12月上旬の休日。
新しい車も来たことだし、どこかへ紅葉でも観に行こうかと考えていました。
そこへ飛び込んできた耳寄りな情報。
元会社の同僚「ジョージー」が、昔岐阜へドライブへ行った時に「飛騨牛まぶし」なるものを食べ、衝撃の美味しさだったという話をしてくれました。
「ひつまぶし」の鰻を飛騨牛にすり替えるという、少し乱暴なイメージがする料理ですが、とにかく美味しかったらしく、無類の岐阜好きとしては行かなくてはなりません。
そのついでに周辺の紅葉スポットへ行く予定にしていました。
ところがその日の岐阜県の天気予報は、頑ななまでに「曇り」。どの時間帯を見ても「曇り」でした。
せっかく岐阜まで行くのにそんな天気では行く気がせず、諦めることにしました。
対照的に完全な晴れ予報だったのが、地元・関西地方。
う~んしかし関西でどこに行こうかなあ・・・?
特に行きたい所ないなあ・・。
こういう時、大阪人の口からポロリと漏れる言葉があります。
「とりあえず、丹波篠山でも行こか。」
「とりあえず、生中」ではないですが、大阪の人々は行く所がなくて困ると丹波篠山を目指す傾向があるのです。
何故か?
・大阪からの日帰りドライブにちょうどいい距離である
・風光明媚で、近い割りに遠くへ旅行に来た気分になれる
・桜の季節以外はそれほど混んでいない
・ブランド好きの大阪人は「丹波篠山」という響きに弱い
といった理由が挙げられますが、とにかく行ってみれば何かあるだろう、という謎の信頼感を丹波篠山に対して抱いている人が多いのは確かです。
ただ僕の場合は、大好きな「飛騨高山」に語呂が似ているから、というのが理由なのですが・・・。
とりあえず行って来ました。
岐阜へ向かう時はまだ夜明け前の暗闇の中をロケットスタートしますが、丹波篠山はお隣の兵庫県。
朝ゆっくりめに出発しました。
高速で行けば1時間ほどで着いてしまいますが、それではあまりにも味気ないので、下道で能勢を抜け、国道372号線で篠山を目指しました。
この道が交通量もさほど多くなく、超快適。
山々の彩りをのんびり眺めながらゆっくりと目指し、
到着。快晴です!とりあえずそれだけでも来てよかった。
「ようこそ、とりあえずの丹波篠山へ。」
顔デカっ!!周囲の景観に馴染んでいるのか、破壊しているのかがわからない猪さんがお出迎え。しかしぼたん鍋は高額なので今回はパス。
篠山といえば、のお店へと向かいます。
澤藤
篠山城跡の南東角にある、箱鮨(はこずし)の名店。
箱鮨とは、四角い木枠にすし飯と具材を入れて上から押し重ねて作る寿司で、その歴史は握り寿司よりも古く、そのため寿司の原点とも言われますが、今や日本でこれを食べられるのは丹波篠山、大阪、あと一つどこかの3カ所だけになったそうです(3カ所目が気になるー)。
大阪では「箱寿司」と表記され、渋い系の大阪名物として有名ですが、丹波篠山の風情ある町並みの中でいただく「箱鮨」の方が何となく僕は好きです(非府民め)。
11時の開店直後に行くとまだ誰もいてませんでした。
秋~冬にかけては名物「鯖鮨」をいただけますが、鯖は小浜国で散々食べているので、最もシンプルな「箱鮨」にしました。
箱鮨
単なる食事では終わらない、食の芸術品と呼べる美しいビジュアル。
かと言って映えを狙ったわけでもない、質実剛健さも感じます。
こだわり抜かれた食材で丁寧に作られた男前な箱鮨は、口に入れると思わず目をつぶってしまう美味しさ。
添えられたもみじの葉が気分を盛り立ててくれます。
格子窓から外を眺めると紅葉がちらりと見える絶妙な演出。
別で注文した赤だしも箱鮨の美味しさを更に引き立ててくれます。
こんなに静かで落ち着いた雰囲気のお店が観光地のど真ん中にあるのが信じられません。
ごちそうさまでした!
伝票入れにまで風情を感じさせます。
これだけで大阪へ帰っても十分満足出来ますが、寿司を食べると珈琲が飲みたくなるという体質なので、次はカフェを目指して歩きます。
名前だけではなく、町の雰囲気も何となく飛騨高山に似ていて、とても落ち着きます。
そして次の目的地に到着。
小田垣商店
ここはカフェではありません。
何のお店かといいますと、
出たっ!丹波篠山伝家の宝刀「黒まめ」。
店内では黒豆の商品がたくさん売られていますが、高額なのでスルーして併設されたカフェへと向かいます。
しかしこのカフェの方が高額だったのです。
中庭が見える素敵なカウンター・・・には通されませんでしたが、
同じぐらい素敵なテーブル席に通されました。
ここでいただいたのが、
珈琲とモンブラン。
驚くべきはそのお値段。
珈琲が800円。モンブランが1500円。
・・・・・・・・・・。
箱鮨より高いやんけ!!
そんなアホな。
しかし珈琲もモンブランも相当こだわった素材を使っているらしく、めちゃめちゃ美味しかったです。いや、値段を見たから僕の体が無理やり美味しく感じさせようとしたのかもしれません。
外では待っている人で溢れかえっていましたが、皆さん値段を知った上で待っているのでしょうか?
澤藤では誰もいなかったのに、ここでは箱鮨よりも高いカフェメニューに群がる人々。
不思議の国ニッポンです。
ごちそうさまでした!
さて、食欲を満たした後は出来るだけお金を使わずに丹波篠山を満喫します。
僕の旅費のほとんどは食費です。
小田垣商店からすぐ近く。
河原町妻入商家群
国重要伝統的建造物保存地区(漢字長っ!中国語か)に指定された区域。
う~んいいなあこの雰囲気。
こんなに素敵な場所なのに、それほど人がいないというのも素敵です。
気分は時代劇スター。
一応紅葉もしてるのになあ。何でこんなに人少ないんだろう。
立派なお稲荷さんもあるよ。
「腰痛の最大の予防方法は背筋を伸ばすことやで。」
と姿勢のいい狐さんが教えてくれました。
次に、篠山城跡の西側にある通りへ。
こちらは武士のマイホームが立ち並ぶ区域。
商家群よりもこちらの方が素朴に感じました。
その中の1軒に、200円の入館料で内部が見学出来るお屋敷があります。
武家屋敷 安間家史料館
本日の最安値、200円の入館料を払って中へ。
風通しの良い室内。寒っ!夏はいいでしょうね。
高級感漂うシステムキッチンも完備。
素敵な中庭が見えます。縁側いいな~憧れるな~。
庭には水琴窟がありました。
水をすくって黒い石にかけると、何とも言えない美しい音色が静かに響きました。
周りが静かな環境だからこその水琴窟。癒されます。
再び室内に戻ると、気になる物を発見。
どうやらタダ(無料)で着れる衣装のようです。
チョンマゲのかつらも完備。
ううっ、嫌な予感・・・。
被りよったー!!(やっぱり)
「苦しゅうない。面を上げよ。」
「と、殿。襟元からハイネックのセーターが見えておりますが・・・。」
「うむ、苦しゅうない、苦しゅうない。」
この光景を他のお客さんが冷ややかに見つめていたのは言うまでもありません。
しかしそんな事など意に介さないバカ殿でした。
完全に200円の元を取ったのを確信したので、外に出ました(やらしいわ)。
いいお家でした。
それから最後に、
篠山城跡をゆっくりと散歩し、
本日の「とりあえず丹波篠山日帰り旅行」を締めくくりました。
やっぱり何度来ても良い所です。
ありがとう丹波篠山!とりあえずまた来るよ!
「今度はぼたん鍋食べに来いよ!」
安くしといてや。
今日の1曲:Paul McCartney「Wonderful Christmastime」