がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

上高地 ~ ここは現世か幻か

日本全国47都道府県、それぞれに名所、美味しい物などいっぱいありますが、その中でも特に僕が愛してやまない県があります。

その名は岐阜県特に県北部に位置する飛騨地方には特別な思い入れがあります。

自然、食べ物、文化遺産など、全てが大のお気に入りです。

そのルーツを辿ると、どうも昔同居していたおばあちゃんの影響があるようです。

おばあちゃんは名古屋出身だったのですが、「飛騨高山はうみゃ~もんがいっぱいあるでなあ」と呪文のようにつぶやいているのを幼少の頃からよく聞いていました。以前に旅行に行った時の思い出がすごくいい思い出として残っていたみたいです。おばあちゃんとは長年一緒に暮らしていたので、長期にわたる洗脳の結果なのか、気づいたら飛騨へ足が向いていました。

最初に足を踏み入れたのは20代の頃、友人とバイクで野宿旅行をした時でした。その時に感じた関西にはない山々の雄大さ、温泉の素晴らしさ、美味しい食べ物の数々が忘れられず、最近では年に何回も訪れる偏愛っぷりです。

世間でこのエリアといえば高山の古い町並みと、世界文化遺産白川郷が有名ですが、それ以外にも挙げればきりがないほど魅力的な所があるんですよ。

そこで僭越ながら、自称「勝手に飛騨観光大使として、飛騨の魅力を皆さんに無理やりお伝えしていこうと思います。

もう本当に最近は他の所へ旅行に行ってません。この異常なまでのリピート率を支えているのが、高山市の最北東部、長野県との県境に位置する、奥飛騨温泉郷

日本3位の湧出量を誇るそうですが、僕にとってはダントツで日本一の温泉です。北アルプスの3000m級の山々に囲まれ、自然の風景と一体化した豪快な絶景露天風呂が数多ひしめく、凄い所です。それぞれ個性の異なる5つの温泉地から出来ており、その中の新穂高温泉に、我が生涯最高の旅館があります。

「槍見の湯 槍見館」

f:id:gatthi:20200825164812j:plain飛騨旅行をリピートする大きな要因となっている素晴らしい旅館です。

こちらへたどり着くには、長いトンネルを抜けた直後に左折しないと行き過ぎてしまいます。

「トンネルを抜けて左折すると、そこは槍見館だった」

初めて槍見館へ行かれる方は是非このフレーズを覚えておいて下さいね。きっと役に立ちます。

f:id:gatthi:20200825170317j:plain飛騨観光の拠点。ここから各方面に飛び立ちます。学名「がっちの巣」とも呼ばれています。ブ~ン。

ちなみに奥飛騨は、富山県と長野県も隣接しているので、そちらへ観光に行けるのも魅力です。

今回向かったのは、その長野県。奥飛騨との間に北アルプスの山々を挟んで長野県側にある日本有数の山岳リゾート、

上高地

f:id:gatthi:20200825171417j:plain雄大穂高連峰と清流、梓川が織りなす天国に一番近い場所です。いや、ひょっとするとここが天国なのか?

この天国の環境を守る為、マイカーでは行けないようになっています。

まずマイカーを「あかんだな駐車場」に停めます。

f:id:gatthi:20200826200424j:plain車から颯爽と降り立つとまず目に入ってきたのが、

f:id:gatthi:20200826200555j:plainそう、ここは野生の熊の生息地でもあります。この看板のクマさん、口は笑ってますが目が笑ってないです。こういう人が一番怖いです。

f:id:gatthi:20200826201334j:plain隣接するバス乗り場でシャトルバスに乗り換えます。バス乗り場とは思えない、ファミレスのフォルクスみたいなデザインです。お洒落~。

f:id:gatthi:20200826201526j:plainこのバスへ乗り込む人は、2種類に分かれます。上高地を足がかりに北アルプスの険しい山に挑む本格派の登山者。そして僕のような上高地の「天国」な部分だけを味わって帰ろうとするミーハー旅行者。服装ですぐにわかります。

30分ほどで到着。まずはバスターミナルから歩いて5分、「上高地といえば」の超ベタスポット、河童橋へご挨拶。よく旅行会社のツアーでは、手前の「大正池」でバスを降り、こちらをゴールにしていることが多いです。でも時間が遅くなるほど河童橋にはエサに群がるアリのように人々が押し寄せてくるので、早い時間に行った方がいいですよ。

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f:id:gatthi:20200827200739j:plainまだ朝早くなので人もまばらです。やっぱりいいですなあ、ここは。ちなみに上高地は標高1500mの所にあるので、街中より12度ぐらいは気温が低いです。真夏でも朝は長袖が必須です。半袖で普通に歩いている人もいましたが、絶対我慢してますよ。大阪の暑い朝と比べると別天地です。

f:id:gatthi:20200827201612j:plainハイジが上から走って来そうな風景です。日本とは思えません。映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台もこんな感じでしたね。

「しかし私はこの素晴らしい風景をただ見ているだけでは終わらせない。倍モーニングだ!それが私の信条なんでね。」(by半沢合致)

f:id:gatthi:20200827202937j:plain槍見館さんで作っていただいたお弁当。また粋な入れ物ですなあ。

ぱかっ。

f:id:gatthi:20200827203146j:plain美味そう~!いただきま~す。

河童橋を眺められる特等席に陣取って、超贅沢モーニング。倍どころではない。10倍モーニングだ!もうええっちゅうねん。

f:id:gatthi:20200827203836j:plain ごちそうさまでした。それでは、大正池を目指して歩きましょう。

f:id:gatthi:20200829124003j:plain焼岳が見えてきました。水がめちゃキレイです。

f:id:gatthi:20200829124151j:plainこの水でコーヒー飲みた~い。

しばらく歩くと、上高地の素晴らしさを世界に広めた英人牧師、ウォルター・ウェストンさんの記念碑があります。

f:id:gatthi:20200829124645j:plainもし今の時代に生まれていたら、間違いなくユーチューバーになっていたことでしょう。

f:id:gatthi:20200829125002j:plain森の中へ入って来ました。本来はこの少し手前で川沿いを歩く「梓川コース」と今歩いている「林間コース」に分かれるのですが、梓川コースは7月の豪雨で冠水してしまったらしく、通行止めになっていました。残念!しかしこの林間コースも緑に包まれて気持ちいいです。歩道も整備されているので、普通のスニーカーでも大丈夫です。

ただ気になったのが、この辺りですれ違う人々、みんな熊除けの鈴を鳴らしながら歩いています。確かに熊がいつ現れてもおかしくない雰囲気ではありますね。

f:id:gatthi:20200829130046j:plainここでふと思ったのですが、人間の世界には「変態」と呼ばれる普通ではない嗜好を持った人々が存在します。もしかするとそれと同じように熊の世界にも「変態」がいるのでは?熊除けの鈴の音をこよなく愛する、そんな変態熊がいるかもしれません。そう考えると、だんだん怖くなってきました。そして林間コースに入る手前で見た掲示板の事を思い出しました。

f:id:gatthi:20200829131545j:plainほんの数日前のクマさん目撃情報。バスターミナル付近といえば上高地で一番人が多い場所です。そんな所に姿を現すなんて・・・絶対変態やん!

出くわす前に早くここを抜けよう。すれ違う人の鈴の音が熊を呼び寄せる音に聞こえてきました。自然と早歩きになります。

f:id:gatthi:20200829132039j:plainそしてぱっと視界が開け、

f:id:gatthi:20200829132605j:plain田代湿原に到着!なんかホッとしました。

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田代池。部分的に赤くなっている幻想的な池です。ロールプレイングゲームの中にいるような気分になりました。

そしてさらにズンズン歩いていくと、

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f:id:gatthi:20200829133408j:plain大正池に到着!正面に見える焼岳が噴火し、その時の溶岩や泥流で梓川がせき止められてできた池だそうです。鏡のような水面に並ぶ立ち枯れの木の姿が有名なのですが、年々木が倒れてきており、以前に来た時に比べてもかなり減っていました。

f:id:gatthi:20200829134222j:plainほんの少しだけ残っていました。頑張れー!君たちが希望の星だ!

f:id:gatthi:20200829134643j:plainしばらくここでまったりと休憩してから、来た道を戻りました。変態熊が現れる恐怖と戦いながら。

f:id:gatthi:20200829134855j:plain大阪では歩いているとすぐに疲れますが、ここは何時間でも歩いていられます。澄み切った空気の中、次々と絶景が現れるので飽きることがありません。

f:id:gatthi:20200829135517j:plain河童橋へ戻って来ました。4時間ほど歩いたので、そろそろ糖分を摂取しましょう。

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河童橋のほど近く、五千尺ロッヂの中にある「トワサンク」さん。こちらに上高地の名物スイーツがあります。

f:id:gatthi:20200829143025j:plain「信州完熟りんごのパイ」
これは凄いです。この肉厚感。そんじょそこらのアップルパイとは明らかに違います。アップルパイというより、「りんごが薄いパイのジャケットを羽織っている」といった趣きです。1ホールでも食べられそうですね。歩いた後にはこういうのが一番美味しいですね~。りんごが全身に染みわたりました。

この後、河童橋付近でゆっくりしてから上高地を後にしました。後ろ髪を思いっ切り引っ張られながら・・・。名残惜しい!

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槍見館へ戻ったら、すぐに露天風呂へ。歩き回った後の温泉は格別です。もう大阪には帰りたくない。がっちはここで静かに余生を過ごしましたとさ、と現実逃避をはかるアホな中年男。それでは、デュークエイセスの名曲「女ひとり」のメロディーに乗せて、どうぞ。ガッチエイセス「男ひとり」。

「ぎふけーん、おくひだやりみかんー♫ 仕事に疲れたおとーこがーひとーり~♩」

 今日の1曲:映画「サウンド・オブ・ミュージック」より「私のお気に入り」