がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

鉄の上のナポリタン

日本にはナポリタンスパゲッティ」という奇妙な食べ物があります。

日本人が勝手に考案し、勝手にイタリアの都市の名前をつけたスパゲッティ。

ナポリの人はどう思っているんでしょうか?

僕らがイタリアへ行った時に「大阪人」という謎の食べ物を見つけた時と同じ気分なのではないでしょうか。

でも、日本でナポリタンを発見したナポリの人々は「これの何がナポリやねん!!」と言いながら食べ始め、

しばらくしてから「美味いやんけ!!」と驚くに違いありません。

名前はふざけてますが、美味しいんですよね~。

不思議な話ですが、今や日本人のソウルフードと言ってもいいでしょう。

 

でも最近、ナポリタンについてある深刻な問題が浮上してきました。

地球温暖化と同じぐらい、深刻です。

その問題とは、

 

「鉄板に載ってないナポリタンが多い」

 

という、日本の食文化を揺るがしかねない大きな問題です。

 

ナポリタンといえば、鉄板に載せられたまま席へ運ばれ、「ジュージュー」という音を聴きながら、一番底の少し焦げついた麺を無理やり引っ剥がして食べるのが醍醐味なはずです。

ところが最近のナポリタンはどうでしょう。

特にお洒落系のお店では、鉄板で出てくるお店は皆無。

ひどい店だと、「鉄板ナポリタン」という名前なのに、鉄板に載っているのは調理行程だけ。

提供される時には普通のお皿に載って出てくるという傍若無人ぶりです。

ナポリタンポリスに見つかれば営業停止です。(誰?)

 

この絶滅危惧種に指定される寸前の「鉄板ナポリタン」ですが、ある所にはあります。

それは、「昭和レトロな喫茶店です。

流行りの昭和レトロを狙ったお店ではなく、正真正銘、昭和から続く老舗の喫茶店

こういうお店は鉄板生存率が非常に高いです。

でもそんな喫茶店でも、最近は普通のお皿で出てくる所が多くなってきました。

そこで今日は熱心な鉄ナポファンの為に、間違いのないナポリタンが食べれるお店をご紹介しましょう。

 

場所はJR大阪環状線玉造駅の近く。たまぞうではなく、「たまつくり」と読みます。

昭和の空気感が色濃く残る下町。少し南へ行けばコリアタウン鶴橋」、西へ行けば人気の空堀商店街」があります。

この玉造駅から東へ5分ぐらい歩いた所に、「鉄ナポファン垂涎のナポリタン」が提供される喫茶店があります。

このクセ強めのパン屋さんの前を通り、もう少し歩くと、

 

喫茶シャトウ

もはや昭和の匂いしかしない、「いかにも」な喫茶店

そして大阪では、この手の喫茶店には必ずと言っていいほど生息している生物がいます。

 

学名「O.O.O」(トリプル・オー)と呼ばれる特殊な生命体です。

 

「Obachan Of Osaka」

 

日本名:「大阪のおばちゃん」です。

 

今日もお店に入ると、

 

いました。

 

2人組のオバチャーンズ。

これは大阪の七不思議の一つなのですが、おばちゃんが複数人集まると、必ずその中に

「ダミ声のおばちゃん」がいます。今日も1人はダミ声でした。

そして予想通りのマシンガントーク

本日のBGMはオバチャーンズのトークショーに決定です。

 

あと、この手のお店は喫煙OK率も非常に高く、こちらも例に漏れず。

でも入店した時にはタバコの匂いがしましたが、不思議なことに着席すると全然気になりませんでした。

朝7時から営業しており、モーニングメニューも充実しています。

大阪市内にしては、凄く頑張っている値段設定です。

ランチメニューも豊富です。

コーヒー、サラダ、バゲットが付いてもほとんどが千円を切る値段設定。

水が入ったタンブラーがいいねえ。

お店の中央にそびえるブルーのアーチがお洒落です。おばちゃんの声が聞こえなかったらローマに居ると錯覚しそうです。

意外と席数も多く、落ち着ける空間です。でもBGMはおばちゃんのトークです。

雰囲気のある、とても素敵なお店ですよ。

 

では、ナポリタンセットを注文しましょう!

ところで大阪では、ナポリタンのことを「イタリアン」と呼ぶお店も多いのですが、こちらでは「両方」です。

スタンダードなナポリタンを「イタリアン」、ハンバーグが載ったものはナポリタン」と呼んでいます。謎の使い分けです。

まずサラダと、

バゲットが運ばれ、

しばらくして、

 

「ジューッッ!!!」

 

という心地よいサウンドに乗り、

真・ナポリタン降臨!!

 

ハンバーグナポリタン

シャトウ名物、極上ハンバーグがドーンと載ったボリューミーなナポリタン。

これぞナポリタン!底の麺には当然焦げ目がついています。

そして上のハンバーグが驚異のハイクオリティ!

単体でも名物になれるぐらいのレベルの高さですが、それが美味しいジュージューナポリタンと一緒に食べれるという幸せ。

これを食べるともう他のお店のナポリタンは食べれません。

 

妻はスタンダードな方を注文。

イタリアンスパゲッティ

正に王道。純粋にナポリタンを楽しみたい人にはこちらがいいでしょう。

世のお洒落過ぎるカフェたちよ!これが本物のナポリタンだ!!

すぐに道具屋筋で鉄板を買って来い!!

こういう本物を味わえるお店がもっと増えてほしいですね。

 

おばちゃんのダミ声を聴きながら、夢中になって麺をすすりました。底の麺も期待通りの焦げ量でした。

ちょうどナポリタンを食べ終わった頃、オバチャーンズが帰っていきました。

 

この時初めて、お店の中でラジオがかかっていたのに気づきました。

 

魅惑のダミ声によってラジオの音がかき消されていたのです。

うーん、恐るべし大阪のおばちゃん!

 

そして食後のコーヒーが運ばれてきました。

大阪の昭和世代の人々(特におばちゃん)は、アイスコーヒーのことを「レーコー」と呼びます。

以前、ス〇バでも「レーコー」と言っている人を見かけましたが、それはやめておきましょう、という僕からのアドバイスです。

ザ・喫茶店な感じの、少し濃いめの美味しい珈琲でした。

 

おばちゃんがいなくなり、静かになった店内で、ラジオを聴きながらゆったりと過ごしました。

しかしそのラジオを聴きながら、僕は思いました。

 

おばちゃんのトークの方がオモろいな。

 

プロのDJ、浪花の伝統芸能に敗れたり。

早く次のおばちゃん来ないかなあ。

 

今日の1曲:ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「ブルー・シャトウ」