がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

タマゴニオボレル、ジャンジャンブル

時々、特定の食べ物を異常に食べたくなる時があります。

今回は一般に「黄色い衝動」と呼ばれている(?)禁断症状に見舞われました。

卵に溺れたい。

ニワトリさんが必死の思いで出産した卵を片っ端から食べるという、人類の暴挙の一つ。しかしニワトリさんには申し訳ありませんが、僕は卵が大好きです。平日の朝は毎日納豆卵かけご飯を、休日は目玉焼きやスクランブルエッグを食べているので、365日、卵を食べない日は1日も無いでしょう。

じゃあ何故そんな禁断症状が起きるのか?

それはあるお店の「オムライス」が異常に食べたくなるからなのです。

f:id:gatthi:20210530162753j:plainジャンジャンブル

大阪府高槻市。先月のブログでジョーンズが調査に入った「安満遺跡公園」のすぐ近く、阪急電車の高架沿いにお店があります。

ご夫婦お二人(たぶんご夫婦)で切り盛りされている、小さなお店です。

看板には「カフェ&レストラン」と書いていますが、これは以前洋食屋さんだった頃の名残りで、今は完全にオムライスの専門店になっています。

こちらのお店、なかなかにハードルの高い人気店です。

人気店へ行く時は「開店時間同時、もしくはそれよりも早く」がセオリーですが、こちらへは「開店時間よりもかなり早く」行かないと1巡目に入れません。

11時30分にオープンなのですが、土・日は遅くても11時ちょうどには行かないと無理です。

かと言って時間をずらして遅い時間に行こうとすると、「なくなり次第終了」なので手遅れになる場合があります。夜は営業していません。お昼の僅かな時間の一発勝負なのです。

今回も、11時到着を目指して車で向かいました。しかしこのお店には駐車場はありません。本来なら安満遺跡公園の駐車場に停めるのが一番手っ取り早いのですが、今は緊急事態宣言発令中なので駐車場が閉鎖されており、近くのパーキングを探すのに手間取ってしまいました。狭い住宅街に迷い込み、奇跡的に「何でこんな所にパーキングが?」という所にたどり着きました。それでも何とか11時ちょっと過ぎぐらいに到着できそうでしたが、遠目から見ても結構な行列が既にできていました。

早足でお店の方へ向かいましたが、その時、僕らとは逆の方向からカップルが歩いてきました。2人とも、いかにもオムライスが好きそうな顔をしています。

1巡目に入れるかどうか、天下分け目の戦いが突然始まりました。

まずは戦況の把握です。

このカップルが本当にジャンジャンブルへ向かっているのか?観察しました。

すると男性の方がちらりと行列の方へ目を向けた後、明らかに僕の方を意識しました。

「パーン!」

ジャンジャンブル杯、1巡目争奪レースの号砲が僕の頭の中だけで高らかに響き渡りました。

あまり早足過ぎると、いかにも先に並んでやるという気持ちが見え過ぎてしまうので、歩くフォームはそのままに、足のスピードだけを上げました。

するとそれに気づいたのか、明らかにカップルのスピードが上がって来ました。それも僕のような奥ゆかしさのない、完全に野望が見え見えの凄いスピードです。

「くっ!駄目だ。僕にはそんないやらしい事は出来ない・・・。」

そこから競歩並みのスピードにギアチェンジすれば十分に逆転できましたが、こういう争いには僕の性格は不向きでした。

戦いに敗れた悔しさを顔に出さないようにしながら、後ろに並びました。

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並んでいる間に、メニューの看板を見ながらどのオムライスにしようか、悩みに悩みました。6種類から選びます。この時間がまた楽しいもんです。

そして待つこと約30分。ついに開店!

f:id:gatthi:20210530173842j:plainさあ、1巡目はどこまでだ?

1組ずつ中へ入って行き、遂に審判の時が!

するとなんということでしょう。

スピードカップルの前の組で1巡目が終わりました。

レースの結果如何に関わらず、1巡目には入れなかったのです。

この時、何かスッキリとした気持ちになった僕は、嫌な人間でしょうか?

これからはもっと「ゆずり合いの気持ち」を持って生きていこう。そう心に誓い、戦いのことは水に流して仲良く席が空くのを待ったのでした。

 

そしてさらに待つこと30分、遂に入店の時が来ました。

いつものようにお店のBGMはビートルズが流れていました。ずっとビートルズがかかっています。これも僕のお気に入りポイントです。ビートルズの音楽は食べ物を美味しくする効果があるという研究結果があります(僕調べ)。

このお店で一番落ち着けるという噂の一番奥のカウンター席へ通されました。

注文するオムライスは並んでいる時に決めていました。

それともう一つ、今回は覚悟を決めていたことがありました。

それは、「Lサイズを注文する」ことです。

え?別に普通じゃない?勝手に注文すれば?と思うかもしれませんが、こちらのLサイズは、世間でいう所のLサイズではありません。とんでもない量なのです。

Sサイズでも、普通のお店よりも大きめです。普通の女性の方はこれで十分だと思います。

Mサイズになると、その2倍ぐらいの大きさになり、かなりの量なのですが、

Lサイズはさらにその2倍ぐらいの量になるという噂を聞いていました。

実際に頼んでいる人を見たことがなかったので、実物は見たことがありません。

ただ、僕はいつもMサイズを注文するのですが、毎回「もうちょっと食べたいなあ」と思っていました。だから今回は、どうしてもLサイズを注文してみたかったのです。

そして運命の注文。

オムライスの種類は「ハッシュドビーフに。そしてサイズは大盛りで。

すると奥様の口から強烈に圧を感じる一言が放たれました。

「当店のLサイズはご存じでしょうか?」

ううっ。見たことはないのでご存じではありません。しかし平静を装い、いかにもいつもLサイズなんですよ、という表情を作りながら、「はい、大丈夫です。」

ほんまに大丈夫か!?

もう後戻りはできません。

ドキドキドキ。

f:id:gatthi:20210601202027j:plainまずは妻が注文した トマトソースオムライスが運ばれてきました。Sサイズです。

これはその時によってソースの内容が変わるという福袋的メニューです。

今日はチーズの入ったミートソースでした。キーマカレーではありませんよ。

トマトソースが大量にかかっているので隠れていますがフワフワ卵のオムライスが中に潜んでいます。これも美味しそうだな~。

そして噂のLサイズ、遂に着皿。

f:id:gatthi:20210601203059j:plainハッシュドビーフオムライス

でかっっ!!

テーブルの幅、ギリギリです。

あれ?これハヤシライスじゃないの?と思われるかもしれませんが、違いますよ。

ハッシュドビーフ海に沈んでいますが、この海をかき分けるとラグビーボールのような巨大なオムライスが鎮座しています。

比較対象がないので写真ではわかりにくいのが残念です。妻のSサイズを横に置いて比較しようとしましたが、大きすぎて並べられませんでした。

f:id:gatthi:20210601203835j:plainでは、 圧倒的な威圧感を感じながら、いただきます!

とその時、食べ終わって帰ろうとしていたお客さんが僕の皿を見て、

「うわっ、絶対無理や!」と一言。

言うな!そういうことを。

まずは周りのハッシュドビーフから攻めます。この大海原の中には、薄切りビーフが大量に泳いでいます。これだけでお腹いっぱいになる人もいるでしょう。美味しくて、オムライスの事を忘れて夢中で食べてしまいました。

そしてハッシュド海の水深が浅くなってくると、ついに現れました。

黄色いラグビーボールが。

思いっ切り溺れさせていただこう。

いつもながら、ふわふわの卵がたまりません。中のバターライスも相当な量のバターが使われていると見えて、凄く芳醇な香りがします。

やっぱり美味いっ!

ここからは無の境地でした。半分ぐらいまで食べた時、今度は自分のお腹がオムライスのような形になってきているのを感じましたが、あらかじめベルトを緩めていたので大丈夫でした。そこからもノンストップで食べ進み、残りわずか・・・。

最後の方は芳醇なバターの香りが裏目に出て、かなり苦しくなってきましたが、水を少し飲んだ後、一気に寄り切りました。

決め手は上手食べ~、合致山の勝ち~!

無事、完食できました。しかしこの時、僕のお腹は恐竜の卵のようになっていました。しかもカッチカチです。満足や~。もう当分オムライスはいらん。

ごちそうさまでした!

f:id:gatthi:20210606205111j:plainその後、恐竜の卵を抱えながら安満遺跡公園を散歩して帰りましたが、それぐらいではお腹はへこんでくれませんでした。その膨らんだお腹を見て思いました。

あのオムライス、一体何個の卵が使われていたんだろう?

絶対聞かない方がいいだろう。世の中、知らないままの方が良いこともあります。

そして先人の偉大な言葉が頭をよぎりました。

「腹八分目」

人間欲張ったらダメですね。

ニワトリさん、いつもありがとう!

明日の朝もいただきます。

 

今日の1曲:The Beatles「I Am The Walrus」