がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

焼肉特急、1番線ホームより発車いたします。

「食べ放題」

この甘美な響き。その甘~い囁きに導かれ、心ゆくまで食べまくった青春の日々。

 

でも、今はもうその言葉を耳にしても、あの時のような高揚感は失われてしまいました。

 

ナウいヤングの頃は「いかにして元を取るか」を最重要テーマとして掲げ、

フグのようなお腹になるまで食べ続け、

「今日も元を取った」という達成感を味わい、

人生の成功者のような気持ちになってフィーバーしていました。

 

しかしいつの日からか、「元が取れてないな・・・」と思う回数が徐々に増えていき、その敗北感からあまり食べ放題のお店に行かなくなりました。

 

特に最近きついな~と思うのが、「焼肉の食べ放題」

圧倒的強者に対する弱者の惨めな気持ち。

この文字を見ただけで胃もたれがします。

焼肉は食べたい。

でも食べ放題ではない焼肉店は値段が高い。

安くて良質なお肉を食べれるお店はなかなかありません。

 

ある日、大阪の南部をドライブしていると、何回か同じ看板が目に入ってきました。

 

「焼肉特急」

 

むむっ!?なんか新しい響きだ。

ただ、お店の外観を見るとなんだか安っぽそうな感じでした。

どうせ大したことないに決まってる。

しかし・・・・・

 

「特急」という点が気になる・・・。

 

先日、魚べい「夢の寿司特急」を体験した時のワクワク感がよみがえって来たのです。

とりあえず調べるだけ調べてみました。

 

調べた結果、やはりお肉を特急が運んでくれることが判明。

 

行って来ます!

 

僕の棲み家である大阪北部にお店がないか検索すると、池田市にありました。

インスタントラーメン誕生の地、日清食品のある池田市

そして我が愛車の生誕の地、ダイハツ工業のある池田市

いい予感がします。

焼肉特急 池田駅

「池田店」ではなく「池田駅」と呼んでいるところからも既に遊び心がにじみ出ています。これは期待できそうですよ。

安っぽいと思っていた外観も、よく見ると往年の国鉄(JR)の特急電車のデザインが施されていました。

 

余談ですが、僕の家の近所に撮り鉄さんの間では有名な鉄道の撮影スポットがありました。

子供の頃にはよくそこへ電車を観に行っていたのですが、その時に頻繁に見かけたのが、特急「雷鳥でした。

大阪~富山間を駆け抜ける北陸本線の雄。

しかしあまりにもよく見かけるので、「なんや、また雷鳥か」と文句を言い、いつからか「雷鳥」は僕のテンションを下げる特急となってしまいました。

 

ところが大人になっていた2011年。

特急「サンダーバードに後を託し、雷鳥」が遂に引退する、という記事を目にしました。

小さい頃は「また雷鳥か」と言っていましたが、一番多く目にしていた思い出の特急。

一番思い入れがあったのもこの「雷鳥」だったんだと、この時に気づきました。

そして僕は無意識のうちに大阪駅でこんな物を買っていました。

 

いなくなって初めてわかる大切さ。

雷鳥、僕は本当は君のことが大好きだったんだよー!

「なんや、また雷鳥か」とか言って悪かったよー!

帰って来てくれよー!

サンダーバード」なんて嫌だよー!

君を英訳しただけじゃないかよー!

よー!

よー!

 

さて、焼肉特急ですが、店内に入ると鉄道を匂わせる仕掛けがそこかしこに散りばめてありました。

各席にはこんなプレートが掲げてあり、

 

上を見上げると車内広告があり、

 

つり革もあります。

 

好きやで!そういうの。

 

さあ早く注文して特急特急!!

開店直後のランチに行きましたが、既に満席です。かなり人気のお店のようです。

ランチはお得なセットがあるので、それを注文しました。

あとは、特急の到着を待つだけ!

 

数分後、近づいて来たモーター音!

 

駅のアナウンスが入り、到着!!

 

テンションがMAXに達した48歳の男性!!

 

興奮してカメラを特急に向ける男性!!

 

しかし男性はこの時、ギョッとしました。

 

特急レーンを挟んで隣の席から、中学生ぐらいの女の子が男性の方を見ていました。

 

そしてその少女の目は、

 

失笑混じりのとても冷ややかな目をしていました。

 

わかる、わかるよ。君の気持ち。

隣の席のおっさんが興奮し、嬉々としているみっともない姿が思春期の心に大きな波紋を広げたのだろう。

しかし少女よ、これだけは言っておこう。

 

「特急はおっさんのロマンなんだよ。」

 

だから今日は大目に見てね💛

 

そしてこの時、僕はこのお店の弱点に気づきました。

 

隣の席と特急レーンを共有しないといけないのです。

 

その為、特急が到着する度に、それぞれのテーブルから

「自分の肉が来たんじゃないか」という視線が特急に注がれ、隣のテーブルの人々と目が合ってしまうのです。

 

あと、この特急ですが・・・・・

 

魚べいの寿司特急に比べると、スピード感がイマイチで、特急感があまりありません。

見た目も特急というよりは「貨物列車の荷台」みたいな感じです。

でもタッチパネルで注文し、特急が運んでくれるというシステムは店員さんとの接触もなく、とても良いと思います。

 

ランチのセットです。ご飯を特盛にしても値段が同じなので特盛にしました。

最初なのでいろんなお肉が入っているセットにしました。

うひょひょ~!

無煙ロースターなのでガンガン焼いても煙にいぶされることがありません。

これはいいですね。

 

普通の人ならこのランチだけでも十分だと思いますが、

僕は食べ放題がきつくなってきたとはいえ、まだまだ普通のおっさんよりは食べれます。

 

肉、おかわり!

 

ロース、中落カルビ、上赤身、タッチパネルを連打しました。

どのお肉も399円です。

安い!そしてお肉の質もなかなか良い!

理想の焼肉店が見つかりました。

 

締めはもちろんデザート!

僕のデザートだけを健気に運んでくれました。ありがとう。

焼肉後のアイスクリームは悪魔的な美味しさです。

 

結局食べ放題と遜色ないぐらい食べてしまいましたが、デザートまで食べて1人2500円ぐらいでした。

2500円ぐらいの焼肉食べ放題ってろくなお店がないですからね。

良質なお肉をこの値段でたらふく食べれるなんて安いです。

 

お腹具合が終点まで来たので、降車することにしました。

帰りはこの乗車券をレジに持って行きます。

最後まで心をわしづかみにされました。

さらに・・・

レジも特急仕様です。

楽しい、楽し過ぎる!そして安くて美味しい。

また来よっと!

 

後日、池田市内の中学校である噂が拡散していました。

 

「あの焼き肉屋、たまに異常なテンションのおっさんが来るよ。要注意。」

 

がっち容疑者、池田市内全域で指名手配。

おい、がっち!

 

今日の1曲:Crosby,Stills&Nash「マラケッシュ行急行」