僕が音楽を聴き始めたのは、ちょうどCDが台頭してきてアナログレコードが徐々に衰退していこうとする最中でした。その時代はCDが過剰評価されていて、「レコードより遥かに音が良い」「B面に裏返す手間がない」「小さくて置き場所に困らない」などともてはやされ、世間の関心は一気にレコードから離れていきました。僕も完全にその波に飲まれ、最初からCDを聴いて育ちました。
人間って薄情ですよね。今まで散々お世話になっておきながら、新しい物が出てくると飛びつき、古い物に冷たい視線を送る。携帯電話もそうです。最初は電話を携帯できるだけで感動していたくせに、スマートフォンという更に便利な物が登場した途端、今までお世話になった物に対して「ガラパゴス携帯」などと馬鹿にしたような名前で呼ぶ。
しかしガラケーをお持ちの皆さん、何も恥じることはありませんよ!「ガラパゴス諸島」は立派な世界遺産です。「自分は世界遺産を手中に収めているんだ」という誇りを持って下さいね。ボタンも押しやすいしね。ポケットにも入れやすいしね。
「だから私はこれからもガラケーを使い続けるであろう」 byがっち仙人
はい、話が完全に脱線しました。
CDを聴く一方で、家のステレオにレコードプレーヤーがついていたので、何枚かレコードも持っていました。「あれ?なんかこっちの方が音が良くないか?」と常々思っていたのですが、そんなはずはない、と言い聞かせていました。
ところが近年、CDの音はデジタル信号に変換される時にある周波数の部分が抜け落ちているので、人の耳にはレコードの方が良い音に聴こえるという事実が明るみになりました。やっぱり!CDに長年騙されていたんですね。
それで最近は、もっぱらアナログレコードを聴くようになりました。特に僕の好きな1960年代~70年代の音楽はレコードとカセットテープが全盛の時代ですから、レコードで改めて聴くと、断然そちらの方が良い音に思えます。先に挙げました、CDがもてはやされた理由についても、全てが逆だったことがわかりました。
「レコードの方が音が良い」、「A面、B面と分けて聴いた方が、アーティスト側の意図がよく伝わってくる」、そして何と言っても、「ジャケットが大きくて眺めてるだけで楽しい!」
同じアルバムでも、こんなに大きさが違います。こう見るとCDって味気ないですね~。
ただ問題なのが、現在レコードは新品で買えるものが少なく、あったとしてもすごく値段が高いです。欧米では今でも新品がプレスされているので輸入盤では入手できますが、やはり高いですし、歌詞カードとかが入ってないですし、日本盤の方がいいです。となると残された選択肢は、中古レコード屋ということになります。
なので半年に1回ぐらいのペースで、定期的に中古レコード屋巡りをしています。
今回はいつも一緒に行く仕事関係の友人と、神戸・元町で宝探しをしてきました。
中古レコードという古代の遺産を求め、考古学者ガッチー・ジョーンズ神戸に見参!
まずは神戸らしい純喫茶でパンケーキをチャージしてから、探索開始。いつも5~7件ぐらい回るのですが、途中に凄いお店があります。
元町の高架下にあるこちらのお店、外にも山積みしてあるのですが、
お店に入るとさらに、
これ、どうやってレコード探すの?棚はぎゅうぎゅう詰めで取れないし、積んであるやつを引っこ抜くと雪崩が起きます。底の方にお宝の匂いがプンプンしますが、どうやってもそこまでたどり着けません。奥にレジがありますが、積み過ぎてて全く店主の方の顔が見えません。レコードに興味のない人にはただのゴミ屋敷に見えるでしょう。でも無理とわかっていながらも足を踏み入れてしまうマニアの悲しい性。そして数分後、やはり何も買えずに出て行きました。
今回は、他のお店で合計8枚購入しました。
1枚300円~1000円の範囲内で探しました。中古レコードはプレミアの値段がついていることがありますが、僕はそんな希少価値には全く興味がなく、ただ音を聴きたいだけなので安くあがります。
お昼ご飯はいつも行く中華街から少しそれた所の洋食屋さんで。
洋食屋「双平」さん。
牛肉巻きコロッケが絶品です!お宝探しで疲れた身体を癒してくれます。
定番のメンチカツやエビフリャーも美味しいですよ!南京町の喧騒が噓のように静かに過ごせます。かなりせまいですが、すごくいいお店です。雰囲気も大好きです。
本日の遺跡調査、終了!今回も人類の貴重な遺産を発掘できました。
それでは、僕のレコードミュージアムの中から、特にジャケットが気に入っているアルバムを数枚ご紹介しましょう。
キッス「地獄の狂獣 キッスライブ」
恥ずかしくなるぐらいの凄い日本タイトルです。これは高校生の時によく聴きました。当時はCDで聴いていましたが、改めてレコードを手にすると、ジャケットのカッコよさが際立ってます。ライブの躍動感が伝わってきます。しかしアメリカ人は足が長くてカッコイイですね!同じポーズを日本人がとってもハイスクール奇面組みたいになりますよ、恐らく。
ザ・ローリング・ストーンズ「Black & Blue」
ミック・ジャガーの唇、分厚っ!見てるだけで吸い込まれそうです。このジャケット、ストーンズのやんちゃさが伝わってきて大好きです。見開きジャケットになっており、開けると写真の全体が見えます。
こういう仕掛けもCDにはない楽しさです。しかし左側は優しい顔のメンバーが写っているので、右側の悪そうなメンバーを表紙にしたのは正解ですね。
クイーン「クイーンⅡ」
昨年、映画「ボヘミアン・ラプソディ」で人気が再燃したのは記憶に新しいですね。
クイーンといえばその「ボヘミアン~」が収録されている4枚目の「オペラ座の夜」が最高傑作とされてますが、コアなファンほど、この「Ⅱ」こそが1番だと言い張ります。僕もそう言い張る一人です。A面とB面でコンセプトが分かれているので、CDで一気に聴くと良さが半減します。
ジャケットを開けると、A面の「白」のイメージが。表紙はB面の「黒」のイメージです。もしCDで聴く時は、5曲目が終わったところで一旦停止を押し、しばらく間を置いてから一言、「よし、B面に裏返そう」とつぶやいてから6曲目を再生すると、レコードと同じ感動が得られます。(アホや~!病気や~!)
デラニー&ボニー「Accept No Substitute」
これは渋い。渋過ぎる。バンド自体も渋いですが、このジャケット!「アメリカの古い家から発見されたご先祖の写真」みたいな雰囲気が好きです。音の方もこのイメージそのままで、とても癒されます。通勤時の現実逃避に、ウォークマンでこれを聴くことが多いです。
アナログレコードは色々と手間です。レコード自体をまめに掃除したり、針を交換したり、B面に裏返したりと。でもこれをきちんとしていると暖かく、優しい音で部屋を包んでくれます。せかせかと曲を飛ばして聴く人には向いてません。
時間のある時にゆっくりと、おやつでもほおばりながらリラックスして聴くのがいいですね。レコードがあれば雨の休日も気になりません。
針を落とす時の緊張感もアナログならではです。
最近は、これをほおばりながらレコード鑑賞をするのがトレンディーです。
クッキーですが、名前の通り塩感がすごい!やみつき度100%です。さすがキャラメルコーンの東ハトさん!男心をもてあそんでくれます。もはやスーパーで買えるお菓子のレベルではありません。百貨店レベルなり。
雨の多いこの季節、レコード&ソルティであちらの世界へ旅立ちます。
今日の1曲:Three Dog Night「An Old Fashioned Love Song」