がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

槍見館への招待

巷に溢れかえる「ポイントカード」や「スタンプカード」。

いろんなお店で作り過ぎて、瞬く間に凄い枚数になり、管理するのも一苦労です。

今やどこのお店でもレジで聞かれます。

 

「当店のポイントカードはお持ちでしょうか?」

 

「すぐにお作りできますが、いかがいたしましょうか?」

 

「作っていただければ、只今のお会計からポイントが付きますが。」

 

ああっ!うっとおしいっっ!!

 

神様、お願いです。ポイントカードの有無を聞かれない世の中にして下さい。

ポイントを貯めて手に入る満足感よりも、カードを管理する労力の方が大変です。

と、言いながら・・・。

 

僕には大事にしている、なくてはならないスタンプカードが2枚あります。

 

どないやねん。

 

1枚は、愛してやまない大阪府豊中市のパン屋「スリール」さんのスタンプカード。

このカードのスタンプが埋まっていくスピードは尋常ではありません。

全部貯まると500円引きになるのですが、この権利を行使した時の僕の満足気なアホ面を皆さんに見せてあげたいです。

 

そしてもう1枚。

「日本温泉文化を守る会」のスタンプカード

名前の部分は車で隠してます(協力:ダイハツ工業)。

これは日本全国に点在する

「日本秘湯を守る会」

「日本源泉湯宿を守る会」

「日本文化遺産を守る会」

のいずれかに属している宿に泊まれば、1泊につき1つスタンプを押してくれます。

そのスタンプが10個貯まれば、押し印のある宿の中から自分の好きな宿で1泊無料招待していただけるという、夢のようなスタンプカードなのです。

押し印もスタンプラリーのような大きなハンコで趣きがあります。

ポイントカードだと、カードを見ただけではどれくらいのポイントが貯まっているのかがわかりませんが、スタンプカードは一目瞭然で現在の状況がわかるのが良いです。

 

そして今回、このスタンプカードが満タンになったので、1泊無料招待の権利を行使することになりました。

 

宿泊先は、奥飛騨の常宿「槍見館」

ここよりもいいお宿なんて存在するんだろうか?と思えるぐらいの素晴らしい旅館です。

 

さて、今回の奥飛騨旅行ですが、1泊2日というタイトなスケジュールなので、ほとんど目的を決めずに行きました。

唯一の目的地は、前回のブログでご紹介しました大衆食堂「としちゃん」のみです。

あとは槍見館でゆっくり過ごせればそれで満足。

僕が奥飛騨へ足繫く通う理由の半分は、槍見館に行きたいからです。

天気さえ良ければ、他には何も望みません。

そして3月下旬の出発当日を迎えました。

しかし・・・・・

 

 

雨雨雨雨雨ー!!

 

絶望的な天気予報。2日共アウトっぽいです。

・・・・・

 

まあいいか、タダだから。

 

と高額な高速代とガソリン代のことは無かったことにして向かいました。

「としちゃん」に向かう間も、ずっと雨が降り続いていました。

しかも3月に入ってから暖かい日が続いていたのに、この日は妙に気温が低く、冬のような寒さでした。

そしてとしちゃんに着いた時、槍見館から一本の電話が入りました。

 

「雪がだいぶ積もって来ましたので、お気をつけてお越しください」

 

ええっ!?

 

ゆ、雪!?

過去に3月に来た時も確かに雪が降っていたのでスタッドレスタイヤは履いていましたが、今年の3月はあんなに暖かかったのに・・・。

奥飛騨へ向かうルートを変更。

豪雪の疑いが強い平湯峠を避け、神岡町経由で槍見館へ向かうことにしました。

向かう途中、じわじわ~っと周りの景色が白くなっていきました。

そして何とか無事に到着。

あばばばっ!!

普通に冬の景色やん。春の穏やかな旅行の予定だったのに。

完全に想定外です。

この後、いつも車まで出迎えに来てくださる奥飛騨インディ・ジョーンズと勝手に僕が呼んでいるおじいちゃんが今日も出て来てくださいました。

いつも探検隊のような出で立ちをされているのでそう呼んでいるのですが、この方の槍見館での立ち位置が未だ謎です。

でもインディ爺さんのお顔を拝見すると、「あ~槍見館に帰って来た~」という気分になり、ほっこりします。

インディ爺さんに先導され、中へ避難!

温か~い。

見ているだけで身も心も温まる囲炉裏のパワー。

宿泊者はここで自由に寛ぐことが出来ます。

受付の前には木をくり抜いて作られた木舟があり、ここにジュースなどが冷やしてあります。

槍見館には自動販売機」がありません。

これもお気に入りポイントの一つ。旅館の風情を損なう物は極力置かず、非日常な空間にどっぷりと浸ってもらおうという姿勢が素晴らしいです。

上の写真は冷たいドリンクの木舟で、北アルプスの湧水でキンキンに冷やしてあります。

一方、温かい飲み物は贅沢にも温泉で温められています。

缶コーヒーも気持ち良さそうです。

「あ~ええ湯やで。焙煎の疲れが癒されるわ~。」

とFIREが言ってました(寒さによる幻聴の疑い)。

その横では温泉玉子が完成の時を待っていました。

「ひよことして生まれることは出来なかったが、温泉玉子として一生を全うするのも悪くはあるまい。」

と卵たちが言ってました。幻聴が酷くなる一方なので、部屋で少し休みましょう。

 

本日の部屋は笠ヶ岳

槍見館では、各部屋にこの辺りの山の名前がつけられており、中でも「笠ヶ岳」は一番のお気に入りの部屋。

恐ろしく太い梁が印象的な、飛騨以外の何物でもない空間。

そしてこの「笠ヶ岳」最大の売りが、飛騨の家具工房「柏木工」世界一の椅子に座りながら眺める外の景色。

天気の良い日は、真正面にドーンと槍ヶ岳を初めとする北アルプス3000m級の山々を臨むことが出来ます。

 

天気の良い日は・・・ですが。

 

少し部屋で休んでから、雪の中、露天風呂へ行きました。

槍見館の温泉は、2つの混浴露天風呂に1つの女性専用露天風呂、無料で貸し切れる4つの露天風呂、そして男女別の内湯と計9つのお風呂があり、どれもが超一級です。

全てが源泉かけ流し。奥飛騨温泉郷の豊富な湯量を実感できます。

特に混浴露天風呂「槍見の湯」は、天気が良ければ槍見館の名前の由来ともなっている、槍ヶ岳の勇姿を臨みながら湯に浸れる極上のお風呂。

 

天気が良ければ・・・ですが。

 

この日は槍ヶ岳どころか近くの山すら見えませんでした。

でも雪がしんしんと降る中、気持ちのいいお湯に浸かり、すぐ側を流れる蒲田川の流れの音を聴きながらボーッと雪景色を眺めるのは最高の時間でした。

混浴とはいえ、女性の方が安心して入れるように湯浴み着が用意されているのも、行き届いてますね。

 

お風呂から上がると、館内中に食欲をそそる、香ばしい匂いが充満してきました。

「これは・・・あれだな。」

と温泉玉子のように茹であがった旅人がっちがつぶやきました。

あれとは・・・

 

奥飛騨残酷物語。

串刺しにした岩魚を囲炉裏でじっくりと焼き上げているのです。

夕食への期待が高まる絶妙な演出です。

 

そして再び部屋でゆっくりした後、

待望のメシ時間!!

囲炉裏つきの個室で、タダ飯だ!(やらしいなあ)

いただきます!

まずは前菜。素敵な木編みのお皿に載ってます。

手描きのイラストで前菜の説明が描いてあります。

上手だなあ。

いきなり飛騨色全開です。どれも美味しいです。

中でもこも豆腐寒干し大根は絶品。

これも飛騨らしい、岩魚の土瓶蒸し

おちょこのような器に入れて飲みますが、お酒の弱い僕は、これを熱燗を飲むかのように「あ~っ」と声を発して飲みます。

お造りを選びます。

この2択は就職先を選ぶ時よりも難しいです。
僕は魚、妻は肉にしましたが、お互い相手が選んだ物の方が美味しく見えています。

魚は川魚で、ナマズという珍しいものが食べれます。

そして出たっ!
先程、処刑されている所を目撃してしまった岩魚の塩焼

じっくりと時間をかけて火が通っているので、頭からしっぽまで、丸ごといけます。

むむっ!?こりゃ何だ?謎のマスクマン登場。

その正体は・・・何やったんかな、これ(笑)。

美味しい煮物でした。

そしてメインの、

A5ランク飛騨牛のすき焼き!

今、私の体は飛騨の食べ物のみで動いている。

驚異の生命体、飛騨人間ガッチ誕生!

「早く飛騨人になりた~い」

締めのデザート💛

ごちそうさまでした!

ほんまに槍見館の食事は全てが美味しいです。

今までご飯粒1粒すら残したことがありません。

 

それから部屋で休んだ後、再びお風呂へ入り、就寝しました。

外は雪が降り続いていました。明日も同じ天気か・・・・・。

 

そして迎えた朝。

 

あ、あれ・・・!?

快晴!!

くっきりと浮かび上がった槍ヶ岳の勇姿。

人は何故あんな尖った所へ登ろうとするのでしょうか。

喜び勇んで露天風呂へ突撃し、昨日は見れなかった絶景を目に焼き付けました。

そしてお風呂上り、朝食前の、

飛騨牛乳

美味しいんですよ、これが。

天気の良さに引っ張られて、宿泊者にもあまり知られていない秘密のテラス席へ。

寒っっ!!

温泉で温まった体を瞬間冷凍。

そして渾身の一杯。

冷たっっ!!

でも美味しい。美味すぎる。

冷え切った体に追い打ちをかけるこの行為。こ、これは嫌な予感・・・。

 

ピー、ゴロゴロゴロ。

 

胃腸がスッキリした状態で朝食をいただきました。

ご飯のお供がたくさんあり過ぎて、いつも食べ過ぎてしまう朝食。

 

更に毎朝9時に行われる槍見館名物「餅つき大会」

お水もお米も美味しい所のお餅はやはり美味しいです。

お腹パンパンなのにこういうものはまだ入る、人体の不思議。

ごちそうさまでした!

 

お腹がハンプティダンプティな状態でチェックアウトするのもいつもの流れです。

 

いつもありがとう、槍見館!

そしてタダで泊まらせてくれてありがとう、日本温泉文化を守る会!

 

またスタンプを貯めよう。(思うつぼ)

 

帰る前に、槍見館の近くにある名所「防災ヘリポートへ。

み、道がヤバいぞ。

命からがら、駐車場へ到着。ダイハツ・ミラココア、今日はアイスココアです。

 

北アルプス大橋

四季折々、どの季節に来ても美しい表情を見せてくれる大好きなスポット。

ちょっとガスってましたが十分美しいです。

また来るよ~奥飛騨パラダイス!(スタンプ貯めに)

 

帰路に立ち寄った富山県立山連峰も素晴らしい霜降りの姿を見せてくれました。

雪山は遠くから眺めるのがいいですね。

 

それから数週間が経ち、4月半ば、すっかり春の陽気に包まれた日本列島。

ある日、滋賀県へドライブに出かけました。

すると名神高速道路を走行中、掲示板に驚きの情報が表示されました。

 

白川郷付近、冬用タイヤ規制」

 

いつまで雪降るねんっ!!

恐るべし飛騨地方。でも大好き💛

 

今日の1曲:かぐや姫なごり雪