最近、めっきり映画館に行かなくなりました。
今も映画は大好きです。一日中でも観ていられます。
何故行かなくなったのか、考えてもよくわかりませんが、なんか以前に比べて時間に余裕がなくなっているのは感じます。
一番映画館によく行っていたのは、中学~高校生の時でした。
アクション映画やファンタジー映画は友達と、マニアックな人間ドラマは一人で観に行っていました。
でも映画館の入場料は安くありません。
何故お金のない学生時代にそれだけ映画館に行けたのか?
それを可能にしてくれたのは映画専門のラジオ番組の存在でした。
AM、FM問わず、映画の番組を探しては聴いていました。
こういう番組では必ず映画音楽がかかります。
カセットデッキにテープをセットし、ヘッドホンをしながら音楽がかかるのをじっと待ち構えていました。
DJの曲紹介が終わった瞬間、録音ボタンをクイズ番組で優勝できそうなスピードで押し、曲の終わりも同様に停止ボタンを押す。この作業を繰り返して完成した、映画音楽に彩られたカセットテープは当時の宝物でした。
でもたまに、曲紹介を曲の頭に被せて来る不届き者のDJがいたのです。
喋るなや、おっさん!!!
ヘッドホンをしながら怒りをあらわにする暗黒少年。
そんな出来事も今となってはいい思い出です。
そしてこういった番組では、番組の終わりに必ず鑑賞券のプレゼントのコーナーがありました。
ほとんどが試写会や特定の劇場でしか使えない鑑賞券だったので応募者が少なかったのか、ハガキを出せば百発百中で当たりました。
そういうことなんです。
ハガキ代だけで映画を観まくっていたのです。
でも闇雲にハガキを出していたのではありません。
必ずハガキのどこかにコメントを書いていました。
「僕は映画が大好きで、この映画に出ている俳優さんは過去にこれこれこれだけの作品を観て好きになり、この映画も絶対に観たいのですが、悲しいかな、僕にはお金がありません。将来有望な若者の為に、是非、鑑賞券をいただけませんか。」
的なコメントをつらつらと必ず書いていました。
誰が将来有望って???
記載内容に一部偽りがあったのは否めませんが、このコメントが当選に一役買っていたのは確かだと思います。
そして高校2年の時、とある劇場のペア鑑賞券が当たりました。
大阪梅田の「OS劇場」という映画館です。
この劇場は「シネラマ・スクリーン」といって、画面が普通の映画館に比べて異様に大きく、とんでもない迫力で作品を堪能できる素晴らしい映画館でした。
今は残念なことに、もう存在しません。
ここで観た「ベン・ハー」のリバイバル上映はいまだに人生最高の映像体験です。
大好きなOS劇場の鑑賞券が当たったことで暗黒少年のテンションはMAXになりました。
さっそく今何の映画を上映しているのかを新聞で見ると、「ロボコップ2」をやっていました。
前作「ロボコップ」が大変面白かったので、喜びのあまり勉強が手につかなくなりました(そ、その前は勉強してたのか?)。
「ロボコップ」はなかなかの人間ドラマではあるのですが、やはりジャンルでいうとアクション映画なので、せっかくのペアチケット、友達を誘って行くことにしました。
当然のように彼女のいなかった暗黒少年が白羽の矢を立てたのは、
親友きんどんでした。
きんどんも前作「ロボコップ」がお気に入りだったらしく、快諾してくれました。
野郎2人、意気揚々とOS劇場へと向かいました。
ところが何と・・・・・
「ロボコップ2」の上映期間は終わっていました。
しかも観に行った前の日が最終日でした。
はうあっっ!!
途方に暮れるヘヴィメタル・ブラザーズ。
しかしこのまま帰るのももったいないので、とりあえず今どんな映画を上映しているのかを見ました。
すると、
「ゴースト / ニューヨークの幻」
と書いてありました。
なんじゃそりゃ??聞いたこともない映画だ。
タイトルから察するに、ホラー映画かな?
ま、いいか。観て帰ろう。
意気消沈したまま2人で映画館に入りました。
しかしそこには予想だにしない光景が広がっていました。
カップルだらけだったのです。
というかカップルしかいません。
え?ホラー映画ってカップルで観に来るもんなの?
またしても途方に暮れるヘヴィメタル・ブラザーズ。
カップルまみれの中で、とんがった野郎が2人。きつい。これはきつ過ぎる。
しかしもう引き返すわけにはいかない。
カップル率99%の中で、野郎2人、仲良く鑑賞しました。
そして観て納得。
思い切りラブロマンスの映画でした。
当時ラジオ番組に加えて「スクリーン」という雑誌を購読していたのですが、少し前から経済情勢が悪くなり、買っていなかったのでこの映画の情報がなかったのです。
2人とも、この映画を観てしまったことを後悔し・・・と思いきや、
2人とも、この映画を観て感動に打ち震えていました。
めちゃめちゃ面白い映画でした。僕たちはむしろ「ロボコップ2」が前日に終わっていたことに感謝したのでした。
(あらすじ)
銀行員サムは、最愛の恋人モリーと平穏で幸せな日々を送っていた。
しかし悲劇が突然訪れる。
デート中、暴漢に襲われサムが命を落としたのだ。
だが現世に強い心残りを持つ者は霊界へは行けない。サムもその1人で、彼は霊界と現世の間で霊としてさまようことになってしまう。
そんな中、サムが暴漢に襲われたのは偶然ではなく、仕組まれた罠であることが発覚。
その陰謀に巻き込まれていく最愛のモリーを守る為、サムはインチキ霊媒師の助けを借りながら、霊としてこの困難に立ち向かってゆく。
という話です。
ゴースト / ニューヨークの幻
1990年 アメリカ作品。
監督はジェリー・ザッカー(知らん)。
主人公のサムに「ダーティ・ダンシング」のパトリック・スウェイジ。
霊媒師オダ・メイ・ブラウンにこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞したウーピー・ゴールドバーグ。
今回久しぶりに観直してみて、やはり面白い作品だ、と再認識しました。
サスペンス、人間ドラマ、コメディ、ロマンス、どの要素をとっても一級品。
最初から最後まで引き込まれてしまう極上のエンタテイメント作品です。
特にこの映画を面白くしているのが、インチキ霊媒師を演じた「ウーピー・ゴールドバーグ」の存在。彼女なくしてこの面白さは生まれなかったでしょう。
これでアカデミー助演賞を取ったのも超納得。この演技で賞をもらえなかったらアカデミー賞の価値なんて無いに等しいです。
緊張感あふれるストーリー展開に笑いの要素を与え、重要な場面での鍵を握り、クライマックスでは最も重要なポジションを取り、最後には感動を。
この映画に何とも言えない奥行きをもたらしているのは間違いなく彼女です。
そしてもう一つ、この映画を印象的にしているのが主題歌。
1965年にヒットしたオールディーズナンバー、
ライチャス・ブラザーズの「アンチェインド・メロディー」。
まるでこの映画の為に作られたのかと見間違うぐらいのハマりっぷり。
この映画といえばこの曲を思い出す人は多いのではないでしょうか。
僕ときんどんはエンドロールが流れ出し、次々とカップル達が立ち上がる中、ずっと座ったままでいました。感動と余韻で立ち上がれなかったのです。
そして館内に明かりがつき、やっと立ち上がった僕たちは、残りのカップル達に混ざりながら映画館を後にしました。
出口で客を見送るスタッフのお姉さんが僕らを観て一瞬「ビクッ」としたのを横目で確認しながら。
そして僕の心の中には熱い気持ちが芽生えていました。
僕もこれから愛する人を命を懸けて守っていくのだ、と。
彼女もいなかったくせに。
その将来を危ぶまれた暗黒少年も、今や結婚して18年目。
人生、なんとかなるもんですね。
今日の1曲:The Righteous Brothers「Unchained Melody」