々椅子取りゲームが苦手だった僕。あのゲームって、追い詰められた時の人間のあさましい部分が露呈されて嫌なんですよ。そしてこのパン取りゲームも人間の醜い争いが展開されるのか、と思いきや意外な展開。ショーケースは左右にスライドさせて開けるガラスがついており、右を開けると左のパンが取れなくなり、左を開けると右のパンが取れなくなる。その事に皆さん気を使い合って、慎重にガラスをスライドさせながら、逆の方のパンを取ろうとする人がいれば、そちらを先に開けてあげたりと、美しい「ゆずりあいの精神」が見て取れました。あさましいどころか、気づかいの応酬。
日本人に生まれて良かった!
いや、待てよ。同じ日本でも大阪で同じような状況になった時、このような美しい展開になるだろうか?・・・・・やめておこう。何も想像しないでおこう。
しかし何故突然人波が押し寄せたのか?
人々がやって来た方を見てみると、謎が解けました。山頂から降りてきたロープウェイの改札出口がすぐ近くにありました。つまり、改札を出て来た人々は嫌でもこのパン屋さんの前を通ることになるのです。山頂にはあまり洒落たお店はありません。そこから降りてきてこのパン屋さんを見た人々は掃除機に吸い込まれるように店内へなだれ込む、という原理です。その吸引力、ダイソンどころではありません。考え抜かれた動線、恐るべし!
やっとの思いでパン選びを終えると、やはりレジは長蛇の列になっていました。お店の横に素晴らしいイートインスペースがあったのでそこでいただきたかったのですが、この長い列。もう席は空いていないだろうと思い、外で食べる決心をしました。レジでイートインを断り、すべて持ち帰りにしてもらいました。そして外に行く前にちらりとイートインスペースの方を見ると、
ガラガラやん!皆さん持ち帰りだったんですね。
しかし持ち帰りにしてもらった手前、今更ここで食べるわけには・・・税率もイートインなら10%に対し、持ち帰りは8%・・・
すいません!ここで食べさせて下さい!
神父様、私は告白します。私は8%の軽減税率でパンを買い、イートインスペースで食べるという「税率詐欺」を犯してしまいました。懺悔します。本当に外で食べるつもりだったのです。しかしあの素敵過ぎるイートインスペースを、がら空きのイートインスペースを見て、誰が我慢できるのでしょうか!どのような罰でもお受けします。え?苦しくなるまでいっぱいパンを食べろと。それで私の罪を洗い流していただけると。
わかりました。お受けしましょう。その天国・・いや地獄のような罰を。
めちゃめちゃ後ろめたさを感じながらも、外が見えるカウンターの特等席で食べさせていただきました。本当にすいませんでした。
サイドメニューで僕はコーンスープを、妻はクラムチャウダーをオーダーしたのですが、どちらがコーンスープかわかるように、と赤いシールで印をつけてくれました。
そのシールのせいで、何かの顔に見えます。
トレイに乗っていないので持ち帰りで買ったのがバレバレです。気まずい~。けどいただきます!
アルプス生まれの素敵なパン達です。
飛騨えごまと朴葉味噌のパン
飛騨の特産品を使った、飛騨らしいパンです。特に朴葉味噌は人類史上最強のご飯のお供だと僕は断言します。でも今日はそれがパンに載ってます。食べてみると、やっぱりパンにも合いました。西洋の食べ物であるパンまでも取り込んでしまう朴葉味噌。こんな物が家にたくさんあったら、僕は間違いなく炭水化物モンスターと化すことでしょう。
やはりここでも現れたか飛騨牛!飛騨を旅行中、この漢字3文字を何度目にすることか。そしてこのブランド力には抵抗できません。ステーキには手が出ないのでこういう食べ物で飛騨牛を食べたことにしてしまいます。このパン生地、サクサクしていてちょっと変わった食感でしたが、カレーによく合っていました。最近はいろんなカレーパンがありますねえ。
アップルクラウン
デニッシュ生地(パイ生地?)に、程よい酸味の効いたリンゴジャムがたっぷりと入っています。ジャムとはいえ実もゴロゴロです。僕がこういうパンを食べると、必ず口の周りにいろんな物が付いています。今日もやはり付いていました。以前仕事中に同じようなパンを食べた時、気づかずにその状態で1日を終えてしまったことがありました。皆さんそういう人を見かけたら、勇気を出して指摘してあげて下さいね。
窓からの眺めも気持ちよく、いつまでも居たくなるイートインでした。早く立ち去れ持ち帰り野郎!ひえ~すいません。
この後ロープウエイに乗りました。その模様は前回のブログの通りです。そしてまたこの駅へ降りてきて改札を出た時、やはり多くの人々がパン屋さんの凄まじい吸引力で吸い込まれていきました。それをわかっていたにも関わらず、
僕らも吸い込まれていきました。
そして今度はレジで高らかに「イートイン宣言」を行い、合法的に堂々と再びイートインスペースへと向かいました。
今度はチョコクロワッサンと珈琲を。しかしこのクロワッサン、
うめええええーっっ!このお店の最強パンは間違いなくクロワッサンです。トランブルーさんに肉薄する程のレベルでした。
ごちそうさまでした!
さあ帰ろうか、と立ち上がった時、ある看板が目に入りました。
ゴ、ゴンドラ食パンだと。またそんなこざかしいインスタ映えを狙ったような物に僕が騙されるとでも思って・・・
三度目のレジに並びました。
大阪へ帰った翌日の朝、飛騨の地へ思いを馳せながらゴンドラ食パンをいただきました。
切っても耳の部分に窓が残っていてなんか不思議な感じです。こういう色物系の食べ物って大抵味は普通なことが多いんですが、これは違いました。めちゃめちゃ美味しかったです。ほんのりと甘みのある、僕の大好きな大阪のレブレッソさんの食パンに似たお味でした。
ところで神父様、私の罪はこれで洗い流されたのでしょうか?私は正直に告白します。罰を受ける為、苦しくなるまでパンを食べようとしましたが、全然苦しくなりませんでした。地獄へ落ちろ~。
今日の1曲:Led Zeppelin 「俺の罪」