がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

よしだ珈琲 ~ レツゴーじゅん喫茶

大阪府吹田市

大阪市の北側に位置する、府内屈指の人気を誇るベッドタウンです。

でもどうしても太陽の塔ガンバ大阪のイメージが強すぎて、その他には何があるの?という人も多いことでしょう。

実は掘れば掘るほど魅力的なものが出てくるワンダーランドなんですよ。

最近では、国立循環器病センターの移転に伴い、JR京都線の線路沿いに開発された健康都市、「建都」が誕生。

国循を基点に「健康」を意識した施設が集まっていますが、病院やクリニック、薬局などがあり過ぎて、かえって「病気」を意識してしまいます。

僕の「建都」の使い道は病院ではなく、線路沿いに続く並木道での散歩。

建都まちびらき当時は小さかった木々も、今や日陰を作ってくれるぐらいまでに育ち、快適な散歩をサポートしてくれます。

コンテナ車両を延々と眺めながらのマニアックな散歩が出来ます。

一番手前の線路を桃太郎が通過した時には、ド迫力の貨物列車ビュー。

子供の頃、プラレールで特急よりも貨物列車を好んで走らせていた僕にとっては、夢とロマンの散歩道です。

と思って歩いていたら突然先進的な図書館が現れ、

建都ライブラリー

その敷地内にはなんと、

初代0系新幹線

な、何故そこに君がいる!?

コンビニに車が突っ込んだニュース映像のような印象を受けますが、図書館との因果関係はわかりません。

でも子供たちは(僕も)大興奮です。

車両の中にも入れますよ。

 

そして吹田は意外と古い町並みが残っている所でもあり、

知る人ぞ知る、紅葉のスポットなんかもあったりします。

三色彩道

大阪っぽくない緑の多さも魅力です。

 

でも一番のお気に入りは、JR吹田駅前の商店街。

駅前にはいくつもの商店街が縦横無尽に広がっていますが、その中で最も活気があり、賑わっているのがこの商店街。

旭通商店街

昭和の風情が色濃く残る、昔ながらの商店街。

飲食店の名店も多いこの商店街の中で、最も駅から離れた最果ての地に佇む1軒の喫茶店

 

よしだ珈琲

吹田を、いや大阪を代表すると言ってもいい純喫茶の名店です。

 

「純喫茶」

 

妙に心が和むこの響き。

お酒が苦手な僕には「1杯ひっかけよか」と言えば純喫茶での珈琲。

吹田市にお住まいの、オール巨人師匠のお墨付きです。

かなりクセ強めのマスターがこだわりの極上珈琲を提供する、吹田へ来た人には是非訪れてほしいお店です。

味わい深い店内。

マスターも味わい深い。

年季の入った器具の数々がええ味出してます。

このお店の一番の売りが、マスター渾身の1杯。その名も、

 

イタリアンコーヒー。

 

イタリアン??アメリカンじゃなくて??

もちろんアメリカンもあるのですが、おすすめはかなり濃いめでストロングな味わいの、イタリアン。

昔ながらのサイフォンで煎れてくれる至高の逸品。

この説明書きを読むと、マスターの変態っぷりが伺えます。

間違いなく変態です。

 

何故イタリアなのか?

 

という点には一言も触れられていません。

とにかく日本人はイタリアが大好きなのです。

イタリアンコーヒー

これこれ。いつもミルクを入れるお子ちゃまな僕が、これはブラックで飲みます。

そして途中で、ミルクを投入します。(や、やっぱり苦かったんじゃないのか?)

サイフォンなので、熱々です。それがまたいい。

飲み終わると、また飲みたくなる。クセになる味わいです。

濃いのが苦手な方は、アメリカン」を注文してください。

こちらもただのアメリカンではない、ともっぱらの評判です。

 

しかしよしだ珈琲の売りは、珈琲だけではありません。

それを目当てに遠方から訪れる人がいる程の名品が、もう一つあります。

 

カレーライスです。

 

大阪は「カレー大国」でもあります。

恐ろしくレベルの高いお店が群雄割拠していますが、僕の中の不動の4番バッターは日本橋マドラスカレー」

シンプルながらも奥深い味のするこちらのカレーは、誰が何と言おうと僕のNo.1カレー。

そしてこの4番バッターを唯一脅かすことの出来る大エースこそが、よしだ珈琲のカレーライスなのです。

「唯一無二のカレー」という点では、こちらがNo.1です。

まずサラダと、

漬物セットが静かなイントロを奏でた後、

 

ゴゴゴゴゴゴ・・・

 

特製カレーライス

ハート型の人参がキュートな、伝説のカレーライス。

このカレーが他のお店のカレーとは一線を画すのが、

 

・水を一切使っていない

・珈琲豆で味変

 

という2つのこだわりポイント。

水を使わず、代わりに牛乳と珈琲で煮込まれたこのカレー。

独特の深い味わいを生み出しています。

そして珈琲豆。

これはほくろではありません。

ご飯の上に珈琲豆が載っています。

これを途中でカレーの中へ投入してカリッとかじると、まあ、なんということでしょう!

劇的に味が変わり、元々あった深いコクに香ばしさと程よい苦みがプラスされ、また一段上のレベルのカレーに変身しました。

これぞ喫茶店ならではのカレー!

そして牛乳で煮込んでいるからなのか、牛肉がめちゃめちゃ柔らかいです。

スプーンで簡単に切れるので、嬉しくて何度も切ってしまい、ほとんど肉の形がなくなってしまいました。

さらに感動するのが、この極上カレーにマスター渾身のコーヒー、サラダ、漬物が付いて1,000円を切るという破格の値段設定。

カレー以外のメニューや、モーニング、紅茶も人気です。

ちなみにモーニングはこんな感じ。

珈琲とカレー、両方大好き!という方にはたまらないお店です。

大阪へ、吹田へ来られた際は是非、よしだ珈琲へお越しください!

 

とバリバリ勧めておいて・・・

 

ここからは、ツッコミどころが多いよしだ珈琲さんへ、優しくツッコんでいきましょう。

 

よしだ珈琲の秘密 その①「自由なマスター」

心静かに老舗の純喫茶で珈琲を味わいたい。

それはこちらでは無理です。

 

マスターが延々と喋っています。

 

時にはお客さんと、時には従業員さんへの指示と、トークが止まりません。

ああ、川の流れのように、です。

ゆるやかではありません。激流です。

唯一トークが止まった時がありました。

その時ふとマスターの方を見ると、

 

カウンター席でまかないを食べていました。

 

そして食べ終わると僕らに一言。

「ちょっと、いいですかな?」

とタバコで一服。カウンター席で。

 

自由か。

 

最近のお洒落カフェのマスターが同じことをやれば、SNS上で叩かれまくることでしょう。

でもよしだ珈琲のマスターの場合、そうはなりません。

「しゃーないな~、マスター!」

と思わず笑顔になってしまいます。

そんなワイルドで自由な光景も、この喫茶店の魅力の一つです。

長年愛される、お人柄が生み出す離れ業。素敵です。

静かに珈琲を味わいたい方は、迷わず一番奥のテーブル席へ行きましょう。

 

よしだ珈琲の秘密 その②「カレーは気分次第」

珈琲との両輪の売りであるはずのカレーライスですが、日によって作る量に違いがあります。

その日のマスターの気分によっては、少ししか作られません。

「幻のカレー」なのです。

実際この日も、僕は絶対にカレーが食べたかったので、ランチが始まる11時直後に行ったのですが、僕らの分までで売り切れになりました。

その時にいたお客さんの人数を考えると、わずか5食で完売したことになります。

 

家か。

 

完全に家で作るカレーの量です。

マスターはさっさと外にあるメニューに「売り切れ」の札を付けに行きました。

前に行った時は、なくなる寸前に従業員さんに材料を買いに行かせ、ギリギリにも程がある自転車操業をしていた事もありました。

 

まあとにかくこのお店、

 

「私は自由」(原題:FREEDOM)2022年 アメリカ作品

 

みたいな感じです。

 

紛れもなく「純喫茶」の名店ですが、一筋縄ではいかないお店だということを踏まえた上で、是非一度訪れてみて下さい。

中身は「純」ではなく、かなり複雑です。

そして人なつっこい名物マスターに話しかけてみて下さい。

モーニングに行ったつもりが、ランチの時間になるかもしれませんよ。

 

ロマントークが止まらない。

 

よしだ珈琲マスター、人間国宝に認定。

 

今日の1曲:The Who「I'm Free」