がっちの航海日誌

日々の些細な出来事を、無理やり掘り下げます。

ah-面白かったヨ、拓郎さん!

自分は生まれてくる時代を間違えた。

 

昔から、よくそう思うことがありました。

 

デジタルというものがどうしても苦手で、CDよりもアナログレコードが好き、時計もデジタル時計だと今何時なのかがすぐに読み取れず、パソコンなんて意味不明。

今、このブログもギリギリ書けているものの、細かい機能などは全く使いこなせておらず、知らない言葉だらけで訳がわかりません。

この思いが更に強くなったのが、スマホなるものがこの世に現れてからです。

昨年、遂にスマホを手にしましたが、こんな物、ない時代の方が良かった、と未だに思っています。

僕の最も嫌いな有名人は、ぶっちぎりでスティーブ・ジョブズです。

 

「時代についていけない不安な気持ち」

 

それは子供の頃に、既に感じていました。

特にそれを顕著に感じたのが、好きな映画や音楽。

同級生と最新の映画を一緒に観に行ったりはしていましたが、本当に好きだったのはもっと昔の映画。

1950年代のハリウッド映画や、黒澤明監督の映画が大好きでした。

中でも西部劇がお気に入りで、同級生が機動戦士ガンダムビームライフルに夢中になる中、僕はジョン・ウェインの拳銃さばきに夢中になっていました。

 

暗黒少年がっち、誕生の瞬間です。

ブラックホール誕生みたいに言うなよ。

 

そして音楽。

僕の青春時代は、1980年代~1990年代なのですが、何故か好きになる音楽は1960年代~1970年代のものばかり。

学校では適当に友達と話を合わせていたのですが、家に帰ると自分の部屋に籠り、密教徒のようにビートルズレッド・ツェッペリンなどの旧い洋楽を隠れて聴きまくっていました。

そんな中、邦楽でハマっていたのが、

 

吉田拓郎

 

特によしだたくろうとひらがな表記だったデビューから数年の頃の拓郎さんに、どっぷりとハマっていました。

もちろん全然世代ではありません。

 

拓郎さんのメジャーデビューは1970年。僕が生まれる3年前です。

「広島フォーク村」という音楽集団から頭角を現し、瞬く間に時代の寵児となった、言わずと知れた日本を代表するアーティスト。

「結婚しようよ」「旅の宿」「夏休み」などの名曲は、日本人なら必ずどこかで耳にしたことがあるはずです。

どこか哀愁のある美しいメロディーライン、人間味に溢れた歌詞、一聴しただけで拓郎さんだとわかる独特の歌声など、好きなポイントは挙げればキリがないですが、とにかく大好きで、しばらく聴かないでいると、禁断症状が起きていました。

 

先日、会社に広島県出身の新人が入社してきたのですが、「広島出身か!吉田拓郎と一緒やな!」と言うと彼の顔に明らかな戸惑いの色が確認できました。

広島出身ということで吉田拓郎のことを言われたのは初めてだったようです。

そんなマニアックな上司がいることが嫌だったのか、彼はわずか1カ月半で退社しました。

 

それ俺のせい!?

 

他に理由があった・・・と思いたい。

 

その吉田拓郎さんが、先日、ニューアルバムを発表しました。

ah-面白かった」

御年76歳。2022年、吉田拓郎のニューアルバム。

しかもこのアルバムを最後に音楽業界から引退するという決意を持っての、

「ラストアルバム」です。

このアルバムタイトル。

最初に見た時、僕はドキッとしました。

この言葉は、常日頃から僕が「死ぬ直前に言いたいセリフ」として思っていた言葉だったからです。

人生、楽しいことばかりではありません。

むしろ嫌なこと、辛い時の方が多いでしょう。

でも亡くなる寸前に今までの人生を思い返し、

 

「あ~面白かった」

 

という言葉が自然に出て来たとすれば、もうその人生は間違いなくいい人生だったはずです。

 

「色々あったけれど、トータルで見れば面白い、良い人生だったなあ」

 

と思いながら死んでいきたい、といつも考えていたのです。

最後のアルバムで拓郎さんがこの言葉をタイトルにしたというのは、今までの活動を振り返り、良い人生だった、と満足しながらご自分で納得し、前向きに締めの作品を作れたということなんじゃないでしょうか。

ジャケットの写真も、一見すると少し寂しそうな表情にも見えますが、僕にはすべてを出し切ってホッとしているように見えます。

 

聴いてみました。

 

めっちゃ良かったです。

 

1曲目から「たくろう節」が全開。

歌詞がメロディーの上を流れて行くかのような、唯一無二の音世界。

最後だ、という気負いは全くなく、非常にリラックスしたムードが全編を貫いています。

聴いていて本当に気持ちいい、休日の朝に聴きたくなるようなアルバムです。

盟友・小田和正Kinki Kidsがさりげなくサポートしているのも微笑ましいです。

全9曲、”今”の吉田拓郎が全てを注ぎ込んだ力作。

聴きまくり対象の名作がまた1枚、加わりました。

 

でも、やっぱり僕はこれが好き💛

「人間なんて」

1971年発表のセカンドアルバム。

若いな~拓郎さん。ちょっとだけ、あいみょんに似てる。

もう半世紀以上前の作品ですが、全く色褪せることのない名盤です。

「結婚しようよ」が入っていることで有名ですが、その他のあまり知られていない曲も、いい曲がいっぱい入っています。

好き過ぎて、LPとCD両方持っています。

マトリョーシカか。

でもそれだけではありません。

 

幽体離脱~ ♫

LPを聴きすぎて擦り減って来たので、もう1枚買いました。

でも2枚目も心配になって来たので、只今3枚目を知り合いの考古学者に捜索依頼中です。

CD聴けば?

と言う方は多いでしょうが、このアルバムは、A面、B面と分けて聴くことでよりその良さがわかるのです。音もレコードの方が良いです。

特にB面1曲目、

「どうしてこんなに悲しいんだろう」

は隠れた超名曲。拓郎さん自身もこの曲がお気に入りだったようで、その後何度もセルフカバーをしています。

でもやっぱりこのアルバムに入っているバージョンが一番です。

数年前、うつ病になりかけていた時、すがるようにこの曲を聴きました。

すると・・・

 

症状が悪化しました。

 

こ、こういう時って普通「この曲で救われた」とか言うんじゃないの??

しかし残念ながら、性格が歪曲しているので、救われませんでした。

どんどん自分が落ち込んでいく危険を感じ、レコードを違うものに替えました。

 

ドドドドドドドドドド

 

結局うつ病の防止に最も効果的だったのは、ヘヴィメタルでした。

よしだたくろうの後にヘヴィメタルを聴く。

その男、精神分裂症の疑いあり。

何の話やねん。

 

今はもう、精神的に安定しているので普通に大好きなアルバムとして愛聴しています。

その他多くの名盤たち、そして今回のニューアルバムと共に、これからもずっと、聴き続けることでしょう。

 

拓郎さん、長きにわたる音楽活動、お疲れ様でした!

最後に素敵な作品をありがとうございました。

 

さあ、僕もいい人生になるように、頑張って生きるぞ!

最後に「あ~面白かった」と言えるように。

 

今日の1曲:吉田拓郎「ah-面白かった」