がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

二匹のおっさん、エスコヤマへ 行く

孤高のチョコマスター「もっくん」

転勤前の職場の同僚であり、僕に本物チョコへの扉を開いてくれたスイーツ大臣です。

30代の独身男性である彼は、とにかくスイーツの知識が半端なく、女子よりも女子力が高いと評判の匠です。

 

休日に1人でお洒落なスイーツ店に足を運び、女子ばかりの行列に身を投じ、女子に囲まれたイートインでスイーツを堪能し、お土産に大量のスイーツを購入し、凱旋帰宅。

 

そのあまりにも威風堂々とした立ち振る舞いから「勇者もっくん」とも呼ばれ、僕を初めとするスイーツ弟子たちからの尊敬を一身に集めています。

 

しかし勇者もっくんには弱点がありました。

 

イカーがないのです。

 

大阪市内のど真ん中に住んでいるため、駐車場代が高すぎて、自分の車を持つのが難しいのです。

しかし昨今の有名スイーツ店は、郊外の不便な場所にある事も多いです。

関西圏のスイーツ店を知り尽くしているもっくんは公共交通機関を駆使し、どこへでも出向いて行きますが、大量のお土産を持って帰るのを考えると、やはり限界がありました。

もっくんには思い出のお店がありました。

過去に1人で電車とバスを乗り継いで向かったその先に、「夢のおやつ王国」があったらしいのです。

転勤になる前、僕はもっくんをその王国へ僕の車で連れて行くことを約束していました。

そして半年が過ぎ、遂にその時がやって来たのです。

 

その王国の名は、エスコヤマ」

 

関西人なら誰もが知る超有名スイーツ店です。

ケーキのみならず、チョコレートやパンなど、そのどれもが超一級品。

よく百貨店の催事などでは登場するのですが、お店は兵庫県三田市にしかありません。

大阪から三田市はなかなかの遠さです。

マスターもっくんによると、催事では食べれない、直接お店へ出向かなければ食べれない至高の逸品があるらしいのです。

 

さすが師匠!

 

相変わらずあんたのスイーツ知識は常軌を逸している。

 

そして王国へ向かう日が決まってからの僕たちのLINEの内容がまた、常軌を逸していました。

 

コヤマへ着いたらまずどこへ向かって何を食べるのか、何を狙って買って帰るのか、そんな事をキャッキャッとしながらLINEをしていました。

 

休日前の女子か。

バリバリおっさん2人やん。

 

そして王国訪問の当日。

白影号で師匠を迎えに行きました。10時のお店開店に対し、8時に集合するという気合いの入りようです。

久々のもっくんとのスイーツ談義はとても楽しく、あっという間に王国に到着しました。

開店30分前の到着でしたが、もう既に駐車場には車が停まっていました。

週末は少し遅い時間になると満車になり、入れなくなることがあるそうです。

早めに来たのは正解でした。

 

遂に勇者もっくんとその弟子、悲願の王国入り!

 

エスコヤマ

付近一帯、何棟にも別れたお店が立ち並ぶ、町ごとスイーツ店のような、テーマパークのような、まさに王国。

初めて訪れた人は、まずどこへ向かえばいいのか途方に暮れることでしょう。

しかし僕にはマスターが付いています。

迷わず最初に向かうべき場所を指し示してくれました。

写真の右に見えるお洒落過ぎる空間が最初の目的地。

hanare(ハナレ)

開放感抜群の大きな窓が特徴のカフェ。

ここだけでしか食べれない極上スイーツがいただけます。

この空間はヤバい。どう見ても女子しか来なさそうな雰囲気です。

ところが驚いたことに・・・

 

僕らの他にもう1組、野郎2匹で着席していました。

 

うーん。キモい時代になったもんです。

 

さて、このハナレでは、テイクアウトでは食べれない幻の逸品が食べれるということなので、それを注文しました。

 

ハナレノショート

え?ただのショートケーキ?と言うなかれ。お店で売っているショートケーキとは別物だそうです。

もっくんは過去に、どう違うのかを調べるべく、両方を食べ比べたらしいのです。

 

師匠、あんたの脳みそがショートしているぜ。

 

クリームが凄く上品で食べやすく、なかなか大きいのですが一瞬で食べ終わりました。

中に小さな小さなチーズケーキが入っており、これが絶妙なアクセントになっていて、確かに普通のショートケーキとは別次元のものでした。

さすがもっくんセレクト!

ちなみに横に転がっているのはマカロンではなく、苺のジェラートです。

これがまた美味い。

もう第一ラウンドからKO寸前です。

外には既に行列ができていたので、早々とハナレを出ました。

そして次の目的地へ。

 

勇者もっくんと従者がっち、怒涛の進撃!

アホや~。

 

次の目的地こそがチョコマスターもっくん、最大の目的地。

な、何!?このジブリ感。

ROZILLA(ロジラ)

「大の大人が本気で作る秘密基地」というコンセプトの、ショコラ専門店。

この変わった名前は「路地裏」と「ゴジラ」を組み合わせたそうです。

エスコヤマは各店舗、それぞれにこだわりを感じさせますが、中でもこのROZILLAには最も強い小山シェフのこだわりを感じました。

入口は二重扉になっており、USJのアトラクション気分でちむどんどんします。

中は少し暗めなムーディー系。並べられたチョコ菓子の箱にロックスターの如くスポットライトが当たっています。

そしてそのライトに引き寄せられるように箱に手を伸ばすもっくんと僕。

昆虫のような生態です。

むむっ!?端にいるのはもしや・・・。

制服を着たペッパー君。下は何も履いていない、くまのプーさん仕様です。

ペッパー君は、こちらが黙っているとガンガン喋ってきます。今日も喋ってきました。

以前、ある所に居たペッパー君があまりにもうるさかったので、怒涛の質問攻めをして反撃すると完全にフリーズしてしまいました。打たれ弱いペッパー君。

 

この怪しげな空間は、小山シェフがセミナーを開いたりする場所のようです。

チョコレート教の信者が大勢集まることでしょう。

 

そしてこのROZILLA最大の売りは、真ん中に鎮座するガラスで仕切られたスペース。

ここが何とボンボンショコラ専用の売り場なのです。

一組ずつ中へ入り、注文するのですが、宝石店に来ている気分です。

一粒〇百円もする高級チョコがずらりと並んでいるわけですが、眺めているうちに

「宝石に比べたら安いな」と、とんでもない勘違いをしてしまいそうになります。

テトリスをしているような気分にもなります。

雰囲気に飲まれ、買っちゃいました。

あ、あかん。これをのり弁当何食分とかに換算してはいけない・・・。

しかしこれだけにとどまらず、スポットライトが当てられたスター達に次々と手が伸びていきました。

 

KAI

いわゆるチョコレートケーキですが、とんでもなく美味しいです。

ミルクとビターの2種類のチョコがゴロゴロと、ホテルカレーの牛肉のように惜しげもなく入っています。

 

MADOKA

これは過去に催事で何度も購入していますが、また買っちゃいました。

サブレにミルクチョコがコーティングされている無敵のチョコ菓子です。

 

チョコレートドリンクパウダー

もっくんが以前買って美味しかったというので買ってみました。

牛乳にチョコの粉をかき混ぜて飲むタイプのやつですが、これを飲んだ時に思ったのが、

高級なミロだ。

無類のミロ好きだった少年時代。

スプーンにミロを大量にすくい、牛乳には入れずにそのまま口へ運び、親に怒られた記憶がフラッシュバックしました。

 

ROZILLAにおいて、出発前に見積もっていた国家予算をはるかにオーバーしてしまいました。予算を上方修正する必要がありそうです。

 

それでも勇者と従者は、火の車の財布を振り絞って最後の戦いに挑みました。

 

目指すはエスコヤマの「本丸」

なんかやっぱり・・・ジブリっぽいな。

本丸へ突入!

本丸の中もすごい事になってます。子供が喜びそうなものがそこかしこに仕掛けてあります。しかし子供以上に僕が喜んでいたのは言うまでもありません。

 

ここでの最終ミッションは、これ。

コヤマロール

エスコヤマの名を世に知らしめた、至高のロールケーキ。

僕が最初にここを知ったのもこれがきっかけでした。

会社の後輩「エムゾー君」。彼がいつもこれを買って来てくれたので、僕はここへ来る機会が今までなかったのです。

そのエムゾー君も今や出世してもっくんの直属の上司。

出世祝いとして彼の分も買って帰りました。

生クリームの脇に抱えられるようにして入っている「栗」がええ仕事しとるんです。

久しぶりに食べましたが、改めて美味しいな~と思いました。

 

これで王国での夢時間は幕を閉じました。

まだまだパン屋さんやマカロン専門店など、行きたい所はありましたが、さすがに身を滅ぼしてしまいそうなので、終わりにしました。

師匠、また来ましょう!

 

帰宅後、妻の目線をお土産の方へそらせておいた隙に、僕は家の奥へ直行しました。

そしてすばやく、

 

今日のレシートをシュレッダーにかけました。

 

国家予算を揺るがす散財は、こうして歴史の闇へと葬り去られました。

 

し、しばらく節約します・・・。

 

今日の1曲:The Band「火の車」