またまた岐阜県・飛騨地方へ行って来ました。
最近ではお土産を渡す度に「また行ったんか」と失笑されるようになりました。
笑いたければ笑うがいい。
命ある限り、これからも行き続けてやる!(勝手に行けー)
さて、今回の旅行は2泊3日。
その真ん中の日、つまりメインとなるイベントに選んだのは、以前から行きたくて行きたくて仕方がなかった所です。
「秘境 五色ヶ原の森」
どこやねん、それ!
という心地よい皆様の声が聞こえてきましたよ。
かの乗鞍岳の麓に広がる、広大な森林地帯。
そしてここは、
「ガイドさん同伴でないと入れない森」
なのです。
豊かな自然を守るために、厳しく入山規制がされており、そのために手つかずの美しい森林が守られているのです。
1日にわずかな人間しか入れない。
これも秘境たる所以でしょう。
しかしこの秘境感とは裏腹に、入山口が国道158号線沿いにあるので、奥飛騨へ向かう度に前を通りながらずっと気になっていたのです。
そしてやっぱり、なかなか思い切れなかったのが、ガイドさんなしでは入れない山だということ。
登山経験の少ない素人にはちょっとハードルが高いかな・・・と思っていました。
その背中をグッと押してくれたのが、毎度おなじみ大使さんのブログ。
そのあまりの楽しそうな文章と写真を見て、遂に行く決心がつきました。
でも気になったのは「靴」。
秘境へ入るのに運動靴では駄目だろう、ということで、「登山靴」を買いました。
近所の山で登山靴で歩く練習までして、準備万端。
いざ、五色ヶ原の森の一番短いコースへ!
五色ヶ原の森には3つのロングコースと3つのショートコースがあります。
ロングコースは丸1日(約8時間)かけて歩き回るというハードなコース。
ショートコースは半日で美味しい所だけをつまみ食いしようという、僕のような人間の為のコース。
今回僕が行くのは、ショートコースの中でも一番短く、かつ最も美味しい所だけをサッと観て帰るという驚異のナマケモノコース、
「雌池布引滝コース」!
ま、まあ入門編ということで勘弁して下さい。
五色ヶ原 入山口
今まで通り過ぎるだけだったこの地へ、遂に足を踏み入れる時がやって来たのだ!
一番短いコースだけど。
広大な駐車場が建物の裏にあります。
車の中で登山者スタイルに変身しました。
見た目だけは本格的です。
周りには心癒されるのどかな風景。
普段ここには飛騨牛がうろうろしているらしいのですが、この日は暑すぎたのか、姿が見えませんでした。夕食でお会いしましょう。
案内センターで受付をします。
五色ヶ原の森は当日の飛び込みは受け付けていません(たぶん)。
必ず事前の予約が必要になります。
地図を見て、今日登るコースの短さを確認しておきます。
うん、確かに短いぞ。いいぞいいぞ。
気持ちが前に出過ぎて、集合時間より30分も早く着いてしまいましたが、予定よりも早く出発していただけることになりました。
本日のガイドさんは「水田さん」。
なんか絶妙に味のある気さくな方です。こりゃ楽しみだ!
そして水田さんの口から嬉し過ぎる情報が。なんと本日、
水田さんのグループはがっち夫婦のみ!
僕ら2人だけの為にガイドさんが付いてくれるという、贅沢過ぎる展開になりました。
もともと少人数のグループでしか入山しない五色ヶ原の森ツアーですが、2人だけというのは極めて珍しいのだそうです。
それでは、外界の微生物などを森へ持ち込まないように靴の裏を洗ってから、
いざ入山!!
車で。
憧れの飛騨ナンバー。
スタート地点までは車でガンガン林道を突き進んでくれます。
この林道からして既に凄い景色です。尋常ではない山の深さを感じます。
30分ほど車で揺られ、スタート地点の「出合い小屋」に到着しました。
ここでトイレを済ませてからスタートするのですが、このトイレが感動的です。
めちゃめちゃ綺麗やんけ!!
山の中のトイレというと、汚くて、巨大な虫が壁に張り付いているようなイメージでしたが、とんでもなく綺麗です。
しかも温水ウォシュレット付き。
しかしこんな所まで電気が通っているはずもなく、なんと自前の水力発電機で電気を賄っているのだそうです。
そして汚物はバイオマス浄化槽で処理するので、一切外部には放出されないそうです。
周りの自然には全く影響を与えずに、綺麗なトイレを設置する。
素晴らしい!これなら女性でも安心ですね。
そういえば案内センターのトイレも超綺麗でした。
スタッフさんたちの心遣いがこういう所からもひしひしと伝わってきます。
スタッフさんたちの感じの良さといい、スタート前から既に心を鷲づかみにされてしまいました。
それでは秘境に潜入します!
ワクワク、ドキドキ。
いつどこから熊が現れてもおかしくないワイルドな森ですが、歩きやすいように登山道やロープがちゃんと手作りで整備されており、ここにもスタッフさんの心意気を感じました。
とは言え、やはり運動靴では厳しいですね。登山靴が必須です。
不思議な形をしたキノコや、
この植物、地下では繋がっていて一つの植物らしいのですが、葉の枚数によって役割が決まっており、実をつけることを許されているのは葉が6枚のエリートだけだそうです。
植物界も人間界と同じ格差社会なんですね。
江川卓の耳!?(古っ!)
または真ん中が抜けた源氏パイか?
いやいや、これは木の根っこなのです。
倒木の上に木が生まれ、倒木に巻き付くように根を張り、その倒木が先に朽ち果ててなくなってしまったので、こんな不思議な空洞が出来たそうです。
恐るべき木の生命力。
更に驚いたのは、この森林が溶岩台地の上に出来ているということ。
その為、地面の下は空洞だらけだそうで、場所によっては地面を踏む時に、
「ぽよん」「ぱふっ」といった具合に、地面が波打つような感覚を味わえます。
そしてそんな溶岩台地の空洞を、肌で感じる場所がありました。
そこかしこに開いている穴から、ヒンヤリとした冷気が出ていました。
この日はとても暑い日で、標高1300mを超えるこの辺りでも十分暑かったのですが、穴の横でしゃがんでみると、もう涼しいというのを通り越して、寒さすら感じました。
ガリガリ君を凌ぐ冷却能力です。正に天然のクーラー。
しかし溶岩台地の上でも立派に生きていけるなんて、木の生命力というか、押しの強さは凄まじいものがあります。
人間で対抗出来るのは大阪のおばちゃんぐらいでしょうか。
さて、楽しく水田さんのガイドに耳を傾けているうちに、このコースの2大見所の1つ目に到着しました。
「雌池」です。
雌池
思わずうおおーっ!という声が漏れました。
なんという幻想的な風景でしょう。
SF映画の中にいるようです。
むむっ!あれは!?
隊長、UFOです!
いえ、これは苔むした岩が水面に映り込んでいるのです。
綺麗な水、晴れた天気、風がない日、その条件が全て揃った時に見ることが出来る特別な風景。
あまりの不思議さに、目がクギ付けです。
不思議といえば、この雌池は、春から初夏にかけては、全く水がないそうです。
ところが夏の途中から急に水が湧き始め、秋にかけて満水になるのだそうです。
大自然の気まぐれ。
人間はそれを見てほほーっと言うしかありません。
ずっと観ていたかったのですが、次に進みます。
2つ目の見所は、このコースのハイライト。
「布引滝」です。
なのですが、僕らが集合時間よりも早く来たことで時間に余裕があったため、通常このコースでは行かない滝に案内してくださいました。
これが凄い滝だったのです。
ズドドドドドドドーッ!!
という轟音と共に、滝が見えてきました。
な、なんかエグイ水量だぞ。
足元を見ると、凄まじい流れです。
激流にも程があります。
水田さんが怖そうな吊り橋をガンガン渡っていくので、後を追いかけたのですが、
マジで怖いです。足を滑らせたら即死です。
横手滝
この滝の名前の由来には、悲しいエピソードがあります。
すぐそばにある、主役である「布引滝」の「横手」にあるから「横手滝」と呼ばれているのだそうです。
なるほど。何故これほどまでの激流なのか、謎が解けました。
誰が横手じゃああああっ!!
と、この滝はブチ切れていたのです。
まあまあ、そんな怒らずに。他の森にいたら君が4番バッターだ。
実際、見応えがあり過ぎるぐらいの、立派な滝でした。
こんな凄い滝を脇へ追いやる「布引滝」とは一体どれほどの滝なんでしょうか!?
期待が自ずと高まります。
では遂に、主役の下へ!!
布引滝へは、上から滝壺に向ってどんどん降りていくのですが、
上の時点で既に、チラリと凄いものが見えてきました。
な、何だあの美しい縞模様は!?
そして下へ降りて行くにつれて、その恐るべき威容の全貌が明らかになってきました。
うおおおおお
うおおおおお
うおおおおお
あいうえおぉーっ!!(もう訳わからん)
こんな滝見たことない!!
布引滝
溶岩台地から湧き出た伏流水が、岸壁で一気に流れ落ち、岩と岩の間をひたすら美しく彩っています。
こんな凄い滝が「日本の滝100選」にも選ばれていないなんて、そんなアホな。
滝壺周辺はめちゃめちゃ涼しくて、さっきまで暑かったのを忘れてしまいます。
天然の涼しさはやっぱりいいですね~!最高の避暑地です。
名前は忘れましたが、布引滝の左側にある滝も、横手滝に負けないぐらいの凄まじい勢いで流れ落ちていました。
何時間でも観ていられる風景でしたが、ツアーの時間は限られています。
後ろ髪をグイグイと引っ張られながら、布引滝を後にし、出合い小屋まで帰り、ツアーは終了しました。
しかしまあ、興奮していっぱい滝の写真を載せてしまいましたが、やっぱり僕の写真では全く凄さが伝わりませんね。
是非、皆さまにも、五色ヶ原の森へ行って、実際にこの凄さを体感していただきたいです。
ただ山を歩いているだけでは絶対にわからない、ガイドさんによる楽しい説明を聞きながらの極上山歩き。
楽しみながら知識が増え、気持ちよく歩きながら、絶景を目の当たりにする。
今回僕たちが行ったコースのガイド料金は一人6000円。
これをどう見るか。
僕は安い!と思いました。
この素晴らしい体験がUSJよりも遥かに安い料金で味わえるなんて!
また他のコースも行こっと!
出合い小屋から案内センターまでの車内でも、興奮が冷めやりませんでした。
夢のような時間を、より楽しくしてくださったガイドの水田さんにお礼を言って、五色ヶ原の森を後にしました。
「さあ、次は飛騨桃食べに行こ。」
切り替え早っっ!!
早くも食べ物へ興味が移っていたがっち夫婦でした。
(つづく)
今日の1曲:Jethro Tull「大いなる森」