がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

マジカル・モーニング・ツアー(後編)

(前回の続き)

 

無謀すぎる大阪から岐阜へのモーニング・ツアー。

1軒目から臨時休業という憂き目にあいながらも、2軒目での巨大な食パンと、更に大きな食パンをお土産にもらうという、異次元の岐阜モーニングに満足した考古学者ガッチー・ジョーンズとその相棒ポール・ウェダー卿。

 

まあまあお腹いっぱいの状態でしたが、早くも次のお店へと向かいました。

地図で見たところ、少し時間がかかりそうだと判断して、直ちに向かったのですが、これが大誤算。

 

すぐに着いてしまいました。

 

「地図では遠いように見えたんだが・・・。」

 

しかし正確には「お店の近くに着いた」だけでした。

 

「目的地付近に到着しました。案内を終了します。」

とナビに突き放されたジョーンズ一行。

周りを見渡しても、どこにもお店なんてありません。

ここからしばらく、住宅街をさまよう羽目になりました。

とても静かな住宅街。大阪ナンバーの車がウロウロしていると怪し過ぎます。

ウェダー卿が文明の利器「スマホ」を駆使して、お店の場所へと迫りました。

 

すると、岐阜の開いているお店の証し、「クルクル」が見えてきました。

これが元気よく回っているので開いているようです。

 

更に、もっとわかりやすい看板がありました。

「そ、そうか。じゃあ確実に開いているな。」

1軒目が臨時休業だったので、ジョーンズはかなり警戒していたのでした。

 

和風喫茶&ギャラリー 木楽

実に味のあるこちらのお店は、

和風モーニングのお店です。

 

しかしジョーンズは、モーニング大帝のブログで、このお店にまつわる恐るべき情報を目にしていました。

なんと、

 

「着席しても注文を聞きに来ないお店」

 

だというのです。

ジョーンズがこのお店を選んだのは、その都市伝説を確かめる為と、もう一つ、

「茶碗蒸し」が美味しそうだったのです。

 

2人は入店しました。

店内には観光客など寄せ付けない地元密着臭が強く充満していました。

窓際の明るい席に座りました。

さあ、注文を聞きに来ないというのは本当なのでしょうか?

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

聞きに来ません。

 

 

しばらくすると、驚愕の事態が発生しました。

 

いきなり料理が運ばれてきました。

 

ここでやっと、

 

「飲み物は何にしましょ?」

 

順番おかしくないか!??

 

ドリンクを注文すれば強制的にモーニングが付いてくるのは美濃の国の常識ですが、

こちらのお店は先に料理を突き出してから注文を聞くという、

強制レベルが更に一段上だったのです。

 

そしてこのモーニング、内容が素晴らしいものでした。

観光客が行くようなお店では絶対に味わえないであろう、地元のお母さんが作る家庭料理。

「美味しいよ、母さん!」

と叫びたくなる気持ちを必死に抑えたジョーンズでした。

 

しかしここで更なる事件が発生。

 

それはウェダー卿からの驚くべき告白でした。

 

「俺、茶碗蒸し苦手やねん。」

 

ガボーン!

 

茶碗蒸しといえば美濃モーニングにおける左のエース。

お店ごとの茶碗蒸しの個性を比較するのも楽しみの一つです。

モーニング・ツアーの土台を揺るがす大問題でしたが、

ジョーンズが2つ食べることで解決しました。

サーティワンアイスクリームで言うところの「ダブル」というやつです。

茶碗蒸しは具だくさんで、とても美味しい一品でした。

 

さりげなくおやつが添えられたホットコーヒー。

コーヒーが460円なので、料理も全て入れて460円です。

大都市ではありえないお値段です。

「ごちそうさまでした!」

 

「こんなお店が近所にあれば」

岐阜のモーニングへ行く度に感じるこの気持ちを、ジョーンズは今日も噛みしめていました。

帰り際、ジョーンズの車のナンバーを見たお母さんが外へ出てきて、「大阪から来たの~?」と話しかけてきました。

岐阜が好きでよく訪れるという話をしましたが、モーニングの為だけに来ているとはどうしても言えませんでした。

岐阜のモーニングには人情がある。

また一段と岐阜のことが好きになったジョーンズでした。

 

「じゃ、次へ行きましょうか。」

 

しかしもうお腹がスヌーピーになっていた2人。さすがに次のモーニングには行けません。

そこで、カロリー消費を兼ねて、レコード発掘調査をするべく名鉄岐阜駅の方へと向かいました。

 

1日停めても500円という駐車場を目ざとく見つけ、駅方面へと歩きました。

 

名鉄だ!!」

普段はマルーン色の阪急電車ばかり見ているジョーンズは、名鉄の鮮やか過ぎない、

味のある朱色に興奮を隠しきれませんでした。

 

さて今回、ウェダー卿が夫人からのある指令を受けていました。

「世界三大夫人」の一人として名高いウェダー夫人

岐阜の事など全く知らないはずなのに、その卓越したリサーチ力を駆使し、

 

「ここでわらび餅を買って来い。」

 

という指示をウェダー卿に出していたのです。

 

ツバメヤ 柳ヶ瀬本店

ここが素晴らしいお店でした。

主力商品のわらび餅「ツバメわらび」

砂場!?

と見まがうほどの凄まじいきな粉の量です。

「親方、わらび餅を掘り起こしました。」

「おう、お疲れさん。食べてええよ。」

ビターなきな粉が魅力の、大人のわらび餅。これは絶品です。

 

そして秋の岐阜といえば栗きんとん

「オカン、551の豚まん食べてええか?」

「あんたそれ、栗きんとんやで。」

栗そのものの味がする、これも絶品です。岐阜の栗きんとんはやっぱり凄い。

 

そしてジョーンズのテンションを爆上げしたのが、

大地のかりんとう

ジョーンズがずっと食べたかった山本佐太郎商店かりんとう

「まさかこのお店で出会えるとは・・・。」

石臼挽き小麦全粒粉、平飼い有精卵などを使用した逸品。

素朴なんだけど他では作れないであろう、激うまボンバーです。

やめられなさ、止まらなさで、かっぱえびせんを凌ぎます。

 

さすがのウェダー夫人セレクトのお店でした。

と、その時でした。

夫人からウェダー卿の元へ、更なるLINEが届きました。

 

「他にも美味しそうなものがあったら買って来て。」

 

「これは見なかったことにしよう。」

 

2人は本日のもう一つの目的である、レコード発掘調査へと向かいました。

 

バナナレコード 岐阜店

 

「さあ、カロリー消費だ。」

 

今回の調査も熾烈を極めました。

予想以上の大きな遺跡(レコード屋)だったので、詳細な調査には膨大な時間を要しました。

2人は考古学者としてのプライドを賭けて調査に挑みましたが、残念ながらレコードの発掘には至りませんでした。

でも世界遺産級のCDは何枚も発掘しました。

お店から出て来た2人の表情は、勝った試合の後の阪神ファンのように艶やかで、満足気な笑みで満ちていました。

 

「激しい発掘でお腹が減って来ましたね。次のモーニングへ向かいましょうか。」

 

この会話は正に岐阜ならでは。

最後に向かうのは、1日中モーニングをしているお店。

そして、ウェダー卿をどうしても連れて行きたかったお店でした。

 

ウェダー卿 = レコード。

 

レコード + モーニング = あのお店。

 

ということで、大垣市へと向かいました。

 

はみんぐばーど

ジョーンズは3回目の訪問になる、お気に入りの喫茶店

店内の壁には一面、レコードのジャケットがディスプレイされており、BGMにはひたすら’60年代~’70年代の洋楽が流れ、ジョーンズとウェダー卿にはドストライク。

スタッフさんの気持ちのいい接客も魅力の名店です。

1日中モーニングの他にも、ランチも美味しく、たくさんのお客さんで賑わっています。

 

「すいません。もうランチが売り切れていまして、モーニングならOKなのですが。」

 

という午後2時だとは思えない会話から最後のモーニングがスタートしました。

 

今日1日の疲れを吹き飛ばす、ウィンナ珈琲に、

小倉&シナモントースト、スープ、デザート

巨大なハムエッグ&サラダだー!

 

美濃の国、バンザーイ!!

 

これ何ご飯??

 

お昼ご飯なのか、早い晩ご飯なのか、3時のおやつなのか、いや、そのどれでもない、

それこそが「美濃モーニング」

 

モーニングの為に捧げた休日。

狂気の考古学者ブラザーズは、大満足のうちに大阪へと帰って行きました。

後日、ジョーンズは飛騨高山の「モーニング大帝」に、今回のモーニング・ツアーの成果を報告しました。

そして名店「花水木」へ行き逃した自分は未だに「モグリ」のままである、と告白しました。

すると大帝の口から、

 

「いや、貴方はモグリなどではない。

立派なリードオフマンですよ。」

 

という嬉しいお言葉をいただきました。

 

「そうか。そうだったのか・・・。フッフッフッ。ならば私はリードオフマンとして、

 

2回目のモーニング・ツアーに行かなくてはならない!!

 

彼の岐阜愛はもう、誰にも止められない。

 

今日の1曲:Queen「Don't Stop Me Now」