がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

誰が為にカフェは在る

ガチャガチャとした普段の生活に欠かせない、ホッと一息つける空間。

 

自分の家はもちろんその空間なわけですが、ずっと過ごしている所なので、たまにはいつもと違う特別な空間でゆっくりしたいな、と身分をわきまえないわがままな気持ちになる時があります。

旅行へ行けばその願いは叶いますが、そんなに頻繁に行けるものではありません。

 

そこで手っ取り早く「非日常空間」にワープする手段として、

 

「カフェ(旧姓:喫茶店)」

 

と呼ばれる素晴らしい文化が存在するのです。

 

しかしどこのカフェでも寛げるかというと、そうではありません。

いや、むしろ本当に寛げるカフェの方が少ないでしょう。

人それぞれ、寛げる基準というものがあると思うのですが、僕にも明確な基準があります。

僕にとっての重要なポイント。それは、

 

「タチの悪いママ友軍団がいない」、という点です。

 

以前に訪れたカフェでこんな事がありました。

そのお店は普通のテーブル席の他に、10人ぐらい座れる大きなテーブルがありました。

でもその大きなテーブルは、決して大人数用の席ではなく、「おひとり様」カップル」が気兼ねなく来れるように、という配慮から置かれているものです。

 

僕たちは「カップル」だったのでその大きなテーブルに座りました。僕ら以外はまだ誰も座っていませんでした。

するとしばらくして、10人ぐらいのママ友軍団が入場して来ました。

嫌な予感がした僕は、この軍団が「いい軍団」なのか、「悪い軍団」なのかを見極めようとしました。

というのも、「悪い軍団」には必ず「ボス猿」がいるのです。

いつでもトークの中心にいる、もう見るからに心臓に剛毛が生えてそうな、押しの強さが全身からほとばしっているボス猿。これがいるか、いないかでその軍団の質がわかるのです。

 

 

 

いました。

 

一目でわかる押しの強さ。これはかなり強力なボス猿です。

心臓に山のような毛が生えていそうなので、「アフロ」と名付けました。

 

ボス猿アフロとその子分たち。今、僕が座っている大テーブルをなわばりとしているのでしょうか。

僕らの付近をウロウロし始めました。

 

「どけよ。」

 

という強力な圧を感じさせながら。

 

普通のカップルであれば、慌てて席を譲ったかもしれません。

実際いつもはそうして席を確保しているのかもしれません。

しかしこの日、大テーブルに座っていたのは普通の人ではありませんでした。

変猿、奇猿、狂猿など、様々な称号を手にするガッチという未知の生物が鎮座していたのです。

そこがボス猿アフロ、最大の誤算でした。

 

「どいてたまるか、アフロばばあ。」

 

変猿ガッチは絶対にどかないという強い意思表示を背中で示し、思い切り寛ぎ始めました。

珈琲を飲み、「ああ~♫」とか言いながら。

 

するとしばらくしてアフロ軍団は諦めたらしく、不穏な空気を漂わせながら渋々テーブル席の方へ移動していきました。

 

ボス猿アフロ率いる悪のママ友軍団からカフェの平和と秩序を守った奇猿ガッチは、心の中で勝手にお店からの感謝状をいただいたのでした。

 

そんな事もあって、僕がカフェを選ぶ基準の一つに、

「悪のママ友軍団がいる店には入るべからず」

という条文が付け足されたのです。

 

ある日、レコード発掘調査の相棒、ポール・ウェダー氏(旧姓:Mr.ノブサップ)からモーニングの誘いを受けました。

ウェダー氏は、奥方の起床が遅いので、よく一人でカフェにモーニングをしに行くのだそうです。

それだけに上質なモーニング処のデータをたくさん保有しており、僕も彼の情報を頼りにしています。

 

そして今回紹介してもらったお店がまた、めっちゃ寛げる良いお店でした。

 

場所は兵庫県宝塚市

 

宝塚!!

 

絶対お洒落やん。

宝塚歌劇団の優雅なイメージがそのまま町にも溢れている、上品な場所。

悪の軍団はいないと信じたい。

休日の朝、おっさん二人でお洒落町のカフェへ向かいました。

宝塚に入り、道幅も広くて凄く住みやすそうな住宅街に入りました。

そして到着。

珈琲屋らんぷ 宝塚店

JR福知山線 中山寺駅の近く、駅前とは思えない落ち着いた街並みの中にポツンと現れた渋い建物。

外観からも期待が高まります。

入口の扉も渋い。自動っぽくないですが自動です。

入ると素敵な待合室。

待合室でも普通に寛げそうです。

店内は優しい陽光が差し込む明るくて気持ちの良い空間が広がっています。

テーブルの色合いも落ち着いており、何とも言えない安心感。

何より僕が安心したのは、

「悪い軍団が入れる隙がない」ということ。

そんなに大きなテーブルがなく、間が区切ってあるので、テーブル同士をくっつけることもできません。

これを見たらボス猿は退散するはずです。

ボス猿はとにかく話題の中心に自分がいないと気が済まないので、仕切りがあれば満足のいく軍団会議ができないのです。

この姫路城なみの防御力の高さ。素晴らしい。

 

そして店内を見まわしながら思ったのが・・・

なんだか飛騨っぽいな・・・。

うん確かに飛騨っぽい。

飛騨高山を訪れた時の、自分との波長が一致する心地よさ。

あのエクスタシーを何故か感じている。宝塚なのに。

気になり調べてみるとこのお店・・・

 

東海エリアのチェーン店でした。

 

愛する高山にもお店があり、今年に梅を観に行って大好きになった三重県いなべ市にも、桜を観に行って大好きになった愛知県の稲沢市にもありました。

どうりで心地よいはずです。

 

僕の為のお店じゃないか。

 

とボス猿並みの自己中な思想を抱きながら、モーニングを注文しました。

出た!ドリンクを注文すると強制的にモーニングが付いてくる東海エリア独特のシステム。

近年コメダ珈琲のおかげで全国的にこのシステムは広く知れ渡りましたが、最初に見た時はかなり頭が混乱しました。

昔、小学校の前をうろうろしながら「これ、タダ(無料)であげるよ」と言って何かを配っていた怪しげなおじさんを思い出したのです。

 

まずはコーヒーがやって来ました。濃い色のテーブルに映えるカップ

露天風呂に入る直前のような、高揚した気分になりました。

そして強制的エッグトースト。美味そうだ。

トレビア~ン。

おっさんだけの寛ぎの朝。奥方たちは夢の中。

珈琲はすっきり飲みやすく、エッグトーストも美味でした。

静かで平和な店内で、ゆっくり、まったり、まるで山奥のリゾート地で過ごしているような気分でモーニングをいただきました。

 

しかしこれだけでは終わりませんでした。

 

メニューを開けると視界に入って来たのです。

 

甘い悪魔が。

 

アップルシナモンワッフル

 

ウ~ヒャ~ヒャ~♩

リンゴやリンゴやー!!

 

アイスやアイスやーっっっ!!

 

ホイップホイップーっっっ!!!

 

※☆⁂#%@◇〇ーっっっ!!!

 

狂猿ガッチ、朝の大暴走。

 

モーニングのお得感を帳消しにする蛮行に店員さんは震えあがりました。

 

「モーニングと本にかけるお金は惜しんではいけない」

 

と誰かが言ってたような・・・言ってないような。

 

言ってない。

 

ごちそうさまでした!

これこれ!この寛ぎがあってこそのモーニング。

珈琲屋らんぷさん、再訪確定です。大阪にも何店かあるようなので、今度は近くのお店に行こうかな。どれどれ、大阪はどの辺りにあるのかな。

東大阪と・・・八尾か。

 

また宝塚に来ます。

 

お店の前に、蚊取り線香が置いてありました。

和の建物と蚊取り線香。これ以上の相性の良さはありません。

そう言えばこないだ「ムヒ」を買ったのですが、

アンパンマンが付いていました。やったー!

に刺された時は「ムヒ」を、

ボス猿にお困りの時は「奇猿ガッチ」をご用命ください。

あなたの大事なカフェ時間、身を挺してお守りいたします。

 

今日の1曲:The Kinks「King Kong」