動物園や水族館が大好きです。
日常生活では絶対に出会うことのない、珍しい動物や魚たちと会えることができ、世界の広さを実感したり、地球にはこんなにも色々な生物がいるのか、と感動したり。
ただその一方で、僕には変な角度で物事を見てしまう悪い癖があり、それが動物園や水族館に行こうとする足を妨げていました。
その元凶となったのが小学5年生の時に書いた作文。
「動物園のオリの中から見た人間たち」
本当は大自然の中でのびのびと暮らし、一生を終えたかったのに、人間に捕まったばかりに狭い空間に閉じ込められ、人間がやたらとこちらを見てくるストレスの多い環境で暮らす羽目になった動物たちの悲壮を独自のタッチで綴った衝撃の問題作でした。
その内容は、動物園の檻の中で暮らす動物の目を通して、人間の身勝手さを浮き彫りにするという、極めてシュールなものでした。
少しだけ抜粋すると・・・
<サバンナ出身のライオン、がっち君の日記>
ある日、ゆっくりと昼寝をしてたら、人間の声が聞こえました。
「なんかずっと寝てるー。起きてー。せっかく来たのに、がっかりやわ。」
うるさい!わしは眠たいんじゃー!お前らの事情なんか知るかっっ!
人間側に背を向けて食事を楽しんでたら、
「こっち向いて食べてー。」
何でわざわざ人に見られて食べなあかんのじゃー!
喉通らんわっっ!
とりあえず暇だからうろうろと散歩してたら、
「あっちの子の方がカッコいいのに、こいつばっかりうろうろするなあ。」
ほっとけや!わしかてサバンナにおった頃はまあまあモテてたんじゃあっっ!
ある日、自分と同じ檻の中に新入りの女子ライオンが入って来ました。
飼育員「がっちと夫婦になって子供ができたらいいね。」
いやいやこの子、全然タイプじゃないんですけど!
なんか向こうも嫌そうなんですけど!
またある日、何となく声を出したかったので、思い切り吠えてみました。
「ガルルルッ!!」
「おおーっ!すげえ迫力!」
そ、そう?ふふん。まあたまにはいい事もあるな。
というようなわけのわからない事をつらつらと、かなりの長文で書いていました。
この作文が保護者面談の時に話題になったらしく、母が父親に「あの子、大丈夫かなあ?」と奇異な息子の将来を危惧して相談していたのが丸聞こえだったのをよく覚えています。
ギリギリ大丈夫やったで、お母さん。なんとか社会に紛れ込んでいます。
そんなこんなで、本当は行きたかったのに、歪んだ思考のせいで動物園や水族館から足が遠のいていました。
もう行くこともないのかな、と思っていました。
でも最近、妻の友人からこんな素敵なものをいただきました。
大阪府吹田市、太陽の塔が鎮座する万博記念公園のすぐ隣にある人気の水族館、
「ニフレル」の入場券です。
ここは普通の水族館とは違う、ちょっと変わった所で、「感性にふれる」をテーマに、
生物の個性や多様性にスポットを当て、大きな水族館では見れないような小さな生き物からホワイトタイガーのような大型の生物まで、文字通り「ふれる」ような距離感で観察することが出来ます。
水族館にホワイトタイガーがいる時点で、普通ではありません。
普通じゃない所なら、普通じゃない人間が行っても大丈夫だろう。
行こう!ニフレルへ!(タダだから)
巨大な観覧車の横、
ニフレル
遂に来たぞ、ニフレル。開業当時は凄い行列だったので全く行く気がしませんでした。
こんな日がやって来るとは。(タダで入れる日が)
超久しぶりの水族館!ワクワクするな~。
中へ入るとまず、暗い空間の中に鮮やかな水槽の数々が目に入ってきました。
わあ~綺麗だなあ。
魚の紹介にわざわざ一句読むという凝りよう。
短い文章の中で、魚の特徴をよく捉えています。わかりやすくて良いですね。
「数えれば 千本ないよ ボクの針」
この一句は衝撃でした。
ハリセンボン容疑者、まさかの針の数詐称疑惑。
本当は何本なのか。この辺りが今後の裁判の争点になってくるでしょう。
こんな魚、見た事ないなあ。世界の海は広い。
マンジュウイシモチという名前に本人は納得しているのでしょうか。
ニフレルで暮らす全部の生き物を紹介するとキリがないので、僕から見て「良い顔」をしていた生き物たちを紹介しましょう。
いつも楽しそうに口笛を吹く隣の山田さん。
見るからに責任感が強く、真面目そうな自治会長の鈴木さん。
商店街でスナックを経営するマツコさん。
はじけるような笑顔が印象的な電器屋の平田さん。
みなさん本当に良い顔をしています。
でもその中でも最高に良い顔だったのは、
薬剤師の和仁山さん。
気持ち良さそうにお昼寝中です。
間違いなくとてもいい夢を見てる顔でした。
と思って見ていたら、
突然、目を覚まして水面まで急浮上!
の後に再び沈んでゆき、
二度寝。
なんちゅう幸せそうな表情だ。
大好きなパンを食べている夢に違いない。
とその時、頭上から圧倒的なオーラを感じました。
青果店を営む若山さん。
親分の貫禄。
下から親分自慢の肉球を拝むことも出来ます。
「イチゴ安いで。」
ま、また今度にします。
この他にも、
水中から水鉄砲を放ち、地上のエサを撃ち落として食べるという西部のガンマンのような魚や、
擬態にも程があるカエル(どこにカエルがいるかわかりますか?)など、珍しい生き物の生態がいっぱい観れました。
ニフレル、とても楽しい水族館でした!
チケットをくださったAさんに感謝感謝です。
久しぶりの水族館に満足し、外へ出るとお腹が減って来たので、「ららぽーとエキスポシティ」のフードコートへお昼ご飯を食べに行きました。
そして「おっちゃん」が見える窓側の席に座りました。
「おーい、おっちゃん、まいど!」
「おっちゃん、花粉症つらそうやな。今年はいっぱい花粉飛んでるもんな。大丈夫?」
「元々こういう顔や。」
失礼しました。
とても楽しかったニフレルでの時間。普段出会うことのない生き物と触れ合うのってやっぱりいいですね。
また水族館や動物園、今までの分も行きたいな。
しかしかつてのがっち少年がニフレルに行ったとしたら、どんな作文を書いたのでしょうか?
「勝手に足の裏を見られたホワイトタイガーの・・・
もう勘弁してくれ。
今日の1曲:Michael Jackson「We Are The World(Demo)」