がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

朝から堺で天ぷら食せば、その日は大吉

50歳になった今、しみじみと思うのが、

 

「夜に起きれなくなったなあ。」ということ。

 

最近、夜8時を過ぎると、遊び疲れた赤ちゃんのようにコクコクし出すようになりました。

油断しているとそのまま眠り込んでしまい、目を覚ました時に自分のアクロバットな体勢に衝撃を受けます。

歳を取ると共に、襲いかかる眠気に抵抗できなくなってきたのです。

 

若かりし頃は、仕事の後に夜通し遊びに行っても全然平気で、寝てる時間がもったいないぐらいの勢いで日々を過ごしていました。

その当時、たまに行っていたお店がありました。

 

そのお店は魚市場の中にあり、夜11時に開店し、朝まで営業している天ぷら屋さんです。

これを聞くだけで、大阪府民なら特定のお店がスッと頭に浮かんだことでしょう。

近年、テレビや雑誌などの媒体への露出がやたらと多く、今や大阪府民で知らない人はいない程の超有名店になりました。

 

堺の天ぷら屋さん「大吉」です。

夜中に営業しているにもかかわらず、今では2時間待ちは当たり前という凄まじいまでの大行列店になりましたが、当時は行列こそ出来ていたものの、今ほどではなく、堺市民の秘密のお店として密かに愛されていたのです。

 

しかしもう、夜起きれない僕にとっては異常にハードルの高い幻のお店となってしまいました。

テレビなどでそのフィーバーぶりを見ても、「ああ、懐かしいけどもう行かれへんなあ」と老人が若き日に思いを馳せるような気持ちでいました。

でもそれでいいんです。

早寝早起きこそが今の自分のライフスタイルであり、岐阜モーニング協会大阪支部長として守らなければならないスタンスなのだ。

 

!? モーニング・・・・・。

 

その時、僕は気づいてしまいました。

大吉が朝8時まで、週末は9時まで営業していることに。

 

天ぷらモーニングか。

 

ううっ・・・それは大丈夫なのか!?

おっさんが朝から天ぷら・・・・・

 

早朝に堺へGO!!

あほやおっさんー。知らんぞ。

 

阪神高速で後ろの車にガンガンに煽られながら、朝7時に堺魚市場に到着しました。

朝にここへ来るのは初めてなので、変な感じです。

車は市場の真ん前にある駐車場に停めます。夜中はすぐに満車になりますが、この時間なら大丈夫。

「早起きして、閉店時間前のお店に行く」という不思議な体験です。

 

堺魚市場

年季の入った建物の、いかにも市場らしい市場です。

大吉は道路に面した所にあります。

ここで注意点。道路からお店の中を覗くと、席が空いている時がありますが、いきなりお店へ入ってはいけません。

お店の横の市場へ入って行く暗~い通路に、人々が行列を作っています。

この行列が、夜中になると新型iPhoneの発売日かと思うぐらいの凄い長さで続いているのです。

天ぷら大吉 堺本店

朝の姿は新鮮ですが、当時から何も変わっていない雰囲気です。

席は店内にはカウンターのみ。外にはテーブル席が少しだけあり、大人数のグループはこちらへ通されることが多いです。

この時間でも、まだ少し並んでいましたが、5分程の待ち時間で入れました。

夜では考えられないことです。

 

カウンター席に座ると、当時の記憶がフラッシュバックします。ほんまに何も変わっていない感じですが、このご時世、値段は上がっていました。これはもう仕方がないです。

変わっていないといえば、注文方法。

こんな風に紙に書いて渡すスタイルは健在でした。

売り切れているネタは厨房内のボードに読みにくい文字で書いてあるので、注意が必要です。

 

そしてもう一つ、変わっていなかった大吉名物「床に散らばる貝殻」

足元を見ると無数の貝殻。

あさり汁に入っているあさりの身を食べた後、貝殻を床に捨てるのが大吉ルール。

「殻入れはないの?」と聞かれ「もう地面に捨てといて」と答えたのが始まりなのだとか。

いつしかこのワイルドな行為が大吉名物となったのですが、ノールックで手首のスナップを効かせながら堂々と投げ捨てる常連さんに比べて、初めて来た人は床を見ながら恐る恐る捨てています。

さりげなくスッと足元に落とすのが粋な大人の捨て方です。

しかし問題は、あさり汁の値段。

440円です。高っっ!

これは高過ぎる。でもこの貝殻を床に捨てないと大吉に来た気がしないので、もれなく全員が注文しています。

 

天ぷらのタレ。大根おろしたっぷりです。かなり甘めです。

この甘さは好き嫌いが分かれるところですが、間違いなくご飯には合うので、必ず白飯を注文しましょう。

 

それでは我が青春の味と、久々の対面です。

 

ええ風景や~💛

清々しい朝に相応しい(どこが?)。

油ギッシュモーニングだ!

まあ奥さん!ご飯によく合うこと!ヤダわ~。

サクッと揚がった天ぷらは朝なのに違和感なく胃袋へと飲みこまれていきます。

朝食とは思えない量の天ぷらをいただきました。

ごちそうさまでした!

 

懐かしの市場の味。

とても満足しましたが、僕の中で一つの疑問が湧きあがってきました。

 

「ここは2時間も並んでまで食べに来るようなお店なのだろうか?」

 

その答えは、No!です。

もちろん天ぷらは美味しいのですが、これぐらいの天ぷらなら他のお店でも食べられるでしょう。

味よりも、

深夜~朝までしか営業していないという希少性、

魚市場の中で食べるという独特の空気感、

貝殻を床に捨てるなど、他のお店では体験できない非日常感、

それらのトータルでの「雰囲気」を求めて訪れるお店だと僕は思います。

 

だからやっぱり、あまり待たずに入店出来る「朝」がオススメです!

皆さんも是非、堺が誇る「油まみれモーニング」を体験しに行ってみてください!

 

と言いながら、その日僕は1日中、ずっと胃もたれを起こしていました。

どこがその日は大吉やねん。ブログタイトルに偽りあり。

朝の天ぷらは食べ過ぎに注意しましょう。

 

今日の1曲:The Moody Blues「Another Morning」