世界童話史上、最も残酷で無慈悲な物語と言われている、
「浦島太郎」。
この理不尽な物語に対しての疑問を「こどもの日チロル」を組み立てる度に思い出し、当ブログでも何度か問題提起をしてきました。
しかし平日に毎朝観ている「す・またん!」という情報番組で、
「浦島太郎にはまだ続きがあった」という衝撃的な事実が報道されていました。
あの唐突なエンディングは、その先は童話には相応しくないという理由でカットされていたせいだというのです。
ではまず、もう一度「浦島太郎」を検証してみましょう。
海岸でいじめっ子から1匹の海亀を守った正義の少年、浦島太郎。
彼は「お礼をしたい」という亀に言われるがまま、竜宮城へ連れて行かれます。
しかしこの時点で既に、彼の取った行動は間違っていたのです。
初対面の亀に「はいはい」と子供がついて行ってはいけなかったのです。
しかも陸上ではなく、海の底にあるという、どう考えても怪し過ぎる「竜宮城」などという場所に!
この怪しげな館で、浦島太郎は子供の域を超えた接待を受けます。
そして彼の前に「乙姫」という美しい女性が現れます。
この乙姫がまた、とんでもない曲者だったのです。
乙姫は社会経験の少ない純朴な少年を、連日接待づけにしました。
そして当然のように、浦島少年は我を忘れてこの夢のような接待に溺れて行きました。
そんなある日、浦島は突然我に返ります。
「そういえば、お母さんはどうしているだろうか?」
遅いわっ!!
3年も遊んでから、やっとその事に気づいた浦島太郎。
3日ぐらいで気づけよ。
1日でも帰ってこなかったらお母さんは心配してるんだよ。
急に都合よく寂しくなった浦島は、乙姫に「帰りたい」と告げます。
しかし乙姫は「帰ってほしくない」と引き留めます。
それでも帰りたいと聞かない浦島に対して、
遂に悪女、乙姫が牙をむく!!
乙姫は浦島の帰り際、「玉手箱」というこれまた胡散臭い箱を浦島に手渡したのです。
浦島はこの時、この箱が自分のその後の運命を劇的に変えることになろうとは、知る由もありません。
そして悪魔の一言。
「この箱は、絶対開けてはいけませんよ。」
・・・しかしまあ、こんな言い方をされたらかえって気になって、開けますよね。
これは開けるように誘導する為に高度な「ダチョウ俱楽部理論」※を使った乙姫の狡猾な策略だったのです!
※ダチョウ俱楽部理論
(押すなよ、押すなよ、と振っておいて押させる高度な人心誘導術のこと。)
故郷に帰った浦島は、違和感を感じます。
そして自分では竜宮城で3年過ごしたと思っていたのが、実は陸上では数百年も経っていたことに気づいたのでした。
絶望する浦島。
そして失意の中、遂に禁断の「玉手箱」のフタを開けてしまったのです。
箱の中から立ちのぼった煙に包まれる浦島太郎。
そして彼は一気に老人になってしまったのです。
このアグレッシブな展開に戸惑う読者に対して、この後さらに混乱に陥れる有名なセリフが入ります。
「めでたし、めでたし。」
え??終わり???
そこで終わるの???
昔のフランス映画なみの唐突なエンディングに呆然と立ち尽くす少年少女たち。
そしてしばらくしてから、ふと思います。
何がどうめでたいねんっっ!!!
このエンディングに傷ついた幼き心。
ある子供は本を読まなくなり、ある子供は人を信用しなくなり、また一部の暗黒少年は「あまりいいことをするもんじゃないな」と歪んだ思想を持つようになりました。
「世界で最も教育に悪い童話」
これが僕の思っていた今までの浦島太郎でした。
ところがこの物語には、続きがあったのです。
その続きとは・・・・・
浦島太郎の人生は、老人になった後もまだまだ続いたのです。
というのも、浦島老人はなんとその後、
鶴になったのです!
・・・・・は!?なんで???
またしても読者を混乱へと導く荒唐無稽な展開。
そしてその後、
亀となって現れた乙姫と再会し、二人は夫婦となり、仲良く暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
という展開が待っていたのです。
男女のややこしい恋愛話という点で、童話にする時はこの部分がカットされたのでしょう。
これによって、いくつかの疑問は解けました。
まず、「めでたし、めでたし」の意味。
うん、これならめでたいというのもギリギリ納得・・・かな。
それと、浦島が助けた「亀」が乙姫だったということ。
体を張って自分を助けてくれた浦島太郎に乙姫は恋をしていたのです。
だから竜宮城から帰ってほしくなくて引き留めていたのです。
そしていつか玉手箱を開け、お爺さんを経て鶴になった頃合いを見て会いに行こうと思っていたのです。
そうかそうか。疑って悪かったね、乙姫さん。
いや、待てよ。
浦島を鶴に変えたのは何故??
何故、乙姫と同じ亀にしなかったのでしょうか?
一般的に「鶴は千年、亀は万年」といいます。
ということは・・・
乙姫、未亡人確定。
うわーっっ!!やっぱりわからん!!
細かいディテールを考えると、人を鶴に変える労力より、亀に変える方が簡単だったんじゃないのか?
先に亡くなるであろう浦島太郎の保険金でその後を暮らそうと企んだのか?怖っっ!
そして何より、太郎が帰って来るのを待ち続けていたはずのお母さんが一番可哀想じゃないか!!!
お母さんに関するエピソードには全く触れられていません。
結局、全編を通じて乙姫が自分のエゴを貫いただけ。
やはりこの物語は不可解な部分が多すぎます。
私は国会へ要望書を提出する。
「浦島太郎」を速やかにR-15指定とすることを。
もはや、童話にあらず。
※この記事は一人の奇人の偏った思想を反映したものであり、当社とは一切関係ありません。
今日の1曲:Cyndi Lauper「Time After Time」