今回ご紹介するのは、今や大阪を代表する、全国区の知名度を誇るお店となった吹田市・岸部の「ル・シュクレクール」さん。今更僕なんかが紹介しなくても、とは思いつつ、僕にはゆかりの深いお店なので、やはり避けては通れません。
こちらのシュクレさんは、「フランスパン」ではなく、「本物のフランスのパン」を味わうことのできる、極上のパン屋さんです。え?フランスへ行ったことがあるのかって?そりゃもう、マルセイユにいた頃はシャルルさんに大変お世話になりました。
嘘です。
飛行機に乗ったこと自体数回しかないのに、フランスなんて全然行ってないです。家でフランスを感じさせるのはエシレクッキーの空き缶とミッシェル・ポルナレフのCDぐらいです。
そんな僕が何故本物のフランスのパンの違いがわかるのか。いえ、全然わかりません。
しかしシュクレさんのパンを食べると、「いつも食べているパンとは何かが違う」と強く感じます。それが本物のフランスだからなのか、それはフランス人の方に聞かないとわかりませんが、とにかく違うものを食べていると感じます。
こちらのお店と僕がどういう縁があるかといいますと、お店のすぐそばに当時、僕の職場がありました。シュクレさんの開店時、「すぐそこにお洒落なパン屋さんができたよ」と聞いて買いに行きました。ところがショーケースに並んでいるパンを見ると、目に馴染みのないものばかり。今まで「日本の街のパン屋さん」で育った僕にとっては、何を買えばいいのかわかりません。その中から、直感で「タルトフランベ」というパンを買ってみました。
これがヤバいぐらい美味しかった!
今までパンを食べた時に感じたことのないリッチ感。パンというより1つの「料理」を食べているような感覚。そして生地の美味しさ。これは衝撃的でした。それからは会社の同僚と一緒によく買いに行くようになったのですが、苦労したのが「お店の名前」。
なかなか覚えられん!「そこのシュク・・・ジョリーパスタの並びのパン屋さん行く?」とみんなが言っていました。
ところが数年後、突然別れの時が!
「ル・シュクレクール、梅田・北新地に移転」
何ぃーっ!!そんなアホな・・・。タルトフランベの無い人生なんて・・・。しかしお店の飛躍の為ならしょうがない。また北新地に買いに行こう!
そして迎えた最終日。いつもは昼過ぎにはほぼ売り切れていましたが、この日は「今までの感謝を込めて」と夜遅くまで営業されており、1日中途切れることなく行列が出来ていました。僕らも仕事が終わってから並びました。その時、TV番組が取材に来ており、放送を見ると僕らのマヌケな姿が映っておりました。
そして北新地へ移転。そちらのお店にも当然行きました。しかしその凄い行列を見た時、嬉しいんですけど、なんか手の届かない所へ行ってしまったな・・と少し寂しい気持ちにもなりました。
その後、僕も他の営業所へ転勤となり、北新地へも行かなくなったのですが、しばらくして、事態は急変します。
「ル・シュクレクール、岸部に復活」
何ぃーっ!そんなアホな・・・。タルトフランベがまた食べられる!転勤になったけど、また休日に岸部に買いに行こう!
数年前、本店は北新地のままで、「岸部店」として同じ場所に復活されました。
トレードマークの赤い外観も、当時のままです。前の岸部時代によくお話相手になって下さっていたスタッフのお姉さんも健在で、嬉しい限りです。
最近はインターネットで取り置き予約ができるようになり、「タルトフランベ残ってるかな~」という不安を抱えなくてもよくなりました。
レジ袋は有料になっているのでエコバッグを持参しましたが、どうしてもあの悲劇(第2話参照)が頭をよぎってしまい、紙袋を購入しました。しかしここのパンは紙袋がとてもよく似合いますね~。
では、極上の精鋭たちを、一つずつ見ていきましょう!
最初にお断りしておきますが、僕がセレクトするパンは、フランスのパンに詳しい方からすると「は?」と思われるでしょう。
過去に色々なパンにチャレンジしてみましたが、正直本格的過ぎて、純日本人の僕の口には合わないパンもありました。なのであくまでも、「日本のパンを食べ慣れた人にも馴染みやすいパン」という基準で選んでいます。でもそういう人が圧倒的に多いと思うんですよね。だから「そういう人」は是非参考にしていただきたいです。1つとしてハズレはありません!
タルトフランベ
前述の、僕がシュクレさんにハマるきっかけを与えてくれた恩パンです。分厚い、もっちもち、むっちむちのバゲット生地の上に、厚切りベーコンとチーズがこれでもか!と乗っています。それ以外にも何かが乗ってるような気がしますが、わかりません。このパン、カロリーを気にする人にはおすすめできません。以前、会社の同僚が毎日これとコーラを昼ごはんにしていたのですが、見る見るうちにお腹がスヌーピーのようになってしまいました。
クレーム・オ・ブール
「ヴィエノワ」と呼ばれる柔らかいパンの間に、バタークリームがはさんであります。いわゆる「ミルクフランス」とは似ているようで全然違います。これもタルトフランベと並び、必ず購入する神パンの一つです。どこからクリームが飛び出してくるかわからないので、常に全体を注視しながら食べましょう。
次は日本人が大好きなクロワッサン3兄弟!クロワッサン生地がまた美味い!
クロワッサン・ジャンボン
外側にはカリッとしたチーズ、中にはトロっとしたチーズとハムが巻き込んであります。やっぱりこういうパンが純日本人には非常に馴染みやすいですね!
パン・オ・レザン
レーズンパンですね。渦巻き型のクロワッサン生地にレーズンとカスタードクリームがたっぷりと、ぐるぐる入っています。途中で必ずボロボロとレーズンが落下しますが、それを拾い上げて食べるのもまた風流ですなあ。
サクリスタン
こちらはなんとクリームの中に抹茶が入っています。まさに日本とフランスの融合。日仏合作映画「サクリスタン」として近日公開してもいいぐらいの美味しさです(?)
生地をねじってあるので、中尾彬さんのネクタイのようにも見えます。
とどめにもう1個!
パン・オ・ノア
見た目も味も素朴ですが、はまると中毒症状を引き起こしかねない危険なパンです。
クレーム・オ・ブールと同じくヴィエノワ生地ですが、こちらはずっしりと重量感があります。ほんのりと甘いクルミがたくさん入っています。5つぐらいに切り分けて、温めてからうっすらとバターを塗ると中毒パンの出来上がりです。ヤバいですよこれは!
以上、純日本人による、純日本人の為のシュクレクール講座でした。
「いや、それでもわしは昔ながらの日本のパンしか食べんぞ!」と言って聞かない頑固なお爺さんにはこちらを。
パン・ド・ミ
食パンです。とりあえずこちらでシュクレさんの実力を味わってみて下さいね!
やはりこのお店には岸部の地が似合います!
あ、そういえばもう1つフランスを感じさせる物が家にありました。
アラン・ドロン往年の名作映画「サムライ」と「冒険者たち」のサウンドトラック。
いや誰が興味あるねんそれ!マニアックやな~。
そうは言いますけどね。結構いい曲が入ってますよ。口笛の音色が郷愁をそそります。
それにしてもアラン・ドロン男前過ぎ!