幼き頃、スーパーへの買い物についていくのが楽しみの一つでした。
お菓子を買ってもらうのが目的ではありません。
まあ、お菓子も買ってもらいましたが、それは本来の目的のオプションに過ぎませんでした。
真の狙いは別にあったのです。
今の時代では考えられない話ですが、レジを担当されているご婦人が本を下さったのです。恐らく息子さんが読まなくなった本だったのだろうと思いますが、レジの横に古本が用意してあり、僕の顔を見ると精算後に必ずその本を下さいました。
その時まだ小学校にも行っていなかったので文字は読めませんでしたが、それを読む為に親に懇願して兄が持っていた「五十音表」を自分用に作ってもらい、勉強して読めるようになりました。この勉学への意欲があと15年続いていたなら・・・こんなアホなブログは書いていなかったでしょう。
この本が非常にセンスがいいというのか、今思い返すと子供の心を鷲づかみにするようなものばかりでした。
「海底二万里」や「ハックルベリー・フィンの冒険」、「宝島」といった冒険もの、「ベーブ・ルース」や「リンカーン」などの伝記、「透明人間」や「ジキル博士とハイド氏」などのサスペンスものといった多岐にわたるジャンルの文学作品がずらりと並んでいました。
僕はもう夢中になり、特に「海底二万里」は何回読むねん!と自分で呆れるぐらい繰り返し読んでいました。読み過ぎて当時の僕の魂は常に海底の世界をさまよっていました。
そしてスーパーへ行く度に増えていくこの文学コレクションの中に、1冊だけ漫画がありました。
日本が世界に誇る偉大なる漫画家、手塚治虫さんの作品です。
手塚さんといえば「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」、「ブラック・ジャック」などが何といっても有名ですが、僕はアトムよりもマグマ大使を先に知ってしまったので、これこそが手塚治虫さんのイメージなのです。やはり僕の人生はどこか歪んでいます。
この作品は、地球の創造主アースが造ったロケット人間マグマ大使と、地球侵略をたくらむ宇宙人ゴアとの戦いを描いたSF活劇です。そんな話、子供が嫌いなわけがありません。僕もどっぷりとその世界に夢中になり・・・と言いたいところですが、いただいた「マグマ大使」には根本的な問題が存在しました。
全3巻のうち、2巻しかなかったのです。
ついこないだも似たようなことがありました。
年末のブログで書きましたが、ネットで注文した「鬼滅の刃」が2巻だけ来なかった件です。僕はこの時、マグマ大使の記憶が強烈にフラッシュバックしていたのです。しかし鬼滅の刃は1巻が読めただけ、まだましでした。マグマ大使は話の途中である2巻から読まざるをえなかったので、意味がわからなかったのです。
その後、「次は1巻がもらえるかな」と期待に胸をふくらませて何度もスーパーについていきましたが、ついに1巻と3巻はいただけませんでした。僕はあの時、レジの前で勇気を出してこう言うべきだったのでしょうか?
「おばちゃん、1巻と3巻は?」
・・・言えるかあっ!!
そんなことを言えばご婦人の親切なご厚意に泥を塗ってしまうことを、子供心によくわかっていました。
それに話の意味がわからなくても、絵を見ているだけで十分に楽しめたのです。そこが手塚先生の凄いところです。
これも何回も読みました。読む度に、この前はどんな話だったんだろう?この後はどうなるんだろう?と気にせずにはいられませんでしたが、それでも何回も読ませてしまう力がこの漫画にはありました。
その後、精神年齢があまり成長しなかったこともあり、「いつかマグマ大使を全部読んでみたい」という気持ちを忘れることはありませんでした。
そして40代を目前に控えた頃、遂に「手塚治虫文庫全集」の1冊として出ていたマグマ大使を手に入れることができました。それが先程の写真のものです。ありがたいことに、3巻分が1冊に収められていました。
読んでみて驚いたのが、当時の記憶がよみがえってきたばかりか、当時よりも楽しんで読めたこと。
子供の時に面白いと思っていたものを大人になってから見ると、「あれ?」となることが多いです。
最初から読めたというのもあるでしょうが、めちゃめちゃ楽しんで読めました。
むしろ大人になってから読んだ方が話がよく理解できてよかったような気がします。
決して僕の精神年齢が低すぎるからではありません・・・たぶん。
他の作品も恐らく、大人になってから読んだ方が面白いと思いますよ。なんか色々と読みたくなってきました。
その偉大なる手塚治虫先生が少年時代を過ごした兵庫県の「宝塚」に、美味しいパン屋さんがあると聞きました。
え?今までのくだり、パン屋さんへ行くまでの前振り?長っ!
まあまあそう言わずに、一緒にパンを食べに行きましょう!
とは言え、正月は籠城生活をしていたので、これは昨年の秋に行った時の話になるのですが、そのパン屋さんは高速道路の途中にあるらしいのです。
さっそく白影号をぶっ飛ばし、新名神高速道路の宝塚北サービスエリアに向かいました。
なかなか通る機会がありませんでしたが、やっと通れました。まさかパン屋さんへ行く為に通ることになるとは思わなかったですけどね。
この宝塚北サービスエリア の中が目的地です。こちらのサービスエリアは、上・下どちらの道から入っても同じ建物に入ることができます。また、一般道から入るのも可能なので、サービスエリアというよりは商業施設という色合いが強いです。周りに山の風景が広がる広々とした駐車場が気持ちいいです。
宝塚といえば「宝塚歌劇団」。
このサービスエリアはその宝塚の歌劇場をイメージして造られているそうです。最近のサービスエリアは個性的なものが増えてきていますが、ここまでお洒落な建物の所は見たことがありません。さすが宝塚。
案内板を見ているだけで楽しいです。
「ベルばらどら焼き」、「ベルばら炭酸せんべい」という名前が目を引きます。 やはりベルばら推しで攻めてきたな。さすが宝塚。
中へ入ると、ロボットの「ペッパーくん」が出迎えてくれました。いや、でも何か雰囲気が違うぞ。何だこの違和感・・・・・。
むむっ。く、口紅をつけている!
失礼いたしました。「ペッパーさん」でした。カメラを向けると、少しはにかんだような表情を浮かべながら、上目づかいでカメラ目線を向けてきました。
これまたさすがの宝塚。ロボットまで訓練されている。お召し物もエレガントです。
斜め後ろに視線を感じたので振り返ると、
懐かしい!手塚先生の「リボンの騎士」、主役の サファイア殿です。
これはかなり小さい頃にTⅤアニメで見ていましたが、女の子が男装をしているというジェンダーフリーな展開にかなり戸惑った記憶があります。
ではそろそろパン屋さんへ。
森のパン
サービスエリア内でひときわ人が集まっていました。
かなりの種類の美味しそうなパンがずらりと並んでいます。
いつも通りに本能の赴くままにトレイにのせ、いつも通りに「ほんまに全部食べれるのか?」と言いたげな店員さんの表情を観察しながら買いました。ここはサービスエリアなので、イートインスペースはたくさんあります。
イスも宝塚っぽいぞ。
では、いただきます!
チーズフランク
必ず1つは買ってしまうフランクフルト系。
しかしこの横幅の存在感。いつも食べているものとは圧が違います。「正月休みで太ったお父さんのお腹」のような趣きがあります。食べ応えもパンチがあります。食べた僕もこんなお腹になりそうです。
明太クロワッサン
この系統もよく買っちゃいます。明太子が大量に絡みついています。明太子とパリッとしたクロワッサンの相性は抜群ですね。モスラの幼虫のようなビジュアルも素敵です。
但馬牛のカレーパン
見た目は普通の揚げたカレーパン。しかし使われているお肉が、但馬牛!日本人の急所、「ブランド牛攻撃」です。飛騨牛、松阪牛などブランド牛の名前を目にするだけで日本人の購買意欲は約30倍になります(GATTHI調べ)。お肉だけでなく、カレーのクオリティも高くて満足しました。
メープルフランス
メープルシロップが染み込みまくった逸品。無類のメープル好きである僕にはたまらないパンでした。もし僕がカナダへ留学すれば、全身から芳醇なメープルの匂いを放ちながら帰国するであろう。食べながらそんなことを想像していました。
今日も美味しいパンをいただきました。ごちそうさまでした!
手みやげ人気No.1食パンと言われて無視するわけにはいきません。定価は720円と高いですが、早朝特別価格500円で売られていたので買って帰りました。
なんだか食パンとは思えないお洒落な箱に入っています。さすが宝塚。
これもふわっふわでとても美味しかったですよ。でもちょっとこちらのお店、全体的にお値段は高めでした。
食後はおみやげコーナーを散策。
手塚治虫グッズと宝塚歌劇グッズがてんこ盛りです。うろうろしてるだけで楽しいです。
日本人って何でもすぐにカレーにしますよね。
ブラック・ジャックのトイレットペーパーがありました。衝撃です。
中身はこうなっているのか。ジャック先生の名ゼリフがプリントしてあります。しかし・・・
こんなありがたい物でお尻を拭くわけにはいきません。
でもこれで拭くと痔とかはすぐに治りそうですね。
帰りは鉄腕アトムが見送ってくれました。
青のりの容器に激突したのでしょうか?心配です。
宝塚は遠いというイメージがありましたが、新名神高速道路を使えばすぐ着きました。気持ちのいいドライブと、美味しいパンと、手塚先生グッズに囲まれて有意義な時間が過ごせました。
ちなみに今日のお店の情報は、前にパリーネさんの情報をいただいたMさんに教えていただきました。いつも良いお店の情報をありがとうございます!今年も引き続きよろしくお願い致します。
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僕の好きな四文字熟語。「他力本願」です。
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あのまま勉強を続けていれば・・・こんな人間にはならずに済んだのに・・・。
今日の1曲:TVアニメ「リボンの騎士」より前川陽子、ヤング・フレッシュ「リボンのマーチ」