がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

奥飛騨クマ牧場の光と影

台風が迫る中で向かった夏の奥飛騨旅行、2日目の朝。

天気予報では完全に雨予報でしたが、予報が通じないのが奥飛騨という所。

常宿・槍見館の上空だけが晴れているという奇跡が起こりました。

槍ヶ岳もはっきりと見えています。

※誰もいなかったので、お風呂の写真を撮らせていただきました。

ここぞとばかりにお風呂上りの飛騨牛乳というルーティーンをこなし、

槍見館恒例の、朝食後の餅つき大会に参加した後、珈琲をゆっくりといただいてから、お出かけをしました。

この時は晴れていたものの、もう既に周りには黒い雲が迫っていたので、とても上高地へ向かう気にはなれませんでした。

向かうべきは、あまり天気に左右されない奥飛騨の名所。

遂に、あの場所へ行く日がやって来ました。

 

どのガイドブックを見ても載っているベタな観光地でありながら、未だに行ったことがなかった、

 

奥飛騨クマ牧場!

 

何故今まで行かなかったかというと、妻が異常なまでに行くことを拒んでいたのです。

妻は普段LINEでクマさんのスタンプを愛用しているし、貯金箱もクマさんなのに、何故そんなに行きたくないのか問いただしたところ、

「本物の熊は怖い。」

という極めてシンプルで説得力のある返事が返って来ました。

まあ確かに。

しかし今日は天気が悪く、大自然を満喫するようなスポットに行ってもいつものような感動は得られません。

これは奥飛騨の神様がクマ牧場へ誘っているに違いない、と必死に説得し、遂に行くことになったのでした。

 

槍見館から奥飛騨クマ牧場へは、車で15分ほど。

今まで何度前を通ったことでしょう。入口に向けてウインカーを出した時、小学生の時に、親との度重なる交渉の末にやっと買ってもらえたファミコンの事を思い出していました。

ここから車で上に上がって行きます。

やっと来れたー!

熊ってキャラクター化すると何でこんなに可愛いんでしょうか。

駐車場にもクマさんが居ます。前に椅子が置いてあるので撮影スポットですね。

 

では、チケット売り場へ。

割引好きの僕は今日も伝家の宝刀を抜きました。

槍見館でいただいた奥飛騨のクーポン。

これを振りかざすと入場料が¥1,100 → ¥990になるうえに、熊のエサ(¥100相当)がもらえるというVIP待遇を受けられます。

では、念願のクマ牧場へ、入場!

 

1階はお土産屋さん。

階段で2階へ。

体のいろんな部分がずれていそうなクマさんがお出迎え。すぐに整骨院へ行くことをお勧めします。

 

ド迫力のはく製の前を通り、

外へ。

またしばらく歩きます。

そしてやっと入口が。この焦らし感が良い演出になっています。

 

顔出しパネルで当然のように顔を出したら、遂にクマさんとご対面です!

 

「こんにちは。」

うおっ!まあまあ近いな!なかなかの迫力です。いっぱいいるなあ。

ザ・日本の熊。ツキノワグマです。

 

「エサ買ってくれた?」

クーポンでもらったよ。ちょっと待ってね。

 

「はい、記念すべきエサ1投目は是非僕の所へ。」

 

よっしゃ!行くで!

 

「おっ!エサ投げてくれるの?」

 

やっぱりやめとくわ。

 

「ズコーッ!」

いいねえ!そのコケっぷり!吉本新喜劇でも通用するで。

 

クマさんには名前がついています。

 

わかるかあっっ!

 

すぐに判別出来た人はご先祖に熊がいるはずです。

 

クマさんはいくつかのエリアに分かれて生活しています。

隣の広いエリアへ。

ここは広いので、クマさんたちものびのびと暮らしており、興味深いクマ社会の一端を垣間見ることが出来ます。

特に感心したのが、熊同士の喧嘩が始まった時

時々、喧嘩が勃発するのですが、その度に必ず仲裁に入るクマさんが現れるのです。

そしてしばらくすると、喧嘩していた2頭も落ち着きを取り戻し、大人しく別れていきます。

いくら仲裁しても愚かな戦争をやめない人間とは大違いです。

これは見習わないといけません。恥を知れ、人間ども!

 

そしてこのエリアで、対照的な2頭のクマさんと出会うことになりました。

僕はその2頭を見て、人間もクマさんも同じなんだなあ、としみじみ思いました。

 

まずはこのクマさん。

エサを投げたくなるような表情で人々の心を捉え、投げると見事に口でダイレクトキャッチ。

見事な運動神経ですが、それだけではありません。

口では獲れないと見るや、両手を差し出して見事にキャッチ。

口と手の二刀流で観衆を魅了する。

 

奥飛騨大谷翔平!」

 

「ショーヘイ」と勝手に名付けました。

 

そしてもう1頭。

ショーヘイの隣に現れたクマさん(写真右)。

彼はショーヘイのように上手くキャッチすることが出来ません。

何度も何度も投げました。口元へど真ん中ストライクに投げた時もありました。

しかし彼はどうしてもエサを獲ることが出来ず、地面に落ちたエサを必死に拾って食べることしか出来ませんでした。

「自分、不器用ですから。」

 

奥飛騨高倉健!?」

 

健さんと勝手に名付けました。

僕はこの2頭に人間社会の縮図を感じ、これ以降ずっと彼らにエサを投げ続けました。

 

ちなみにこのエサはビスケットです。

エサは3種類販売されており、一番安いのが100円のビスケット。

あと200円のドライフルーツと、季節によっては本物のフルーツ(りんご)もあるようですが、僕が見た限り、皆さんビスケットしか投げていませんでした。

今思えば、ドライフルーツを買ってあげれば良かったですね。

ビスケットばっかりでは飽きますよね・・・。

 

さて、取り憑かれたようにビスケットを投げ続けましたが、ショーヘイと健さんの格差は広がって行く一方でした。

ずば抜けた運動神経で確実にキャッチするショーヘイ。

 

それを見て立ち上がり、キャッチを試みる健さん

しかしキャッチするのはやはりショーヘイです。

「いつまでも僕に憧れていてはエサは獲れませんよ、健さん。今日だけは憧れるのをやめましょう。」

 

「自分、不器用ですから。」

 

諦めて座りこんだ健さんに対し、ショーヘイの勢いはとどまることを知らず、

この後も連続キャッチ記録を更新し続けました。

「マジかよ、こいつ・・・。」

 

クマ社会も人間と同じで、いろんな個性を持つクマさんがいました。すぐにキレだすクマさんもいれば、常に穏やかな表情を浮かべながら歩き回るクマさん。

エサ投げろアピールに命を懸けるクマさんもいました。

でもなんだか、人間よりはうまく社会が成り立っているような気がしました。

「もうやってられんわ。」

人間と同じです。

 

さて、エサやりを十分に楽しんだら、スペシャルイベントの会場に進みます。

 

こぐまロッジ

可愛いこぐまを抱っこしてるところを記念撮影してくれます。

ただし、これは別料金。入場料とほぼ同額の1,000円がかかります。

入場料とのバランスに戸惑いながらも、せっかく来たので撮ってもらうことにしました。

ここでは衝撃的な光景が待っていました。

こぐまを抱っこする時に大人しくさせるために、僕の右手に渡されたのはなんと、

 

カップに入った山盛りのりんご。

 

外では大人のクマさんたちがビスケットを奪い合うように食べているのに、こぐま達は室内で悠々と本物のりんごを心置きなく食べていたのです。

外にいる大人たちも、子供の頃にはここでりんごをお腹いっぱい食べていたんでしょうね。

ああ、外の大人たちにもりんごを食べさせてあげたい!

 

奥飛騨クマ牧場の闇の部分を見てしまいましたが、気を取り直して撮影に臨みました。

 

それでは、撮影開始!

未望(みの)ちゃん。生後6ヶ月の女の子です。

 

一心不乱にりんごを食べ始める未望ちゃん。

 

すると途中でスタッフさんが、「背中をさすってあげてください」と言ってきます。

言われた通りに背中をさすると・・・

 

スッとカメラ目線に。

 

再び食べ始めますが、もう一度さすると、

 

スッ。

 

めちゃめちゃ可愛いやんけ!!

あっという間に撮影会は終了。

またいつかここへ来た時、大人になった未望ちゃんが外でビスケットを食べていたなら、ドライフルーツを投げてあげよう。

そう心に誓いました。

未望ちゃん、ありがとう!元気に育ってね!

 

頻繁に飛騨を旅行していながら、今回初めて訪れた奥飛騨クマ牧場。

想像以上に楽しい場所でした。

あれだけ嫌がっていた妻も満足したようで、「楽しかった」を連発していました。

 

外にはここで熊生を終えたクマさんたちのお墓がありました。

ここで暮らすクマさんたちが幸せなのかどうか。

それは人間にはわかりませんが、亡くなる前に1頭でも多くのクマさんが、「そんなに悪くなかった熊生だった」と思ってほしいもんです。

 

「今度はりんごを投げてくれよー!!」

 

これから行こうとしている皆さん、よろしくお願いいたします。

せめてドライフルーツで。

クマさんたち、今日は楽しい時間をありがとう!

 

この後ろ姿もまた味わい深い。

 

今日の1曲:パーマ大佐「森のくまさん」