がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

一作鮨は廻らない

回らない寿司屋なんてもう行くことはないだろう、と思っていました。

というか回転寿司に行き過ぎて、回らない寿司屋さんがあることさえ忘れていました。

最後に回らない寿司屋さんに行ったのはいつでしょうか?

そもそも行ったことはあったのでしょうか?

 

あるわい。

 

生まれも育ちも大阪ですが、僕の体には福井県民と新潟県民の血が色濃く流れているのです。

いわば海産物王国のプリンス。

誇り高きプリンスが回っている寿司ばかりを食べていてはいけないのです。

 

今日もかっぱ寿司へ行こう。

 

プリンスは現実から目をそむけるように回転寿司へ通い続けていました。

彼はかっぱ寿司のプレミアムホイッププリンが大好きだったのです。

 

スイーツ目当てかい!

 

堕落しきったプリンス。

もう彼に海産物王国のプライドはありませんでした。

 

そんなプリンスの元に、吉報がもたらされました。

情報源は会社きってのグルメ通、”暴虐のハードロッカー”の異名を取る

スコーピオンK氏

K氏といえば、以前にこのブログでもご紹介しました石焼生パスタ「蔵之助」を初め、情報にハズレがないことで有名な人物です。

今回のK氏からのタレコミは、

 

「回転寿司よりも安い、回らない寿司屋がある」

 

という驚くべき情報でした。

これを聞いたプリンスの心の中で、何かがはじけました。

 

「私は王国の威信をかけて、回らない寿司屋へ行かなくてはならない!」

 

安いと聞いた瞬間、急に王国のプライドを取り戻したプリンス。

世間の冷ややかな目を気にも留めず、さっそくその「回らない寿司屋」へと向かいました。

 

お店の場所は大阪府堺市

若かりし頃、堺で約2年という短い期間ですが、一人暮らしをしていました。

親友のベーシスト、たけりんが堺在住だったので、その近所に住んでいたのです。

堺はとても暮らしやすく、そこで出会った人々も本当に素敵な方が多く、僕にとって堺は「第2の故郷」ともいうべき場所。

久しぶりの堺で、久しぶりに回らない寿司屋さんへ行けることに興奮していました。

 

その安さゆえ、凄まじい人気ぶりだと聞いていたので、開店時間11時よりも1時間前、10時到着を目指してロケットスタートしました。

しかし問題はこの日の天気。

冷たい雨が降り注ぎ、風も強い。

こんな中で開店前から並ぶのは自殺行為です。

しかしプリンスはこれを好機と捉えました。

 

雨のおかげで空いているに違いない。

 

お店へ向かっている途中、雨はどんどん酷くなっていきました。

そして出発から約1時間後、遂にお店の前に到着。すると・・・

 

誰もいない!

 

勝利を確信したプリンスは、とりあえず車を停めに駐車場に向かいました。

店舗横は持ち帰り専用の駐車場になっており、お店で食べる場合は少し離れた所に2カ所の駐車場があります。お店の横の路地を入って行った所にあるのが第1駐車場6台。

お店から道路を挟んで斜め向かいが第2駐車場8台。

プリンスは第1へ停めました。

ここにもまだ他の車は停まっていません。

雨風は更に強くなってきましたが、プリンスは意気揚々とお店へ並びに行きました。

まだ誰も来てませんでしたが、お店の前に何やら紙を挟んだ台が置いてあるのが見えました。

その紙を覗いてみると、

 

いっぱい名前書いてるやんけ!!

 

プリンス痛恨のミス。

このお店は並ぶのではなく、名前を書いておいて開店時間になったらお店の前に来る、というシステムだったのです。

人数を数えてみると、もう既に30人ぐらいの名前が書いてありました。

お店の席数は確か34席ぐらいだったはず。

一巡目が微妙になってきました。

この30人の侍たちは今、どこで待機しているのでしょうか。

一作鮨

南海高野線初芝駅」から府道35号線をまっすぐ行った所にそのお店はありました。

以前は狭い住宅街の中にあったそうですが、移転したようです。

一旦車へ戻り、11時を待ちました。風がゴーゴーと音を立てています。

そして10時45分。雨風が強まる中、お店へ向かいました。

すると30人の侍たちが既に集結していました。

強風に耐え忍びながら開店を待つプリンス夫妻と30人の侍。

そこへ次々とまだ名前を書いていない人々がやって来ます。とんでもない人気です。

 

待つこと10分、遂に開店!

上から順番に名前が呼ばれていき、侍たちが入場していきます。

そしてプリンスの前の人が呼ばれ入場!

テンションがMAXに達したプリンス!

 

 

「只今、満席になりました。」

 

ガボーン。

ちょうどプリンスの手前で一巡目が終了しました。

なんという非情な現実!

王族として人生最大の試練の時を迎えたプリンス。

ここからまた、誰かが出て行くまで雨風の中、待たなくてはならないのです。

 

しかし奇跡が起こりました。

わずか15分ぐらいで、最初の人が出て行ったのです。早っ!

思いのほか早くに入店。どうやらお客さん側にも、後ろにたくさんの人が待っているから食べたらさっさと出て行こう、という思いやりの心があるようです。

この精神、岐阜のモーニングを思い出しました。素晴らしい!

 

着席してメニューを見ます。

どうも以前よりかなり値段が上がっているという話ですが・・・

安っっ!

これで値段上がったの?十分安いです。

プリンスは「にぎり15貫セット」を注文しました。

 

冷え切った体を熱いお茶で温めようと、一口。

「はあ~っ」と言った瞬間、

「おまたせしました。」

 

早っっ!そら回転早いわ。

にぎり15貫セット(赤だし付き)

マジで!?これ850円?

新鮮なネタが載った充実の15貫。

この赤だしがまた凄い。デカい。

そして中のあら。あらというレベルではない、身がたっぷり付いたあらです。

プリンスは久しぶりの回転しない寿司を心ゆくまで堪能しました。

一つ一つが、美味い。

最近の回転寿司は飛躍的にレベルが上がりましたが、それでもこうして比べてみると、やはり職人さんが見える所で握る寿司はちょっと違います。

プリンスは思いました。

「海産物王国のプリンスたる私を満足させるとは、大阪の寿司屋もなかなか侮れないな。」

いや、血筋だけでお前は大阪生まれだろうが、という意見には一切耳を傾けませんでした。

ごちそうさまでした!

後ろにはまだまだたくさんの人が待っているので、岐阜モーニングの精神を以て食べ終わったらすぐにお店を出ました。

 

駐車場には待っている車がいましたが、「ここが今から空くよ」とプリンスは自分のリムジン(軽自動車)を指さし、王族の貫禄を見せつけながら一作鮨を後にしました。

 

すっかり満足したプリンスは、この近くに最近出来たというららぽーと堺」へ向かいました。

目的はただ一つ。

フルタ製菓直売所「ふるたす」

大阪が誇るお菓子メーカーフルタ製菓

ららぽーと堺のすぐ近くに工場があることから、寿司並みに新鮮な出来立てのお菓子がここへ運ばれてくるのです。

ここの目玉がこれ。

近所の工場で作られた出来立てクッキーのつめ放題、500円。

サンプルとして50枚も詰め込んだ袋が置いてありましたが、プリンスは生来の奥ゆかしさを発揮し、40枚しか入れませんでした。

「詰め込み過ぎず、1枚も割ることなく袋詰めするのが、王族の気品なのだ。」

とプリンスはつぶやきましたが、誰も聞いていませんでした。

「美しいパッケージングだ。」(誰も聞いてない)

フルタのクッキーはあまり知られていませんが、いろんな種類があって、とても美味しいのです。

セコイヤチョコレート

まあもちろん、フルタといえばこれですけどね。

 

やはり堺はいい所だ。

プリンスはセコイヤクッキーを噛みしめながら思いました。

我が第2の故郷、堺。また何かを食べに来よう。

 

堺で回転しない見事な寿司を食べ、王族としてのプライドを取り戻したプリンスでしたが、このわずか数日後、かっぱ寿司でプレミアムホイッププリンを食べる姿が目撃されました。

 

スイーツ ≧ 寿司

 

プリンス、王族追放。

 

今日の1曲:Billy Joel「僕の故郷」