がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

「チャンプ」 ~ 子役ほど恐ろしい商売はない

ジトジトとうっとおしい梅雨の季節。どうせ自粛期間だし、休みの日は家でクーラーをつけて映画鑑賞するのが一番の現実逃避です。

前回は「泣けた映画」として「遠い夜明け」という映画を紹介しましたが、あの映画は万人が泣けるというものではありません。積もり積もった色々な思いが交錯し、ジワーッと泣けてくる作品なのです。

「お前の涙腺、人間性と同じでマニアックなんだよ」

そんな声が聞こえてきたような気がしたので、今回は「万人が泣ける映画」を紹介しようと思います。

今から42年前、この映画によって世界中の人々の涙腺が崩壊しました。

f:id:gatthi:20210613194728j:plainチャンプ

1979年 アメリカ作品

(あらすじ)

ボクシングの元世界チャンピオン、ビリー。ボクサーを引退し、妻に逃げられてからは競馬場で働き、酒とギャンブルに溺れる日々を送っていた。もう彼を元世界チャンピオンという目で見る人もいなくなっていた。

そんな中、ビリーの再起を信じて疑わない人物が1人だけいた。

ビリーの一人息子、8歳のTJである。

彼はビリーを「チャンプ」と呼び、常に尊敬のまなざしで父を見ていた。ビリーもそんなTJを心のよりどころにして、裕福ではなかったが、2人で幸せな日々を送っていた。

そんな彼らの前に、別れた妻アニーが再婚相手と共に突然現れた。

動揺し、激高するビリー。7年間子供をほったらかしにしながら、急にTJに接近しようとしているアニーが許せなかった。TJはアニーが母だということを知らない。

それからというもの、情緒不安定な状態になったビリーは、借金取りにTJの大切な馬が奪われそうになり、ブチぎれて警察沙汰を起こしてしまう。ビリーは逮捕され、TJはやむを得ずアニーに引き取られることになった。

アニーはそこで、自分が母であることをTJに明かした。

だが、TJは激しく抵抗した。

「チャンプじゃなきゃ嫌だ!チャンプに会いたい!」

アニーはこの父子の間に自分が入る隙のないことを痛感する。

しばらくしてビリーは釈放され、TJと再会を果たし、改めて2人の絆を確認したのであった。

そしてビリーはある決意をする。

どんな状況になっても自分を信じ続けてくれる息子の為、ボクサーへの復帰を決めたのだ。7年のブランクを経てリングに上がるビリー。

TJの為、自分の誇りの為、ビリーは命を懸けた世紀の戦いに挑む!

という話です。

 

あらすじ自体は、何かよくありそうな感じでしょ?

しかし全然よくある映画ではないのです。

まあとにかく、

子役が可愛すぎる!

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監督は1968年のロミオとジュリエットで有名な名匠フランコ・ゼフィレッリ

ビリー役にはハリウッドを代表する名優ジョン・ヴォイトアンジェリーナ・ジョリーの実のお父さんですね。

元妻アニー役にはこれまた名優、フェイ・ダナウェイ

2人共、この映画の少し前にアカデミー主演賞を受賞しており、当時この組み合わせは凄い事だったようです。

しかし、この映画を観た人の脳裏に焼き付きまくるのはこの2人ではなく、

TJ役の子役、リッキー・シュローダー!

見た目や声、仕草が可愛らしいだけではなく、その凄まじい演技力!まあ周りの名優たちが彼の魅力を引き出してはいるのでしょうが、それにしても凄すぎる。

彼がもし保険の外交員にでもなれば、大人たちは次々とハンコを押しまくったことでしょう。恐~!

この映画、泣けるポイントがジャブのように何度もやって来ます。

そして物語が終盤へと向かう所で、強烈なボディーブロー!

警察沙汰を起こしたビリーが釈放され、久々にTJと再会する場面。

絆を確かめ合うように抱きしめ合うビリーとTJ。

大涙警報です!すぐにハンカチの近くへ避難して下さい!

その後、クライマックスへと突入し、遂に迎える感動のエンディング。

もう涙を抑えることは普通の人間には不可能です。

映画館でエンドロールが流れる途中で外へ出て行く人が多いですが、恐らくこの映画が公開された当時、とりあえず涙が止まるまで立ち上がれなかった人が多かったのではないでしょうか。

この映画を観ても泣けない、という方は重度のドライアイ、もしくは人間としての何らかの感情が欠落している疑いがあります。直ちにお医者さんに診てもらって下さい。

 

しかしまあ何度観ても泣ける映画なんですが、よくよく考えたら、

リッキー少年は映画という仕事の為に、演技をしている訳ですよね。

ということは・・・・・

また僕の悪い癖が出てしまい・・・・・

撮影現場を想像してしまいました。

 

TJ(リッキー少年)「チャーンプ!チャ~ンプ!!」

監督「は~いカットカットー!OKだよリッキー。」

リッキー少年「ああ~しんど。大人を泣かせる演技ゆうのも疲れるわ。

監督「明日は朝6時から撮影だよ、頼むぜリッキー。」

リッキー少年「まじで!?早っ。早朝手当がっつり頼むで監督。」

監督「わかったわかった。事務所に言うておくよ。」

リッキー少年「あざ~っす!お疲れっした~!」

そしてリッキーは待たせてあったリムジンに乗り込み、帰宅したのであった。

 

いやいや、そんなはずはない!と思いたい。

こういう雑念だらけの状態で今回久々にこの映画を観ましたが、

やっぱり泣けました。

恐るべしリッキー・シュローダー!

ちなみにこの作品によって、ゴールデングローブ賞の新人賞を受賞したそうですが、僕はアカデミー賞をあげてもよかったと思いますね。

ところで彼、ご存命であればちょうど僕と同世代ぐらいのはずなんですが、その後どうなったんでしょう?

そういえばその後のことを全然聞かないぞ。

今の世の中便利ですね~。ネットで名前を入れるとすぐに出て来ました。最近の彼の姿が。

・・・・・・・

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思い出は美しいままにしておきましょう。 

 

今日の1曲:Joni Mitchell「青春の光と影」