がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

釜ヶ滝と異常な階段

夏の奥飛騨旅行3日目、最終日。

天気予報では完全に雨で、実際に夜中はかなりの雨が降っていたようですが、朝にはすっかり止んでおり、晴れ間すら覗いていました。

奥飛騨では天気予報を見てもあまり意味がありませんね。

ここだけが別世界のように感じます。

 

そして今日も槍見館恒例の餅つき大会に参加。

大谷翔平をも凌ぐ異次元のフルスイングで満員の観衆を沸かせました(?)。

さて、あとは大阪への帰路につくだけですが、今回の旅行は岐阜県内であれば何度でも高速道路を乗り降り出来るプランに申し込んでいたので、帰り道も当然のように寄り道をしました。

 

寄り道スポットに選んだのは、郡上市

郡上市といえば、昨年訪れた白鳥町にある阿弥陀ヶ滝」が記憶に新しいところです。

滝の散策道入口にある茶屋でいただく、風情のある石のレーンから清らかな水と共に流れるそうめんはとても美味で、流しそうめん発祥の地」の名に恥じない素晴らしい所でした。

そして「阿弥陀ヶ滝」は文句なしの名瀑。

そのダイナミックな風景は、その場を離れるのが嫌になるほど心を奪われてしまいました。

今回訪れるのは郡上市美並町にある

「釜ヶ滝」

阿弥陀ヶ滝と同じ郡上市にある滝というだけでも期待が高まります。

 

東海北陸道「美並IC」という、こんな時でなければ降りることはないであろう地味なIC(こらー)で高速を降り、10分程で釜ヶ滝に到着しました。

 

そしてこの時、僕は信じられないものを目にすることになるのです。

 

元祖流しそうめん・・・!

あ、あれ??元祖は阿弥陀ヶ滝じゃなかった??

う~ん。どっちが元祖なんだろうか?邪馬台国論争ばりのややこしい話になりそうです。同じ郡上市の中で争っているのでしょうか?

僕が判定を下しましょう。

とても風情のある石造りのレーンでそうめんが華麗に流れ、お客さんも行儀が良かった阿弥陀ヶ滝」

一方、ありがちな竹のレーンでそうめんが普通に流れ、お客さんの行儀があまり良くなさげだった「釜ヶ滝」

 

元祖は「阿弥陀ヶ滝」に決定!

(い、いいのか!?そんな事勝手に決めても?)

 

そうめんの事は忘れて、滝へと向かいます。

茶屋の前は凄い人ごみで、かき分けるように前に進みました。

すると、

スポーンと急に人がいなくなり、釜ヶ滝への散策道が現れました。

あの群衆が後ろからやって来ないことを祈りながら、滝を目指します。

ずっとそうめんを食べていて下さい。

 

事前に調べた情報によると、釜ヶ滝は3つの滝から成り、それぞれの滝まで5分~10分ぐらいしかかからないので、とてもコンパクトに回れるということです。

帰りの寄り道には最適です。

 

歩き始めてすぐに、早くも滝が現れました。

これが1つ目の滝なのかな?ちょっと地味ですが、なかなか美しい流れです。

先へ進みます。苔むした散策道が独特の雰囲気を醸し出しています。

岐阜の川はどこも水が綺麗だなあ。

急に登り坂になりましたが、歩きやすいので気になりません。

と思っていたら、

めちゃめちゃワイルドな急坂が!

歩きにくっっ!!

そしてここをクリアした直後、

はしご!?

と見間違えるほどの急な傾斜の階段が出現。

面食らいながらこれを登り切ると・・・

 

再びはしご階段。

傾斜のきつさもさることながら、もっと恐怖なのがステップの奥行のなさ

短かすぎて足が半分以上はみ出てしまいます。

その為、足を横に開いてしまい、人生最高のガニ股歩きで登るはめになりました。

事前情報から得ていた楽勝ムードに暗雲が立ち込める中、これを登り切ると、

素敵な吊り橋。うん、これは楽しいぞ。

下を覗くと轟音を立てて流れる水流が見え、テンションが上がります。

機嫌よくこの橋を渡り切ると、

 

また!?

短いねん、ステップが・・・。

ぶつぶつ言いながらこれをクリアすると、

すぐに下っていきます。

せっかく登ったのに、すぐに降りるなんて・・・。そしてこの時に気づきました。

下りの方が怖いということに。

人生最高のガニ股で恐る恐る降りていく姿は「後世に残したくない映像グランプリ」で最高金賞を受賞することでしょう。

でもこの下には素晴らしい滝が待ってくれていました。

おおっ!こりゃいいぞ!

撮影会をしているカップルが居たのであまりゆっくりとは観れませんでしたが、水量、流れの美しさ、周囲の岩盤の迫力、どれを取っても一級品でした。

では、戻って最後の滝を観に行こう!

・・・戻るのか、またあの階段を・・・。

登って~

下って~

ステップ短い~

 

まずは上から眺めます。凄い勢いで水が流れ落ちていきます。

この流れを目で追っていくと、滝壺にとんでもないものが見えて来ました。

ペットボトルが浮いていたのです。

一寸法師が乗るお茶碗のように、どんぶらこ、どんぶらこ、と。

まだ一寸法師なら良かったのですが、人間が作った化学製品が美しい滝壺を汚していました。

 

ドアホーっっ!!

 

頼む。そんな人間はこういう所には来ないでくれ。

これが県外から来た観光客の仕業なら、もう二度と岐阜には来ないでくれ。

これが地元の岐阜県民の仕業なら、自分が住んでいる所がいかに美しい所であるかを自覚し、自分の行為がいかに愚かであるかを噛みしめてくれ。

たった1本のペットボトルがこの美しい景勝地を台無しにしていました。

悲しいなあ。

 

失意の中、改めて最後の滝を拝みに移動しました。

ペットボトルの事は忘れよう。

するとしばらくすると、

 

神々しい鳥居の向こうに素晴らしい滝の姿が。

おお~っ!

嫌な記憶を全て吹き飛ばしてくれました。

来てよかった!!

ありがとう、釜ヶ滝!

ここは他に人がいなかったので、ゆっくりと鑑賞出来ました。

これで夏の飛騨旅行、全ての行程が終了しました。

まだまだ未知の景勝地が存在する岐阜県

「またすぐに来るだろう。」僕の中の何者かがつぶやきました。

 

大阪へ向かって再び高速道路に乗った一行でしたが、「何度でも乗り降り出来る権利」を更に行使したいと欲が出て、今度は「岐阜各務原IC」でまたまた降りてしまいました。

そして岐阜県産の食材をふんだんに使った料理が食べれると評判のお店へ夕食を食べに向かいました。

 

臨時休業。

権利を行使するのは程ほどにしておきましょう。

 

今日の1曲:Led Zeppelin「天国への階段」