がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

「魔の山」登頂記念祝賀会

本日はお忙しい中、「魔の山」登頂記念祝賀会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。それではさっそく、見事登頂に成功されました、がっちさんにお話を伺いたいと思います。がっちさん、どうぞ。(パチパチパチ)

f:id:gatthi:20200620204629j:plain「えー、只今ご紹介に預かりました、がっちです。苦闘約2か月、ついに魔の山の登頂に成功しました。これもひとえに、大量のカフェインと数々の美味しいおやつのおかげです。皆様、本当にありがとうございました!」

何の話?

本です。「魔の山」という本を2か月がかりでやっと読み切りました!

4月初旬。緊急事態宣言が発令され、お出かけが出来なくなった時に、ある新聞の記事が目に留まりました。「この機会にまだ読んでいない世界の名作文学を読んでみよう」という趣旨の記事でした。そう言われると確かに、名前は知ってても読んだことのない本はいっぱいあります。僕もこの機会に、昔から気になっていた「魔の山」という本を読んでみることにしました。

魔の山

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ドイツの作家、トーマス・マン1924年に発表した、超大作です。「世界の名作文学」を紹介される時には、必ずといっていいほど名前があがりますよ。上・下巻あわせて1200ページ以上にもなる、やたら分厚い本です。しかも字が小さいので、もの凄い文字の量です。

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この分厚さゆえに、今まで読むのを避けてきましたが、ついに読む時がやって来ました。

2冊重ねると、阪急電車よりも背が高くなります。

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この本、どういうあらすじかと言いますと、

「主人公は平凡で純真無垢なドイツ人青年ハンス・カストルプ。彼にはヨーアヒムという従兄がいるのだが、今はスイス高原にある結核療養施設(サナトリウム)で療養生活を送っていた。そこでハンスは、就職前の旅行を兼ねて、従兄の見舞いへ行くことに。当初は3週間の滞在予定だったはずが、彼にも病状が現れ、そのまま長期間の療養生活を送るはめになってしまう。日常生活から隔離され、病気と死が支配するこの「魔の山」で、様々な特異な人々と出会い、交流を続けるうちに、ハンスは精神的な成長を遂げてゆく。」

とまあこんな話です。何となく読みたくなりませんか?

僕もずっと読みたいと思っていた本だったんです。ところが実際読み始めてみると・・・

難しい。

哲学的な話が多く、僕の脳みそレベルではついていけません。

最初は普通に読めていたのです。ハンスが人のいい従兄のヨーアヒムと再会を喜び、隣の部屋で暮らすことになります。この施設での暮らしというのが、豪華な食事とおやつをいただきながら、その間の時間に散歩に出かけたり、部屋のバルコニーでアルプスの絶景を眺めながら「横臥療法」という名の「昼寝」を繰り返すという、夢のような、だらけた生活です。患者同士でその日の体温を自慢しあったり、挙動不審な人物がいっぱいいたりと、独特の空気感です。そしてある日の朝食の後、散歩に出かけた二人の前に、この本を一気に難しい方向へ引きずり込んだ張本人が現れました。

イタリア人の論客、「セテムブリーニ」登場!

こやつの話が難しいんですよー!やたらと自分の哲学をハンスに押し付けようとします。しかも話が長い!絶対結婚できないタイプです。またハンスもよせばいいのに、質問しよるんですよ!それに対してまた長々と意味のわからないことを喋りだして、の繰り返し。しんどいねん!頼むからもう黙ってくれ~。理解しようとしても全然意味がわからず、ただただ目で文字を追っている状態になりました。これは苦痛です!頭のよい方々はこういうのも理解できるんでしょうかね。僕には無理です。

しかしここまで読んで途中でやめるのも悔しいので、必死に食らいついて読み続けました。そしてついにハンスの病気が発覚し、3週間で帰る予定がそのまま入院するはめになります。ここでまたカルチャーショックです。そもそも、3週間の旅行って長くないですか?日本なら、新婚旅行3回分ですよ。やはり欧米人は休みをしっかりと取るんですね~。

そしてこの後も、何度もセテムブリーニ(以後、ブリやん)が登場し、哲学を語りまくります。息も絶え絶えになりながら、更に読み続け、遂に上巻も残りわずかになった時、衝撃の展開が!

患者の中に、ハンスが恋心を寄せている女性がいました。名を「クラウディア」といいます。扉を通る時にガッシャンガッシャンと音をさせながらドアを閉めるという、ガサツな女子です。容姿の描写を読んでいても、魅力のある女性には思えないのですが、とにかくハンスにはドストライクだったようです。なかなかクラウディアに話しかけれないでいたハンスですが、カーニバルの夜、遂に接近することに成功!さぞ、一途で純粋な告白をするかと思いきや・・・なんとクラウディアに対し、「君のレントゲン写真が欲しい」とマニアックな要求をし始めたではありませんか!

あ、あれ!?純粋無垢・・・じゃなかったっけ?もしかして彼・・・

変態!?

まさかの主人公への変態疑惑が浮上したところで、上巻が幕を閉じました。とりあえず、584ページ読破!しかしまだまだ頂上へは半分以上あります。

 

少し休憩しましょう。

「カントリーマアム」という有名なお菓子がありますが、やたらと期間限定の味を連発することでも有名です。限定といいながらしばらく売ってるだろう、と油断してるとあっという間に売り場から姿を消してしまうので、気になる味が出れば、迷わずに買うようにしています。ほんまに限定やん!ちょっと前に出ていた信州りんごは絶品でした。そして最近、また気になる味が出て来ました!

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酪農ミルク味。この包装からも、名作の予感が。そして「冷やしてもおいしい♪」というキャッチフレーズ。即買いです。食べてみると、予想を上回る生地の牛乳感と、ホワイトのチョコチップの相性が絶妙で、大当たりでした。しかしまた、忽然と姿を消すんでしょうね。今のうちに毎週買おっと。

いつものお菓子にこれを加えたラインアップで、「魔の山」登頂を目指します。

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もちろん大量のカフェインも必須です。飲まないと読んでられません。

それでは、再び登りましょう!

 

下巻ではブリやんがあまり出て来ないことを期待しつつ、読んでいきます。

下巻が始まってすぐに、上巻のラストでハンスが行った変態的要求が達成されたことが、さらりと紹介されていました。いや、もうちょっと掘り下げてよ、そこは。主人公の信用問題にかかわります。皆さん、彼の胸ポケットに女性のレントゲン写真が入ってますよー。彼に近寄らない方がいいですよー。変態ですよー。

さて、下巻46ページ目、非常に気になる見出しが。第六章「さらに一人」。うっ、い、嫌な予感・・・。誰に対してのさらに一人?

勿論、「ブリやん」です。

彼の友人にして、論敵、「ナフタ」登場!ひえ~!

施設を出て外に住むようになったブリやんと同じ家で間借りをしている男なのですが、ブリやんと哲学のことで全く意見が合わず、恐ろしいことに、2人で激しく討論を始めました!2人共、何を言ってるのか全くわかりません。意味がわからないので、どう意見が対立しているのかもわかりません。延々と意味不明のバトルが続きます。うーん。さすがにもう無理や。

貴様ら2人、この本から出ていけーっっ!!

しかし出ていくはずもなく、謎の言い合いはまだまだ続くのでした。

「頂上に登った者にしか、見れない景色がある」

誰かが言っていたその言葉を信じて必死に読みました。

すると、やはり我慢をするとその後にいいことがあるものです。感動的なエピソードが待っていました。

従兄のヨーアヒムが、施設での堕落した生活に我慢ができなくなり、医者の制止を振り切って外の世界へ飛び出し、念願だった軍隊に入るのですが、やっぱり無理が祟り、体調を崩して再び施設へ戻って来ました。そこから日に日に弱っていき、遂に命を落とすことになるのですが、その過程がすごく感動的に描かれていました。ただの難しい本ではない所が名作たる所以でしょうか。この話には本当に感動しました。

そして更に、下巻も半分を越え、話がエンディングに向かって動き出そうかというタイミングで、まさかの新キャラが現れました。

1度施設を離れていたクラウディアが連れて帰ってきた男(ハンス落ち込みまくり)、オランダ人番長、「ペーペルコルン」登場!(以後、ペー番長)

彼は、難しいことや細かいことを一切言わないどころか、言葉が途切れ途切れでうまくしゃべることができません。ところが、大きな身振り手振りで、周りの人の心をつかみ、一発で黙らせてしまういわゆる「大人物」なんです。

一度、彼の前でブリやんとナフタがいつものように論戦を始めました。しかし、ペー番長の短い言葉で一蹴されました。

やーいやーい!ざまあみろ!

その後も何度も論戦を再開しようとするのですが、番長が気になって全然火花が散りません。まあ、君たちの議論なんてその程度の中身なんです。結局作者が言いたかったのは、「人生、理屈じゃないよ。」ということではないでしょうか?(たぶん違います。)

その後、ぺー番長は何故か自殺します。えっ!?何この展開!もう何が何だかわかりません。

そして物語は怒涛のエンディングへ!

ラスト数十ページは、今までしんどかったのがウソだったかのように、引き込まれて一気に読めました。

番長亡き後、またあの論戦が再開するのでは?と懸念していたらやっぱり始まりました。しかし今回はいつもと様子が違いました。感情がいくとこまでいってしまい、何とブリやんとナフタがピストルで決闘する事態に!これが予想だにしなかった結末を迎えるのですが、それはこれから読もうとしているレアな人の為に伏せておきましょう(おおっ!浜村淳なみの寸止め!)。

その衝撃の決闘の少し後、天地がとどろきわたった!

 突然、世界中を揺るがす大事件が勃発!施設からは次々と人々が逃げまどい、施設は崩壊。ハンスも強制的に外の世界に放り出されます。どういう事件かは秘密💛です。7年の眠りから目覚めたハンス・カストルプ。「魔の山」で精神的成長を遂げた彼が、舞い戻った外の世界で一体どうなったのか!?

それは登頂した者のみが見ることのできる景色です。

やったぞ!遂に登頂成功!!疲れた~。

 

それでは皆様、コーヒーカップをお持ちください。乾杯~!

祝賀会のメインに、スーパーバロー様より、こちらのプレミアムなアイスクリームをご提供いただきました(買いました)。

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泣く子も笑うハーゲンダッツ、クリスピーサンド「ザ・キャラメル」。
普段はなかなか買えません。いつも羨望のまなざしで見つめながら、ちらっと横を見ると同じ値段で買える5、6本入りの箱アイスが売っているので、そちらを買ってしまいます。特別な日のご褒美ですね。登頂の後のハーゲンダッツ、最高でした!ごちそうさまでした。

 さて、この「魔の山」、読んでよかったか?と聞かれると、「よかった!」と言えます。やはり時代を超えて生き残る物には何とも言えない「魔力」が宿っていました。

しかし、この本を人に勧められるか?と聞かれると、おすすめはできません!

よっぽど時間の有り余っているドMな方は是非、チャレンジしてみて下さい!

みなさん、本を選ぶときは自分の脳みそに合ったものを選びましょうね。

 

今日の1曲:King Crimson「21st Century Schizoid Man」