がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

はたらくクルマは美しい

あれは確か、もうすぐ6歳になろうかという頃の出来事でした。クリスマスを数日後に控えた夜、母が僕に聞きました。「サンタさんには何をお願いするの?」僕はサンタさんへの連絡手段を持ち合わせていなかったので、母が代わりに伝えてくれるのだと思い、おもむろに当時夢中になっていた百科事典を持ってきました。そしてページに穴が開くぐらい、溶けるぐらい見ていた自動車のページを開け、「これが欲しい」と指さしたのが、「働く車」。いわゆる商用車というやつです。母はてっきり当時流行りのスーパーカーを要求するものと思っていたのか、かなりうろたえ、「ほんまにこれでええの?」と何度も確認してきました。「これが欲しい」。僕は言い張りました。そして数日後、クリスマスイブの夜、僕は見てしまいました。

母が忍び足で僕の枕元に近づき、何か大きな箱を置いたのを!

その時は、よく状況を理解できず、そのままスヤスヤと眠りについたのですが、翌朝、目を覚ましてから大きな箱のことを思い出し、枕元を見ると確かに箱がありました。

すると母がやって来て、「サンタさんが来てくれたで!」そして母に促され、包装紙を開けてみると、先日要求した通りの「働く車」が何台も入ったボックスセットが姿を現しました。

数日前の母からの質問、昨夜の怪しい動き、そして今日はクリスマスであること、それらを照らし合わせ、当時から屈折していたがっち少年は全てを悟りました。

「親こそがサンタクロースだったのだ」

しかしそれがショックだったわけではなく、子供の為に奔走してくれた母に、そしてそれを買う為に日々仕事を頑張ってくれている父に対して感謝の気持ちがこみ上げてきたのでした。

若干6歳にしてサンタクロースの正体を知ってしまったがっち少年。それがその後の歪んだ人生に少なからず影響を与えたのは否めないでしょう。

のちに小学校へ行き、まだサンタクロースの存在を信じている同級生を見ながら、「君もいつか親に感謝する時が来るよ」と上から目線でつぶやいていました。

最悪や。あかんそんな子供。

しかしそれから約10年後、母は天国へと旅立ちました。だから僕にとってこのクリスマスの出来事は、大事な大事な良い思い出なのです。

さて、この長い前振り。勘のいい方なら何となくお気づきでしょう。

「こいつ、何かの言い訳をしようとしているな。」

はい、その通りです。すいません。またこんなもん買っちゃいましたー!

f:id:gatthi:20200906200108j:plain「懐かしの商用車コレクション」

出たっ!初回だけ妙に安い値段で買わせておいて、2回目以降は急に倍以上の値段になるのに抜け出せず、深みにはまっていくという危険なシリーズです。テレビのCMでやたらと見かけるあれです。しかし今回のは、何かを徐々に組み立てていくシリーズとは違い、最初から完成品が入っている1話完結ものです。だから初回だけ買ってあとは買わないでおけばいいのです。

ほんまに2回目以降は買わないのか?

それは時の流れに身をまかせましょう。

第1回目はダイハツ工業「ミゼット」。

映画「三丁目の夕日」でもおなじみの、日本の高度経済成長期を支えた商用車のレジェンドです。三輪というのがシブいですね~。

f:id:gatthi:20200906201714j:plainまずミゼットやその時代背景などを解説した冊子が入ってます。これを読んでいき、最後のページをめくると、

f:id:gatthi:20200906202259j:plainダイキャスト製のミニカーが姿を現しました。

しかしここへ来るまでに、やたらと定期購読を勧める広告が入っています。まさに悪魔の囁きです。この悪魔の誘惑に負けなかった自分を褒めてあげたいです。

では、箱から取り出して、納車です。

f:id:gatthi:20200906203016j:plainなかなかの完成度。荷台に東芝のカラーテレビを積んでいます。

今の時代にこんな見た目の自動車が発売されたらバカ売れすると思うんですが、出ないんですよね~。昔の車は愛嬌があっていいですね。見た目このままで中身は最新の電気自動車、みたいなのはどうですか?ダイハツさん。

f:id:gatthi:20200908192842j:plainこんな車が街中を走り回っていた時代に生まれたかったです。

f:id:gatthi:20200908193047j:plain「おっ!何やこの車。」

珍しい車を見てミニオンが近づいてきました。

f:id:gatthi:20200908193223j:plainうーむ。

f:id:gatthi:20200908193311j:plain「とりあえず屋根に乗ったれ!」それ好きやねー君。

「こらっ!」

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「勝手に人の車の屋根に乗るものではないぞ。」

そこに現れたのは箕面の英雄、滝ノ道ゆずる先生と助手の桜井君でした。

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「拙者らも乗せてくれ。」いや乗るんかい!しかも荷物の上に。

f:id:gatthi:20200908194731j:plain「むむっ。何やワレ。」嫌な予感・・・。

f:id:gatthi:20200908194934j:plain「いやっほ~!」やっぱり。乗るなお前は。でか過ぎる。

まあ、こんな感じで我が家にもすぐに溶け込みました。(どんな感じや)

では、歓迎会を兼ねて記念写真を。

はい、チーズビット。

f:id:gatthi:20200908195436j:plainうおっ、保安官いつの間に。知らん間に写真に写りこむ人っていますよね。

ミゼット君、これから末永くよろしくね~。みんなと仲良くするんだよ。

それでは、桜井君から歓迎のお言葉をいただきましょう。桜井君、お願いします。

f:id:gatthi:20200908195828j:plain「ワン!」

ありがとうございました。

しかし三つ子の魂百までというのは本当ですね。未だに昔の商用車を見るとあのクリスマスの日の気持ちがよみがえります。あの時は本当にうれしかったんです。だからテレビのCMでミゼットを見た時、運命的に買わざるをえなかったのです。

はい、言い訳完了しました!

f:id:gatthi:20200908201546j:plain定期購読か・・・。

「あかん。それだけは。」(by妻)

は~い、もう買いませーん。たぶん。

今日の1曲:Eagles「懐かしき❜55年」