がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

忠犬ガチ公、お供致す

今年もやって来たチョコ屋の陰謀「バレンタインデー」。その陰謀に巻き込まれた人々が不自然なまでにチョコを消費しまくる一大イベントです。これに便乗して異性への想いを伝える人や、お世話になっている人へ感謝を伝える場合もあれば、「自分へのご褒美」という都合の良い言い訳をしながらここぞとばかりにチョコを食べまくる人、女子同士でチョコを交換したり、と正に世界の中心にチョコがある特別な1日です。

僕もバレンタインには色々な思い出がありますが、特に思い出されるのが学生時代の教室での「違和感」です。とにかくそわそわしていました。休み時間になると、男子は男子で、女子は女子で固まり、教室内が2つに分かれるのです。これは極めて不自然な現象です。そして普段はあまり話さない者同士が喋りだしたりと、「何か今日はおかしいぞ」という空気が教室内に充満していました。

この異常な状況、暗黒少年がっちの大好物です。

僕はあえて少しみんなと離れた所に陣取り、遠目でこの状況を「年に一回の面白エンターテイメント」として傍観していました。そして毎年この観察を続けた結果、はっきりとわかったことがあります。

それは、「モテない奴ほどそわそわしている」という事実です。

そわそわし過ぎている奴は基本、チョコをもらえません。もらえても義理チョコのみです。チョコをたくさんもらえるモテる奴は、普段通りの雰囲気で堂々と過ごしているのです。え?じゃあお前はどうだったかって?

観察しながら微妙にそわそわしていました。

以上、暗黒少年の歪み切ったバレンタインの思い出でした。

 

さて、今年のバレンタインデーは日曜日でした。これに喜びの声を上げた女性は多いのではないでしょうか。妻も喜んでいました。

職場の分、いらんわ。ラッキー💛。

しかしこれは職場での義理チョコのみを毎年のルーティーンとしているモテない男子たちにとっては死活問題でしょう。あきらめるのだ、諸君。

ある日、妻がどこへチョコを買いに行こうかと悩んでいました。今年は僕と親族の男子たちの分だけでいいので、わざわざ大阪梅田の大勢の人が押し寄せるイベント会場に行く必要がないらしいのです。もう少し人の少ない所でゆっくり選びたいということなので、僕がある提案をしました。

「こないだ行った京都のサロン・デュ・ショコラにもう1回行けば?」

決して自分が高級チョコを買ってもらおうとしたのではありません。ここなら梅田ほど人が多くなく、ゆっくり選べると思ったからです。すると妻も同じことを考えていたようで、すんなりと決まりました。

そしてこの買い出しに僕も一緒に行くことになりました。ただ、あくまでもついて行くだけです。今日の吾輩は、犬である。

忠犬ガチ公お供致しまする、奥方様。

f:id:gatthi:20210211171021j:plain再び京都へ上陸。この日は前回とは打って変わって晴天に恵まれました。京都タワーもご機嫌なように見えます。

「おお、お前たち。また来たのか。京都が好きなんだな。私は嬉しいぞ。」

「今日は犬として散歩に来たんだワン。」

「そ、そうか。よくわからんが楽しんでおいで。」

京都タワーから暖かい言葉をかけられ、ガチ公もご機嫌で大階段を登り始めました。

f:id:gatthi:20210214094710j:plain最初はテンポよく登っていましたが、途中で息切れを起こしエスカレーターへ避難してしまいました。ガチ公も若くはないようです。

そしてまさかの今年2度目の「サロン・デュ・ショコラ」会場へ到着。前回はかなり前のめりでガツガツ行きましたが、今回はついて来ただけなので気楽です。見てるだけ、というのもなかなか楽しいもんです。

さすがにバレンタインが近いこともあり、前回よりは人が多かったですが、それでも梅田の人波に比べればゆっくりと選んで回れるレベルです。

前回なかったお店があったり、同じお店でもラインナップが変わっていたりしていました。「ううっ。何か買いたくなるワン。」待て!ガチ公!今日は散歩に来ただけだ。

ガチ公は気持ちを切り替えて、人間観察をすることにしました。

特に着目したのが「男性」のお客さん。マスターもっくんのように一人で来ている男性はやはり皆無でした。若いカップルは結構いてました。この場合の男子はそれなりに楽しそうにしています。しかし可哀そうだったのが、熟年夫婦の旦那さん。無理やり連れてこられたのでしょう。どうしてよいのかわからず、目が泳ぎまくっています。そして意味もなく右へ左へ、東へ西へ、と動いています。この動き、よくスーパーで見かけるお父さんと同じ動きです。水を得た魚のように滑らかな動きを見せる女性たちとは対照的で、見事な哀愁のコントラストを描いていました。

「お父さんたち、もう少し女子力を上げた方が人生楽しくなるのにワン。」

ガチ公が上から目線でつぶやきました。

そして奥方様について回り、後ろから色とりどりのチョコを眺めているうちに、ついにガチ公、我慢が出来なくなってしまいました。自我に目覚めてしまったのです。

「クンクン、何かいいチョコの匂いがするぞ。チョコ掘れワンワン!」

ざくざくっ。

するとどうでしょう。

f:id:gatthi:20210214103417j:plain何やら素敵な箱が現れました。 

ぱかっ。

f:id:gatthi:20210214103520j:plainまあ、なんということでしょう! まるでパフェのような可愛らしいチョコが出て来たではありませんか!

f:id:gatthi:20210214103718j:plainプラリベル「パフェショコラ」

ベルギーのチョコ屋さん。日本にはお店がなく、この時期だけ上陸するらしいです。小さな中にも色々な味が楽しめます。ガナッシュも色々な味のものが入っており、決して見た目だけではない、実力派のチョコレートです。

f:id:gatthi:20210214105055j:plainこうして見ると大きさがわかりにくいですが、めちゃ小さいです。

「クンクン、こっちにも美味しいチョコの気配がするぞ。チョコ掘れワンワン!」

ざくざくっ。

するとどうでしょう。

f:id:gatthi:20210214105632j:plain再び素敵な箱が現れました。

ぱかっ。

f:id:gatthi:20210214105946j:plainまあ、なんということでしょう!中からイシイのハンバーグが出て来たではありませんか!

違います。

f:id:gatthi:20210214110816j:plainエスコヤマ「円」

みんな大好きエスコヤマさん。これはサブレに激旨のミルクチョコレートがコーティングされている珠玉の一品です。よく似たお菓子はたくさんありますが、これに勝てるものはありません。お値段も凄いですが・・・。

そしてコヤマさんのブースの片隅に、尋常ではないオーラを放つ人物がいました。

小山シェフです。

「すげえ!吾輩と写真撮ってほしいワン!」

f:id:gatthi:20210214111956j:plain快く応じていただきました。ありがとうございます!凄い人なのに偉そうな所がない素敵な方でした。

ガチ公、さらに突き進みます。

「クンクン。むむっ!?これは何だ。チョコ掘れワンワン!」

ざくざくっ。

するとどうでしょう。

f:id:gatthi:20210214114819j:plainフォルクスワーゲンのバスをあしらった素敵な缶が現れました。

ぱかっ。

f:id:gatthi:20210214115454j:plainまあ、なんということでしょう!バスだけではなく、名車ビートルをかたどったチョコが並んでいるではありませんか。

f:id:gatthi:20210214115820j:plainビートル「ツーリングバス」

この「ビートル」というブランド、毎年バレンタインのイベントになると姿を現すのですが、単なる色物だと思っていました。ところが缶の裏を見ると、モロゾフという名前が見えました。一流チョコじゃないか!日本人は何故か「モロゾフ」という名前に絶大な信頼を寄せています。食べてみるとやっぱりモロゾフ、美味しかったです。

しかしこの缶、また捨てられないぞ~!

結局いっぱい買っとるやないか!

いい加減にしろよ、ガチ公。

「もう買わないワン。」

しょんぼりしたガチ公に奥方様がお言葉をかけられました。

「ガチ公、これは私からのバレンタインよ。」

f:id:gatthi:20210214121447j:plainサダハル・アオキ「AOKI 2021」

日本人でありながらパリに店を構える名店の高級チョコ。値札が眩し過ぎてガチ公はこの箱を直視できませんでした。しかし勇気を振り絞って箱を開けてみました。

ぱかっ。

f:id:gatthi:20210214122233j:plainあまりのチョコのオーラに失禁寸前のガチ公でした。ちょっとずつ、ちょっとずつ食べよう。奥方様の海のような深い愛情に感謝の気持ちがこみ上げてきました。

お買い物、終了!

お腹が減ってきた。クンクン。向こうからいい匂いがするぞ。

f:id:gatthi:20210214123019j:plainショコラ会場から直結の「拉麺小路」。全国各地の名店の味が楽しめます。

クンクン。ここへ行こう。

f:id:gatthi:20210214123211j:plain福島喜多方ラーメン「坂内食堂」

f:id:gatthi:20210214123324j:plain醤油ベースのスープに中太のちぢれ麵、醤油のしみ込んだチャーシューが一体となった見事なラーメンでした。久しぶりのラーメン、美味しかった~。ごちそうさまでした。

これで帰るのかと思いきや、ガチ公が駅とは別の方向にリードを引っ張りはじめました。

「せっかく京都に来たのなら、吾輩食べたいおやつがあるのだワン。」

そして烏丸の方へ歩き出しました。

f:id:gatthi:20210214125057j:plain東本願寺の前を通り、

f:id:gatthi:20210214125145j:plain錦市場を横切ると、

「ここだワン!」

f:id:gatthi:20210214125315j:plain「パティスリー ナンポルト クワ」

f:id:gatthi:20210214125426j:plainマスターもっくんから、こちらの「りんごタルト」が絶品だと聞いていました。

もともとこちらのお店は、全国的な有名店「オ・グルニエ・ドール」だったのですが、閉店した時にそのままこの場所をご子息に譲り、今はご子息がこちらのお店を営んでおられます。「りんごタルト」はグルニエドール時代からの名物だったそうで、息子さんがその味を引き継いでいます。お父様も最近復活されて、この近くで週末だけのお店を営業されているようですが、凄い行列らしいですよ。

f:id:gatthi:20210214130711j:plainハイツの入り口のような雰囲気です。

f:id:gatthi:20210214130807j:plain中に入ると左にイートイン用のカウンターがあり、右には有名ミュージシャンの絵が飾ってあります。奥が売り場です。

f:id:gatthi:20210214131005j:plain僕の好きなミュージシャンの絵も結構あってテンションが上がります。

f:id:gatthi:20210214131113j:plainそして奥へ行きましたが、閉店時間16時の少し前だったので、もう何も残っていないだろうと思っていました。ところが、確かにショーケースはほぼ空っぽだったのですが、何と「りんごタルト」だけが残っていました!

f:id:gatthi:20210214131614j:plain紅茶と一緒にいただきます。

f:id:gatthi:20210214131702j:plain

上に載せられた薄切りのりんごも素晴らしい味でしたが、何といってもタルト生地の美味しいこと!薄目なのですが絶妙にしっとりしており、チーズも入っているようです。これは美味い!これを求めてやって来る人が多いのも納得です。

f:id:gatthi:20210214131955j:plainこういうロックなオブジェが置いてあるのも嬉しいです。

ごちそうさまでした!ここまで来た甲斐がありました。

これにてガチ公京都散歩終了!

結局本日も思わぬ散財をしてしまいました。これにはガチ公も反省することしきりです。燦然と輝く高級チョコを目の前にして動揺するガチ公に対して、チョコの神様が優しく語りかけました。

「ガチ公よ、お前に相応しいバレンタインチョコを用意しておいたぞ。」

f:id:gatthi:20210214200353j:plainユーラク製菓「ブラックサンダー バレンタインBOX 」

仕事中にお昼ごはんを買おうと立ち寄ったスーパーで見つけ、衝動買いしてしまいました。塩サバ弁当と一緒にカゴに入ったこれを見てレジのお母さんがいぶかしげな顔をされていました。

f:id:gatthi:20210214201004j:plain特別仕様のパッケージです。 職場で配る義理チョコに最適ですよ。それにしても、入っている数に対して値段が高いような気がします。

ユーラク屋、そちもワルじゃの~。

ハッピーバレンタイン!

今日の1曲:Colosseum「バレンタイン組曲