先日、相棒ポール・ウェダー氏と共に、久々のレコード発掘調査へ行ってきました。
調査先はいつもの「神戸・元町」。
この発掘調査には人並外れた体力が必要です。
横から見ればタイトルがよく見えるCDとは違い、レコードは一度持ち上げないと何のレコードなのかわかりません。
鍛え抜かれた強靭な指の力で次々とレコードを持ち上げていくこの作業は膨大なカロリーを消費する、と言われています(誰に?)。
その為、僕とウェダー氏は必ずエネルギー補給として、調査プログラムに「モーニング」または「ランチ」を組み込んでいます。
今回は「ランチ」を設定していました。
このランチの実施場所をいつも設定してくれるのが、「世界三大夫人」として名高い
「ウェダー夫人」。
今回も素敵なお店を設定してくれました。
そして意気揚々とお店へ向かったのですが・・・
「只今、満席となりました。」
ガボーン。
外観も凄く神戸らしい素敵なお店だったのですが、やはり人気らしく、ほぼ開店時間ぐらいには着いたのですが、それでも遅かったのです。
仕方なく、ドラフト2位のお店に行きました。
2軒目を用意してくれているところがさすがのウェダー夫人。
そのお店もテラス席が気持ちいい、素敵なお店でした。
しかし僕の脳裏から、1軒目に訪れたお店が消えることはありませんでした。
そのお店はお洒落な上に、
「パン食べ放題」
のお店だったのです。
翌週、
僕は再び神戸の地に立っていました。
リベンジ早っ!
う~ん似合わない。僕が関西で一番似合わないお洒落な港町・神戸。
以前、神戸で地元の人に道を聞いた時、すごく上品かつ丁寧に教えてくださった事に感動しました。
大阪で道を聞いたら大抵、
「ここをドーンと突き当りまで行ってな、左にバーっと行くやろ、ほんなら右手にボカーンと出てくるわ」
みたいな教え方をしてくるので、県民性の違いを肌で感じた瞬間でした。
品の良さと余裕を感じる街です。
今日は僕も余裕がありました。ちゃんと予約をしていたのです。ふふん。
お店は最近リニューアルされた「東遊園地」の近く。
三宮という大都会の中にも緑が溢れる神戸。やはり大阪とは違います。
この公園のすみっこに「ボウリング発祥の地」という凄いモニュメントがひっそりと存在しているのですが、上に子供たちが乗って遊んでいました。
そ、そんな扱いでいいのか!?桑田佳祐さんが見たら怒るぞ。
では、ゆっくりとお店へ。予約しているから。
ロビンソン
神戸旧居留地の大人気レストラン。
今日もたくさんの人が並んでいましたが、予約人間の余裕をちらつかせながら悠々とお店に近づきました。
いかにも神戸らしいお洒落な外観です。
先週、こんな所へよくおっさん2人で来たもんだと恐ろしくなりました。
満席で良かった、と思わずにはいられませんでした。
そして入店すると、
女子率98%。
ううっ。やっぱり。店内も女子好みなお洒落感で彩られていました。
では、注文します。
さあ怒涛のパン天国の幕開けだあっ!
ランチはいろいろなメニューがありますが、デザートやドリンクまでついた「おすすめランチコース」にしました。
さあ来いパン!
すぐに来ました。
パン食べ放題といっても、自分で取りに行くのではなく、席までカゴに入れたパンを持って来てくれるスタイルです。
これは助かるー!
取りに行くビュッフェスタイルは嫌いです。
後ろに並んでいる人からの圧に心が折れてしまいます。
特に今日のお店のような女子率が高い場合のビュッフェは地獄中の地獄です。
女性は何故、料理を取りに行く時、あれほどまでに眼光が鋭くなるのでしょうか?
恐~。
カゴにはたくさんのパンが詰め込んであり、店員さんが全てのパンの名前を言ってくださったのですが、種類が多過ぎて覚えられませんでした。
「とりあえず端っこの一列全部」
と言ったのが大失敗。ほとんどが甘いパンでした。
そこへ情熱あふれる色鮮やかな生ハムサラダが登場。
サラダを食べながらチョコのパンを食べるという、波乱の幕開けとなりました。
そのプログレッシブな展開を一気に普通に戻してくれたのが、このスープ。
チョコのパンとも仲良くなれる、恐るべき協調性。
すぐにおかわり。初回の反省を踏まえ、厳選しました。
しかしこのパンも一瞬で食べ終えました。早い!
メインが到着するまで、パンのおかわりが止まりません。
食べ放題のパンとは思えないハイクオリティです。
パンだけでお腹いっぱいになるのが懸念される中、やっとメインが登場。
これは、ツナとホウレン草と、あと何かの・・・生パスタ。
パンしか興味ないんかいっ!
名前も覚えていないメインのパスタ。美味しかった・・・はずです。
その後も、パンをおかわりし続けました。
そして遂にエンディングを飾るデザートへ!
チーズケーキとパンナコッタ
「別腹」というのは一体どういうメカニズムなんでしょうか。
デザートまで全てが美味しい、抜かりのない素晴らしいコースでした。
波乱のイントロから一転、感動のエンディング。
しかし大阪からやって来た空気を読まない刺客は、この後、驚くべき言葉を発しました。
「すいませーん。パンのおかわりお願いします。」
「え!?デザートの後にまだパン食べるの?」
と明らかに店員さんの顔には書いてありましたが、
「パンですね。少々お待ちください。」
プロだな、店員さん。
しかしこの待ち時間が、「少々」ではなかったのです。
厨房内が、もうパンはしばらく出ないだろう、と油断していたのか、なかなか出て来ません。
コーヒーがなくならないように気をつけながら、待ちに待ちました。
少年時代の愛読書「ロビンソン・クルーソー」では、無人島に漂着した主人公ロビンソンが、どんな苦難にあっても神を信じ、決して諦めない姿が描いてありました。
この時の僕も同じでした。
パンの神様が降りてくるのを信じ、コーヒーを飲み切らないように耐え忍び、待って待って待ちました。
しかしいくら待ってもパンはやって来ません。
我慢できなくなった浪花のロビンソン・クルーソー。
もう一度、店員さんにパンを要求しました。
すると、
遂にパンが出て来たのです!
「もう出て来ないのではないか、と諦めた時もありました。しかし私は、どうしてもあと少しだけパンが食べたかったのです。そしてパンの神様は、絶対に私を見捨てないと信じていました。その思いが遂に届いたのです。ああパンの神様、私をどうか、浪花のロビンソン・クルーソーとお呼び下さい!」
ごちそうさまでした!
美味しいパンをたくさん食べれて、今日は良い一日でした。
「もう来るなよ。」
笑顔で見送ってくれた店員さんの心の中が透けて見えた、旧居留地での1ページ。
今日の1曲:The Kinks「Tired Of Waiting For You」