がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

リーガでロイヤルな苺ビュッフェ

また今年も苺の美味しい季節がやって来ました。

この季節になると一斉に始まるのが、高級ホテルによる

 

「いちごビュッフェ合戦」

 

普段こういった高級ホテルになど全く用事がない我々庶民も、「いちごビュッフェ」という魅惑の響きには抗えず、各ホテルのホームページを急に見るようになります。

そして庶民たちは「自分へのご褒美」という非常に都合の良い、意味不明な言葉を発しながら背伸びをして高級ホテルへと旅立つのでした。

 

僕はと言うと、自分へご褒美をあげる気になど全くならないので、苺ビュッフェへ行くには別の言い訳が必要になります。

 

「いい大義名分がありますぜ、旦那。」

「ほほう、申してみよ。」

「奥方様がこの季節にお誕生日を迎えられますぜ、旦那。」

「フッフッフッ、そちもワルじゃのう合致屋。」

 

ちょうどこの季節に妻が誕生日なので、「妻への誕生日プレゼント」という強力な大義名分を振りかざして、2年振りに苺ビュッフェへと出かけました。

便乗人間ガッチ、場違いな高級ホテルへ潜入いたします。

ホテル側から見れば、警戒すべき「異物が混入する季節」に他なりません。

 

今年、異物が混入する栄誉に選ばれたのは(何故上から?)、

 

リーガロイヤルホテル大阪!

 

僕のこのホテルのイメージといえば、

以前に愛用していたこのマーガリン。

それ以外の関りはありません。

では、前日から周到に胃袋のコンディションを調整し、出発ー!

 

リーガロイヤルは京阪電車の「中之島駅」からすぐなのですが、阪急沿線からはアプローチが困難なので、JR大阪駅の高架下から出ている無料送迎バスに乗って向かいました。

この送迎バスが優れもので、なんと無料なのに6分間隔で運行しており、市バスなみの短い待ち時間で乗ることが出来ます。

でも僕にはどうしてもマーガリンの外箱に見えてしまいます。

ありがとう、マーガリン号!

 

リーガロイヤルホテル大阪

近年、外資系のホテルがブイブイいわしまくっている状況の中、和製ホテルの牙城を帝国ホテルなどと共に守る、大阪生まれの超一流ホテル。

圧倒的な老舗ホテルのオーラをものともせず、異物は混入します。

 

「うーん、トレビア~ン」異物はつぶやきました。

子供の頃の異物であれば、プロレスごっこを始めていたでしょう。

程なくして、ビュッフェ会場に到着しました。

 

リモーネ

今年も妻に便乗してこんな所へ来てしまいました。

2年前に行ったホテルニューオータニサーンのビュッフェでは元を取りたいと思うあまり、苺を食べ過ぎてしまいましたが、今は50歳になったので、洗練された大人のビュッフェスタイルを貫く所存です。

会場前には既にたくさんの人々が集まっていました。

そして人々の目がぎらついていました。

 

嫌な予感・・・。

 

というのも本日のビュッフェは、並んで自分で料理を取るスタイルなのです。

これが昔からどうしても苦手です。

特に女性が後ろに並んでいる時の、背中に感じる無言の圧力。

「早よ取れよ」

という圧が空気から伝わって来て、背筋の凍る思いです。

そして圧をかけてくるのは、エレガントな装いをした女性ほど多いという統計結果もあります。

受付を待っている人々を見ると、やはり今日もエレガントな装いをした女性だらけでした。

この心配が杞憂に終わることを心より祈りながら、異物入場!

席へ行く途中に料理の方に目をやると、既にたくさんの人が並んでいました。

その時、僕は早くも見てしまいました。

料理を取っている前の人を、地獄の鬼のような形相で見つめる女性の姿を!

恐~!

しかし今から僕も、あの修羅場へと突入しなければならないのだ。

それが場違いな所へ紛れ込んだ異物の宿命なのだ。

行け!

90分一本勝負のゴングが鳴りました。

 

まずは全体像を把握するべく、さらっと見て回ります。

サラダに、

 

スープやカレー、

 

料理がずらっと並んだ先には、

シェフによるライブキッチン。

これこそがホテルビュッフェの醍醐味ですね。

 

そしてその先には、

主役の苺エリア。

「人間は真ん中から取りたがる生き物である」(ガッチ・ペペロンチーニ

 

「左をご覧くださいませ。こちらが有名な『苺ヶ岳』でございます。

標高は約30cm。高カロリーな山として、昔から地元の人々に恐れられていました。

西洋では『クロカンブッシュ』とも呼ばれているそうです。」

 

あれ?写真なんか撮って余裕じゃないか。

と思われるでしょうが、これは帰る時に撮った写真です。

実際に取りに行った時はかなりの人が並んでおり、なかなかの修羅場でした。

そして予想通りの・・・

 

圧圧圧圧、後ろからの圧ぅぅぅーっ!!

 

しかし異物は負けませんでした。

むしろ後ろに見せつけるかのように、優雅にしなやかにサーモンを切り分けるその姿は、人々に感動を与えました。

 

パエリア、グラタン、ゆっくりと切り分けたサーモン。

あえていきなり苺には手を出さない、大人の余裕を感じさせるオープニングです。

 

これはえっと・・・ちょっとずついろいろ取り過ぎてよくわかりません(笑)。

アボガドが異様に美味しかった記憶があります。

 

ホテルといえばのコーンスープに、

 

シェフ渾身のビーフシチュー。

 

生ハムに包まれて、ここで初めて苺が登場。

うーん、これはしかし、別々に食べたいです。

 

いただきまーす!

 

ホテルクオリティの美味しい食事で胃袋を刺激してからの、

イチゴ王国攻め!

これが大人のビュッフェスタイル。

しかし勢い余った異物は苺チーズケーキを取る時、

破壊してしまいました。

しかし味には影響ありません。細かいことは気にしないのも大人のスタイルです。

普段スーパーではなかなか手に取る勇気が出ない苺。

今日は苺のみならず、パティシエの技術と情熱が詰まった苺スイーツも食べ放題。

この非日常感こそ、庶民がいちごビュッフェに惹かれるところなんでしょう。

 

苺を堪能した後は、再び料理へ戻ります。

淡路牛のハンバーガーに、マルゲリータ、2回目のグラタン。

カレーライス。

「辛→甘→辛→甘」を繰り返すことで飽きを防ぎ、最上のコンディションを維持することが出来るのです。

緻密な計画的犯行。

これで言うと次は「甘」なのですが、先程テーブルへ帰って来る時、見て見ぬふりをしてしまう危険なエリアがありました。

ここに手を出すのはちょっとヤバいな・・・と思っていましたが、

我慢できませんでした。

大好きなパンを見ながら取らないというのは精神衛生上よろしくないので、取ってしまいました。

さすがにもう、これでお腹がパンパンになりました。

時計を見ると残り3分。完璧なタイムスケジュールでした。

 

あと3分か・・・。

 

ダーッシュ!!

 

題名「異物の断末魔」

最後の1分で食べたこの芸術的なプレートが、最高のエンディングを演出してくれました。

ごちそうさまでした!

 

ちょっと90分というのは短いですが、なかなかの試合運びだった、と自負出来る内容でした。

6000円代後半の高額なビュッフェなので普段は来れませんが、この時期に生まれて来てくれた妻に感謝しながら、リーガロイヤルを後にしました。

帰りはカロリー消費も兼ねて梅田まで歩きました。

 

「並んで取るビュッフェと椅子取りゲームはこの世から無くなって欲しい。」

 

いちご味のゲップをしながら、異物は強く思うのでした。

 

今日の1曲:Junior Mance Trio「Happy Time」