少し前に宝塚で遭遇した、恐怖の食パン食べ放題。
少量の珈琲を切らさないようにチビチビと晩酌をするように飲みながら、ひたすら食パンをおかわりし続けるという、稀有なモーニング体験。
あれはあれで貴重な体験ではあったのですが、その時本当に求めていたのは、いろいろなパンを選べる「パン食べ放題」でした。
そしてその求めていたものが遂に見つかった、というタレコミが入りました。
情報源はまたしてもレコード発掘調査の相棒、ポール・ウェダー氏。
彼の豊富な情報量にはいつも感心させられますが、実はそのバックには「黒幕」の存在があったのです。
その黒幕とは、ウェダー氏の奥方である「ウェダー夫人」。
僕の中では「キュリー夫人」と並んで「世界の二大夫人」としての地位を確立しています。
今回のタレコミも、ウェダー夫人による情報だというので更に期待が高まりました。
結論を言うと、期待以上の素晴らしいランチだったのですが、一方でなかなかハードルの高いランチでもありました。
人気があり過ぎて、めちゃめちゃ並ぶのです。
でも「パン食べ放題」を達成する為ならその程度は晩飯前です。
計画を立てました。
11時開店なので、1時間前の10時には到着できるように逆算して早めに出発しました。
お店の場所は神戸・三宮。
今回はなんと近くの安い駐車場の場所までウェダー夫人が調べてくれました。
しかし夫人はウェダー氏に対し、「不吉な予言」をしたそうです。
その内容とは、
「あなたたちはなかなかこの駐車場にはたどり着けないでしょう」
という恐るべき予言でした。
そしてその予言は的中しました。
駐車場のすぐ近くまでは容易に行けるのですが、一方通行が多過ぎてなかなかたどり着けません。
グルグルグルグルと近辺を回る怪しい車。
ナビはさっさと案内をやめました。おいっ!!令和の無責任男!
でも回っているうちにだんだんと迷路を解読してきました。
だいぶ時間がかかりましたが、無事に到着。
こうなる事を駐車場を探す時に瞬時に見抜いていたウェダー夫人。
さすが世界二大夫人の一人です。
少し予定よりは遅れたものの、まだ開店時間までは45分ありました。
ところが・・・
既にこの行列。
一番先頭の方は何時に来られているのでしょうか。
最初の15人まではイスが用意されているようです。
ざっと数えてみたところ、僕たちの前には30人は並んでいました。
女子率98%。カップルはいますが、野郎2人は僕たちのみ。
少し恥じらいを感じましたが、会社の同僚チョコマスターもっくんであれば堂々と1人でも並ぶはずです。そう思うと勇気が出て来ました。
ところで本日のお店ですが、
ホテル ケーニヒスクローネ神戸
デパ地下でもお馴染みの人気洋菓子店「ケーニヒスクローネ」が手がけるホテル。
その中の食事処「くまぽち邸」で、パン、サラダ、ドリンクがおかわり自由のランチがいただけます。
このランチが大人気なのですが、行列にはもうひとつ理由があります。
先着50名にケーニヒスクローネの看板商品「クローネ」がプレゼントされるのです。
「タダ」に弱い関西人。大阪に比べると上品だと言われる神戸の人でもそれは同じです。
とりあえずこの50人には入れたので一安心です。
あとはひたすら待ち、11時に選手入場開始!
なのですが、この後、更なるハードルが待ち受けていました。
ケーニヒスクローネ・ランチの心得 その①
「席は出来るだけ早く取るべし」
入店時、席をキープするためのカードをもらえるので、それを好きな席に置き、その後にパンとサラダを取りに行き、レジで精算を先に済ませるのですが、
その時に再び行列が発生します。
なので席を迷っていると、その間にどんどんと行列が伸び、せっかく早くに入店しても、またそれ以上の行列に並ぶ可能性が出て来ます。
席は1階と2階にあり、2階の方がゆっくり出来そうですが、おかわりのパンを取りに行くのは1階の方が有利でしょう。
ケーニヒスクローネ・ランチの心得 その②
「初回のパンを取り過ぎないこと」
行列に並び、まず盆にパン用のカゴを載せ、パン選びに入ります。
「パンは1回につき5個まで」というルールがあるのですが、ここで人間の浅ましさが出てしまいます。
人間は「5個まで」と言われると、どうしても上限の5個を取ってしまうのです。
しかしカゴの大きさは、どうみても3個ぐらいしか入りません。
僕は「5個も入るかこんなもん!」と言いながら、
5個入れてしまいました。
この浅ましい行動がこの後、悲劇を呼びました。
カゴから完全にはみ出した5個のパン。
見るからにギリギリのバランスでかろうじてカゴに入っています。
そこへスタッフの方が、僕の盆にサラダを置いてくれました。
するとその時の重みと衝撃で、
ドッパーン!!
とパンの花火が上がりました。
あらゆる方向に飛んで行く僕のパン。
なんとか地面には落ちず、再びカゴへ戻しましたが、冷や汗が出ました。
そしてその様子を見ていた後ろに並んでいた女性が冷ややかな視線を送ってきたことで、その冷や汗は完全に凍りついてしまいました。
初回のパンは3つぐらいにしておきましょう。
この後、レジでドリンクとメイン料理を注文し、精算を済ませます。
メイン料理は5種類。
・野菜グラタン
・卵とお餅のビーフシチュー
・野菜のビーフシチュー
・パスタ(ナポリタンorクリーム)
何を選ぶかで値段が変わりますが、税込み2,200円ぐらいです。
メイン料理は後で席まで持って来てくれるので、
とりあえずこの状態で席へ戻ります。
うん、やっぱりパン入れ過ぎだぞ、コノヤロー。
席がお洒落です。神戸っぽいな~。
イスに置いてあるクッションを見て女子たちが「可愛い~💛」と言ってましたが、
同意しかねます。目が光っていて怖いぞ。
ではメイン料理が来るまで、パンとサラダを楽しみましょう。
いただきまーす!
パンのクオリティの高さに驚きました。
こんなパンが食べ放題でいいのか!?
いいよ~。
特に塩パンが美味しかったです。
サラダもたっぷり。クオリティも高い。
アイスのドリンクは可愛らしい四角形の珍しいグラスに入ってます。
メイン料理が来る前にパンを食べ終わりました。
すぐにおかわりへ。
おかわりのパンとサラダはこちらから取ります。
やっぱりこれは3個用のカゴですね。
そしておかわりパンをほおばっていると、メイン料理が到着しました。
野菜のビーフシチュー(withプリン)
と同時に、
選ばれし勇者50人の証し、クローネが来ました。
遂に役者が揃ったケーニヒスクローネ・ランチ。
しかしテーブルに並んだ役者たちを見ながら僕は思いました。
これ、少食の女性には完食するの無理なのでは?
ましてやパンのおかわりにまで行きつく人は少ないのでは!?
まあこの時点で僕はすでにパンをおかわりしていましたが・・・。
よく見ると、このランチには恐るべき陰謀が隠されていたのです!
その陰謀とは、
「パンをおかわりさせるな計画」です。
今までの写真をよく見て下さい。
そこにはお腹を早めに膨らませる為の様々なトラップが仕掛けてありました。
・サラダの中に、ポテサラ以外にも大学芋が入っている。
・メイン料理のシチューの中にもさつま芋が入っている。
・メイン料理の横に、強制的にプリンが付いている。
・50人に選ばれたが故にクローネが付いてくる。
そしてとどめの、
ソフトクリーム引き換え券
こんなものが置いてあったら当然、
引き換えるでしょ。
どんだけ甘い物食べさせるねん!!
これらを全て食べきった上で、パンをおかわりするのです。
たぶんおかわりするのは限られた人間のみです。
しかし「北摂のブラックホール」の異名を取る僕にこの陰謀は無意味でした。
おかわりしまくってやりました。
食べ過ぎているのは重々承知していました。
でもブラックホールの吸引力がなかなか衰えなかったのです。
ダイソンに僕の体のメカニズムを教えてあげたら、凄い掃除機が完成するでしょう。
10個以上のパンを食べても、まだ僕の胃袋は塩パンを要求していました。
しかしここで想定外のことが起きました。
おかわりのパンがなくなってしまったのです。
まあしばらくしたら補充されるだろう、と思って待ちました。
ドリンクをおかわりしに行く度に、焼けているかな?、焼けているかな、と視線を送りましたが、なかなか焼きあがって来ません。
ドリンクをホットに切り替えると、何だか締めに向っているようなムードになってきましたが、更に待ちました。
しかしこの後、パンが補充されることはありませんでした。
もうこれ以上パンをおかわりされてたまるか、というお店側の強い意志を感じました。
「あのお客さん、ほんまに食べ放題しとるで!止めろ!焼くのやめろ!」と厨房で叫んでいたのかもしれません。
ウェダー氏は「責任者を呼んでクレーム入れよか」と言いましたが、大阪の上品なイメージを守るために、それはしませんでした。
「もういいだろう、君は十分食べきったよ。」
とトイレに行く途中にいたクマポチ君が和解を求めてきたので、これでフィニッシュにしました。
ごちそうさまでした!
もうちょっと食べたかったけど、大満足のランチでした。
ここはまた来そうです。
うん、このクッションは可愛い。
この後、ざっくりとこのランチのカロリーを計算してみましたが、
致死量のカロリーでした。
人体という名の宇宙。
その中にパンを吸い込むブラックホールがあるという。