がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

ぼくのだいじなお店

先生「はーい皆さん、今日の宿題を発表するよ。」

 

生徒たち「えー!」「嫌やー!」「だるいー!」「独身ー!」

 

先生「はーい静かに!発表する前から文句を言うんじゃない。それに独身は関係ないだろう。先生傷つきやすいんだよ。」

 

生徒たち「イージーなやつにしてよ~。」

 

先生「君たちそんな英語だけはよく知っているんだねえ。ところで今回の宿題だが、作文を書いてもらうよ。」

 

生徒たち「出た!一番ヘビーなやつ!」「先生きも~い。」「一生独身ー!」

 

先生「君たちねえ・・・。先生もう傷だらけだよ。しかしそんな君たちにも、自分が大事にしている、大切に思っている人っているだろう。今回はそんな大事な人に対しての感謝の気持ちを作文にしてほしいんだ。」

 

生徒たち「・・・。」

 

先生「がっち、君にとっての大事な人とは?」

 

がっち「え?僕?パン屋さんかな

 

はてな先生「そ、そうか。パン屋さんなのか。即答だな。まあいいだろう。じゃあその大事にしているパン屋さんへの感謝の気持ちを作文にしてきなさい。みんなも同じように、大事な人への思いをしっかりと書いてくるんだよ。期限は11月8日(日)!」

 

生徒たち「・・・。」

 

「ぼくのだいじなお店」

 

3年B組 がっち大五郎

 

休みの日の朝、ぼくは自転車でおつかいに出かけます。

行先はパン屋さんです。遠い、遠い、パン屋さんです。

遠すぎて、帰ってきた時には顔の色が変わっています。ママはそんなぼくの顔を見て、「かりんとうまんじゅうみたいだね」と言います。

本当に遠いんです。でも、全然いやじゃないんです。

なぜかと言うと、そこに「すごくきもちのいいお店」があるからです。

大阪の豊中というところにあるお店です。

名前は「スリール」さんといいます。なかのいいごふうふが2人でがんばる小さなお店です。

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お店につくころには、ぼくはフラフラです。お店の前でねてしまいそうです。

でもがんばってお店に入ります。

すると中から、「おはようございます!」という元気な声がきこえてきました。

声の方を見ると、レジのおねえさんがすてきな笑顔でむかえてくれました。

そしておくでパンをつくっているおにいさんも「いらっしゃいませ!」と言ってくれました。

そんなこと、あたりまえじゃないか、って大人の人は言うかもしれないけど、そんなあたりまえのことができない大人の人はいっぱいいるんだよ。

そんな人を見ると、「これだから最近の大人はダメダメなんだよ」といつもおもいます。

それまでフラフラだったぼくの体は、おにいさんとおねえさんの気持ちのいいあいさつですぐに元気になり、パンをのせるお皿とパンをつかむはさみを持つとゆうしゃになった気分です。

そして目の前にずらりとならんだおいしそうなパンの顔を見ると、一等賞をとったようにうれしくなります。

最近、インスタばえばかりねらってるお店が多くてうっとおしいんだけど、スリールさんはちがうよ。

何もねらってないよ。味で勝負してるんだ。

かっこいいー!

今日もいっぱいおいしいパンを買いました。

はしからはしまで明太子がぎっしりつまったパンや、

f:id:gatthi:20201031174449j:plainすっごいおいしいウインナーが入ったチーズのパン、

f:id:gatthi:20201031174609j:plainやわらか~いトンカツがはさまってるパンに、

f:id:gatthi:20201031174923j:plainなかみが入りすぎて重たいクリームパン。

f:id:gatthi:20201031175147j:plainこのほかにも、お店にはまだまだおいしそうなパンがいっぱいあるよ。

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f:id:gatthi:20201031175250j:plain朝7時にお店があくんだけど、近所の人がいっぱい来てます。

こんなお店が近所にあるなんていいな~。うらやましいな~。

ぼくの家の近所には何もないです。

お店のかべには、近所の人たちからのお手紙がはってあるよ。人気者だね!

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f:id:gatthi:20201031175440j:plainしょうじきに言うとね、パンの味だけだとスリールさんとおなじくらいおいしいお店はほかにもあるんだ。

でも、パンを買ったあとにすごく気分がよくなるのは、スリールさんがダントツで一番だよ。

じつはぼく、今学校があまりおもしろくないんだ。行かなくていいなら行きたくないんだ。

でもね、休みの日にスリールさんにきて、おにいさんが頑張ってパンをつくっているすがたと、おねえさんの笑顔を見ると、ぼくも学校に行ってがんばらなきゃ、て思えるんだ。

だからぼくにとって、ここはだいじな、とてもだいじなお店なんだよ。ただパンを買いにくるだけじゃないんだ。

元気をもらいにきてるんだ。

f:id:gatthi:20201031175543j:plainでも、しんぱいなことがあります。おにいさんとおねえさん、パンをつくるために毎日夜の12時におきているって聞いたんだ。

12時にねるんじゃないよ。おきるんだよ。

それから夕方まではたらくんだよ。やばくない?

最近は「はたらき方かいかく」がはやっているんだから、おにいさんとおねえさんも、週2回ぐらい休んだらどう?体がしんぱいだよ。

2人でなかよく、ずっとずっと長くつづけてほしいんだ。

おじいちゃん、おばあちゃんになってもつづけてほしいんだ。

だからむりしないで、体をだいじにしてね。

また来るね。

今日もおいしいパンと笑顔をごちそうさまでした!

ありがとう。

これからもよろしくね。

 

「ぼくのだいじなお店」スリールさんでした。

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”ジリリリリーン♫!!”・・・・・・・ガチャッ。

 

「うーん・・・。あれ?ゆ、夢か・・・。なんちゅうリアルな・・・。しかしあの異常なパン好きの少年は一体・・・?」

 

いやいや、どう見ても子供の頃のお前だろう。

 

今日の1曲:ブレッド&バター「あの頃のまま」