暖冬暖冬と言われながら、急に寒くなり始めた今年の冬。
日本各地の「豪雪地帯」と呼ばれる地域では凄まじい勢いで雪が降っている、というニュース映像を、全く雪の降らない大阪でぬくぬくと眺めていましたが、2月初旬、僕の車は何故か大雪の中を走行していました。
平和な大阪を離れ、わざわざ雪国へと旅に出ていたのです。
がっちよ、君は一体何故そんな危険な行動に出たというのだ!?
それは・・・
「そこにかまくらがあるから」
中尾かまくらまつり
岐阜県高山市の奥地、「奥飛騨温泉郷」の中でも奥地にある「中尾」という土地。
北アルプスに抱かれた白銀の世界で、毎年2月に10日間だけ行われるという、大阪に住む人間から見れば少しハードルの高い「幻の祭り」とでも言うべきイベント。
ずっと行きたかったのですが、2月に豪雪地帯へ向かう勇気がなかなか出ずに二の足を踏んでいました。
しかし遂に今年、初めて行くことになりました!
なかなか雪が降らない土地に住む人間にとって、「かまくら」という未知の建造物に対する憧れは非常に強いものがあります。
幼き頃、百科事典に載っていた「かまくら」を見た時の衝撃たるや、兄が定期券をボットン便所に落としてしまった時以上のインパクトがありました。
いつかかまくらを自分で作り、中に入ってみたい。
そんな夢を抱いていた少年時代。意外にもその日はすぐにやって来ました。
昔は大阪でも結構な雪が積もる日があり、その日は小学校のグラウンドが一面真っ白になっていました。
異常なまでにテンションが上がった子供たち。
僕も当然例外ではなく、数人の友達を率いてかまくら作りを始めました。
しかしそんなに上手く作れるはずもなく、雪だるまに穴が開いたような、見ようによっては芸術的なオーラを発する不思議な建造物が出来上がりました。
どう見ても中に入れる感じではなかったのですが、どうしても入りたかった僕は、とりあえず頭を突っ込みました。すると・・・
ドサッ!!
あの日以来、夢見ていた本物のかまくら。
遂に本日、実際に目にする日がやって来たのです!
まずは奥飛騨温泉郷の常宿へ。
槍見館
さあ今年はここに何回泊まるでしょうか。
今ではここへ来ると実家に帰って来た気分になります。
高山市中心部は全く雪が降っておらず、悠々と走行していましたが、丹生川町に入った辺りから天気が激変。
平湯トンネルの手前ぐらいからはどこが道なのかもわからないぐらいに雪が積もって来ました。
命からがら辿り着いた実家(槍見館)。
同じ市内でこれだけ天候が違う高山市、恐るべし。
部屋の窓からは水墨画のような雪景色が見えました。
槍見館から中尾かまくらまつりの会場までは車で10分ぐらいなのですが、夜に雪が降りまくる山道を走行するはめになるのでかなりビビっていました。
しかしなんと槍見館から送迎をして下さるとのこと!
ありがたや~。
とりあえず露天風呂へ直行し、雪を頭上に積もらせながらの雪見風呂を楽しみました。
槍ヶ岳は全く見えませんでしたが、目の前を流れる川を覆い尽くすような雪景色は圧巻でした。
それから内湯で整えてから、美味しい美味しい夕食をいただき、20時にロビーへ集合。
ここでかまくらまつりの参加者に、ある物が配られました。
割引!!
かまくらまつり会場での飲食が割引になるパスカード。
割引にめっぽう弱いがっち会長。
まだバスにも乗り込んでないのに、早くも首にパスカードを掛けました。
そして10人乗りハイエースに乗り込み、出発!
運転してくださるのは、いつも槍見館到着時に出迎えてくれる「奥飛騨のインディ・ジョーンズ」と僕が勝手に呼んでいるお爺さん。
さすが雪道に慣れまくっているインディ爺さん。
真っ白に雪が積もった夜の峠道をアグレッシブに激走し始めました。
10分もかからずに会場の「白山神社」に到着。
ぼんやりした幻想的な雪景色の中をしばらく歩き、
早くも巨大な雪見だいふくのような建造物が見えてきましたよ!
つ、遂に来たぞこの時が!
手作りにも程があるぞコノヤロー!
かまくらさんこんばんは~!!
これが本物のかまくらか!
がっち少年よ、君は40年後に本物のかまくらを見ているぞ!
しかも・・・
中に入ったぞ~!!
バンザーイ!がっち会長バンザーイ!
そして会長は思いました。
「こんなもの、小学生に造れるわけがないな」
エジプトのピラミッドを造った人は凄いなあ、とずっと思っていましたが、かまくらを造った人も同じぐらい凄いです。
会場内には大小様々なかまくらが展示してあり、中へ入れるものや、ライトアップしてあるもの、中がバーになっているものもありました。
雪が頭上からガンガン降り注いでいますが、何故か全く気になりません。
やっと出会えた本物のかまくらに興奮し、ドッグランに来たワンちゃんのように会場を徘徊しているうちに、レアなイベントが始まりました。
10日間の開催期間のうち、3日だけ行われる郷土芸能「中尾獅子」。
それがたまたまこの日だったのです。
本殿の前に手際よくシートが敷かれ、獅子舞いが登場。
会場が熱気に包まれます。
軽やかな笛の音色に導かれ、開演!
なんだか凄い迫力です。
ひれ伏したくなる神々しさ。
2人1組で舞われる獅子舞い。
後で後ろ側の人が槍見館の専務さんだと判明しました。
槍見館がこのお祭りの影の支配者だったのか。
獅子の顔が地面すれすれに疾走し始めました。
これを見て「帰ってきたウルトラマン」に出て来た怪獣「ツインテール」を思い出していたのは恐らく僕だけです。
たまに大技を繰り出す獅子舞いに大きな歓声が上がっていました。
素晴らしい郷土芸能でした。ずっと残してほしいですね。
熱演ありがとう、専務さん。
獅子舞いの興奮冷めやらぬ中、次はかまくらバーに行き、「りんごジュース」をいただいたのですが、これがとんでもなく美味しい逸品でした。
「これはどこのジュースだ?」
会長は外にかかっていた札に書かれていた「木戸脇果樹園」という名前を目ざとく見つけ、脳内にインプットしました。
ずっと来たかった「中尾かまくらまつり」。
夢のような時間を過ごしました。
また来たいなあ。
お迎えの時間が近づいてきたので、送迎場所へ戻りました。
この看板でさえ神々しく見えた中尾の夜でした。
インディ爺さん、帰りも激走!ありがとうございました。
翌日、相変わらず槍ヶ岳は見えませんでしたが、会長は大阪への帰路につきました。
そして途中、ある所へ立ち寄りました。
木戸脇果樹園
かまくらまつりでいただいたりんごジュースの味が忘れられず、電話をかけて押しかけたのでした。
予想を覆す立派な建物でしたが、中は空っぽで、まだ建設中のようでした。
すると、後ろの小さな建物から果樹園の女性の方が出て来て応対してくれました。
そして待望のりんごジュース購入!
やったー!
飛騨らしい温かいイラストも素敵です。
この後、しばらくお店の方と話をしているうちに、まだ建設中の建物の中を特別に見せていただきました。
木の良い香りが充満していました。
所有する山から切り出した木で全て造ったそうです。すげえ!
新品の薪ストーブ。まだ火は入ってないのに、見てるだけで暖まりますね。
2階も広々。どんなお店になるのか、凄く楽しみです。
このブログが公開される頃にはオープンしているみたいですよ。
テラスからは山も見えて、とても気持ちいいです。
周りも静かで、高山中心部の人の多さがウソのようです。
次はオープンしたお店に必ず来よう。
さあお宝を手に、大阪へ帰ろう!と車のエンジンをかけた時でした。
お店の方がダッシュで追いかけて来て、
ジャムを下さいました!!タダで。
こ、これ下手したらジュースより高いんじゃないのか!?
まだ開いてないお店を見学させていただいた上にお土産までいただきました。
木戸脇果樹園さん、本当にありがとうございました!
絶対また来ますね~。
それから毎晩、りんごジュースで晩酌を楽しむがっち会長の姿がありました。
会長はいつまでも、飛騨のりんごと人情に酔い続けました。
「またいつの日か、大阪で雪が積もったらかまくらを作ってみよう。」
いや、それはやめとけ。
今日の1曲:Cream「White Room」